前回の続き。
ANAの上級会員を目指しSFC修行で訪れたのは今年2回目の石垣島。
ポイントを稼ぐだけではなく野鳥観察も楽しめる一石二鳥の旅は土砂降りから始まりました。
それでも普段見られない鳥を観察でき、日程2日目の午前中はズグロミゾゴイをじっくりと観察。
正午頃に休憩がてら立ち寄ったお店ではシークワーサーのスムージーを飲んで暑気払い。
味だけではなく見た目にも南国気分を満喫できる石垣島らしい飲み物でした。
2022年10月8日
お店を離れて間もなく友人より寄せられたのは珍鳥イワミセキレイの情報。
出張で石垣島を離れているにも関わらず、地元のバードウォッチャーを介して情報を提供してくれる心遣いに感謝しかありません。
問題はせっかくの情報を活かせるかどうか。
未だ目にしたことのない私は薄暗い場所を好むという生態以外に知ることはなく不安が募ります。
幸いにも情報のあった場所は以前にも何度か足を運んでいた場所であったことから現地へ行ってみると...
「み、見えにくい」
こんな時に限って太陽が燦々と降り注ぐお天気。
林道は木漏れ日と薄暗い場所のギャップが激しく極めて視認性の悪い状態でした。
慎重に車を進め目にする鳥を手当たり次第に確認。
飛ばしてしまっては元も子もありません。
キセキレイに騙されるハプニングもありましたが無事にイワミセキレイを確認。
初めて見る鳥とあって間合いの取り方が分からないことから、先ずは充分に距離を保ち遠巻きからの観察です。
観察を始めて間もなく目にしたのは腰を捩るような独特な動き。
未だ嘗てこの様な動きをする鳥は見たことがありません。
静止画で伝えられるものではなく、私の陳腐な語彙力では本来の動きと違った形で伝わる可能性もあるでしょう。
百聞は一見に如かず。
実際に見ることを指す言葉のため、この様に用いる言葉としては適当ではありませんが今の時代は動画があります。
距離が離れたタイミングでの撮影になりましたが腰を捩る動きを記録することができました。
この動きを活字で上手く説明するにはどうしたら良いのでしょう。
動画を撮影して間もなくイワミセキレイはどんどんこちら側へ。
願ってもないチャンスが到来。
カメラがアホになるほど撮影しました。
イワミセキレイは食欲旺盛といった様子で次々に虫を捕食。
蛾を捕食して間もなくケラに似た生き物を捕食していましたが、観察中には何匹も捕まえる様子を見ることが出来ました。
こちらは拡大画像。
強いて言えば羽の無いコオロギ。
初めて見る生き物です。
イワミセキレイは独特な動きを見せながら思う存分観察を楽しませてくれました。
実は観察中、車内に大量のシマ蚊が侵入し集られながらの観察になりましたが普段であれば発狂もの。
初めて見る鳥と対峙していたため何とか乗り切ることができましたが、いつもの観察であれば即座に逃げ出していたことでしょう。
屋外で活動する人間とは思えないほど異常な反応を示します。
私にとって最大のミッションをこなした後は開けた場所に移動し車のドアを全開。
暫く虫干しをしたところで防虫スプレーを噴霧。
ようやく平常心を取り戻すことが出来ました。
次に足を運んだのはカリガネが見られるという休耕田。
しかし情報通りに着いたはずも残念ながらカリガネの姿は見当たりません。
飛んでしまったのか、はたまたGPSに誤差が生じ別の場所へ辿り着いてしまったのか...
周辺には休耕田が多くアカアシシギに囲まれ羽を休めるアオアシシギの姿がありました。
石垣島では当たり前の光景かもしれませんが余所者の私にとっては貴重なシーン。
秋田県において複数のアカアシシギを見る機会は先ずありません。
一枚の田んぼで最大17羽のアカアシシギを見ることができました。
カリガネを探して農耕地をウロウロしていたところ驚きの場面に遭遇。
石垣島の象徴とも言えるカンムリワシが目の前に...
気付いた時には目の前といった状況で驚きを隠しきれませんでした。
カンムリワシは農道脇を流れる用水路で獲物を物色していたのか突出するパイプの上に止まっており、望遠レンズでは状況が伝わり難いと考え広角レンズで撮影。
ご覧の状況にどうしたら良いものか頭を悩ませました。
下手に車を動かして飛ばしてしまうのは忍びない。
しかしこの状況ではあまりにも近過ぎて観察は困難。
暫く様子を見てみましたが至近距離に居るにも関わらず差程こちらを気にしていないように感じたことからじわりじわりと車を後退。
何とか距離を保つことができ、改めてこの状況を撮影してみました。
ちょうど用水路を跨ぐように橋が架かっていたことからそちらへ停車。
ここで狩りの様子が見られたらとじっくりとその時を待ってみることに。
暫くすると落ち着きが無くなり何かを見つけたような素振り。
この姿勢を取って間もなく飛び立つや否や...
