前回の続き。
日程2日目は宮古諸島を網羅する形で探鳥を行い多種多様な野鳥を観察することができました。
強く印象に残るのは早朝の時間帯に探し当てたミフウズラ。
想定では観察に漕ぎ着けるまで多少なりとも手こずると思っていましたが、探し始めて間もなく好条件の出会いに恵まれ本当に運が良かったと思います。
観察の合間には風景の撮影も楽しんだりとカメラを手離すことができない一日となりました。
2022年7月22日
日程3日目は漁船をチャーターしてアジサシ類の観察を計画。
出港まで心配が尽きなかったのは天候と海況でした。
予報通り朝から快晴の空に恵まれ天候としては申し分の無いものでしたが、気掛かりだったのは宮古島入りして以降連日続いていた強風。
平地で観察をする分には心地好く感じることはあっても船上の観察には多大な影響を及ぼします。
やはり波の高い状態が続いてようで前日の段階から『ギリギリ船を出せる状態でかなり揺れると思う』と船長に言われていたこともあり、それなりの覚悟を決めて港を目指しました。
港へ着くと同時にクロサギの飛翔を目撃。
出港時刻まで少し余裕があったことからウォーミングアップを兼ねて少しだけ観察してみることに。
波打ち際で採餌をしていましたが南西諸島で見るクロサギは地元の個体と比べ警戒心の緩さに驚かされます。
地元でもこの様に観察できたら良いのですがほとんどのケースは距離を取られてしまい思うような観察をすることができません。
程なくして出港時刻となり検温を済ませ注意事項を確認した上で乗船。
今回お目当てとしたのはマミジロアジサシとクロアジサシの2種。
この2種については東平安名崎の沖に連なるパナリ岩礁帯で繁殖しており運が良ければ陸地からの観察も可能です。
しかし効率良く観察する為には船に乗る必要があり、以前お世話になった船長へ今回も乗船の依頼をお願いしていました。
午前8時、博愛漁港を出港。
ドイツ村の建物を眺めながら餌場となる最初のポイントを目指しましたが全くと言っていいほどアジサシ類を見かけません。
船長の話によると今年は個体数が少ないだけではなく戻り梅雨のような大雨があった影響で群れが大きく分かれてしまったそうです。
暫く波に揺られるだけの時間が続き不安な気持ちに駆られましたが、パナリ岩礁帯へ近付くにつれ所々で採餌をしているアジサシ類を目にするようになりました。
しかし波の影響を強く受けピント合わせどころの話ではありません。
このままの状況が続くと下手な鉄砲も数を撃ったところで当たる気がせずカメラの設定を変えたりと試行錯誤を繰り返していました。
岩礁帯の近くまで船が進むと海況が一変。
急に波は穏やかとなり比較的安定した状態のなか観察・撮影を出来るようになりました。
お客さんは撮影に勤しんでる様子。
パナリ岩礁帯へカメラを向けるとマミジロアジサシやクロアジサシが飛び交っている様子が見られます。
暫く双眼鏡でも観察を続けましたがヒメクロアジサシは確認できず...
出来るだけ船を同じ位置に留めてもらうよう船長へお願いをして岩礁を離れ餌場へ向かう個体、餌場から戻る個体を狙って撮影してみることに。
こちらはマミジロアジサシ。
世界的に広く分布するアジサシですが、日本には夏鳥として渡来し宮古諸島及び八重山諸島で繁殖をしているようです。
繁殖地としては宮古島が北限にあたり、それ以外の地域では稀に迷行した個体が見られるのみ。
船上からでも比較的撮影しやすいと感じたマミジロアジサシでしたが、その一方で苦戦したのはクロアジサシ。
日本での分布域はマミジロアジサシよりも広く観察される機会も多いようです。
但し本州で繁殖はしていないことから観察するためには離島へ足を運ばなければなりません。
体長は42cmもあり30cmのエリグロアジサシに比べると遥かに大きいアジサシですが、羽衣の色が影響しているのかピントが合い難く撮影は難儀させられました。
勿論私の腕に問題があることは否めません。
今流行りの機材であれば容易に撮影できるのか気になるところ...
ここからは辛うじて及第点に達した画像を何枚か掲載。
・マミジロアジサシ
・クロアジサシ
4時間の乗船時間はあっという間に過ぎ去り港へ戻ることになりましたが、今回の観察で気になったのはこちらの個体。
クロアジサシが船