「おったまげ」
驚いたことに真下と言えるほど目の前に着地したカンムリワシ。
イワミセキレイの時といい午後からは血圧上昇しっぱなし。
カンムリワシは夢中になって獲物に食らいついていましたが、目の前にいるにも関わらず何を食べているのか見て取ることが出来ません。
「獲物は一体何なんだ」と注視して分かったのは...
カニ。
猛禽とは云え石垣島らしい獲物に少々笑いが込み上げました。
私にとってはまたとない場面とあってこの様子も動画で記録。
カニを食べ飛び立つまでのシーンを見ることができます。
手慣れた様子からもこの個体にとってお気に入りの狩り場なのかもしれません。
成鳥のカンムリワシを観察できたところで幼鳥探しをしてみることに。
しかし結果としては惨敗。
方々探してみましたがそんなに上手くいくはずもなく幼鳥の捜索を断念しようと思った頃、突然林の中からヤエヤマオオコウモリが飛び出しました。
姿が見えなくなったと思えば頭上を掠めるように飛んだり、高空を飛んだりと明るい時間帯に見ることができたのは幸運です。
「何処か見易い場面へ止まってくれたら」と思っていたところ...
念ずれば通ず。
道路脇の木へ止まる姿を確認。
忍び足で近寄り真下から覗き込むとヤエヤマオオコウモリが枝にぶら下がっていました。
改めて近くで見てみると本当に大きい。
子ザルくらいはあるようにも見え、動き方はナマケモノを彷彿とさせます。
一本爪の前爪を引っ掛け枝から枝へと伝い歩き器用に移動。
五本爪の後足は人間の手に似ています。
胴体はフサフサの毛に覆われており頸回りは淡色。
円らな瞳が可愛く、容姿も然ることながら観察をしていて非常に面白みを感じる生き物でした。
夕方の時間帯だったこともあり活動が活発化していたのかもしれません。
残念ながら幼鳥を見つけることは出来なかったものの、この日の〆の観察として楽しい時間を過ごすことができました。
観察を終えた後は石垣島の繁華街へ繰り出し暴飲暴食。
島の名物を食べながら翌日の観察をどの様にするべきか頭を悩ませましたが...
2022年10月9日
2泊3日の修行もこの日が最終日。
あっという間に最終日を迎え、有終の美をどの様に飾ろうか悩み抜いた結果...
具志堅用高に見送られて石垣島を離れました。
尋常じゃないほどスピードを出すフェリーに乗ること15分。
やってきたのは石垣島の直ぐ隣に浮かぶ竹富島。
沖縄の原風景を残すこの島へ足を運んだのは人生で二回目。
初めての石垣島旅行で訪れた思い出深い場所でもあります。
そんな訳で最終日はまるっきりの観光。
観察は無しと決めました。
竹富島と言えば水牛車観光ということで先ずはこちらから。
出発前の水浴び。
優しい顔つきをしています。
水牛に引っ張られてのんびりと過ごす非日常。
集落の眺めと三線の音は動画でどうぞ。
水牛車観光を楽しんだ後はレンタルサイクルでコンドイ浜へ。
八重山ブルーが美しい。
宮古ブルーとはまた違った色合いです。
いかんせんカメラマンの腕が悪いため見た目通りに写すことが出来ません。
浜辺を散歩した後はお隣のカイジ浜へ移動。
別名“星砂浜”のカイジ浜には星砂が落ちています。
そのため浜辺では観光客が砂を手に取り星砂を探すことに一生懸命でした。
まるで砂金でも探すような光景は端から見ると面白い。
綺麗なお姉さ...綺麗な景色を眺めた後は集落へ戻り沖縄の原風景を改めて眺めているとハイビスカスでおめかしをした水牛を発見。
これは可愛い。
観光を楽しんでいると友人から『カリガネが戻っているようです』との情報が...
何というタイミング。
せっかくの情報でしたが竹富島観光を終えた後は車を返却して空港へ戻る予定としていただけに見れそうにもありません。
しかし石垣島で見るカリガネには非常に興味あり。
果たして間に合うのか...
情報のあった場所と友人の家までの最短ルートを割り出してみると10分ほど余裕があることが判明。
竹富島観光を終えて石垣島へ戻ると同時に現地へ直行。
「本当に石垣島にカリガネがいた」
ヒシクイ1羽と2羽のカリガネ。
秋田ではまだ飛んでる姿のみの確認であっただけに、まさか石垣島で先に観察することになるとは。
観察時間は僅かでしたが石垣島でガンを観察出来たことには意義があったと思います。
足早に休耕田を離れた後は友人宅へ。
友人に代わって奥様が空港まで送ってくれるという運びとなり、今回も最初から最後までお世話になりっぱなしの旅でした。
振り返ってみると正味一日ちょっとの観察時間でしたが、友人より次々と寄せられた情報のお陰で短い時間ながらも非常に濃密な時間を過ごすことができました。
このお礼はまた近いうちに...
2022年 野鳥観察の旅 in 石垣島 (秋) はこれにておしまいです。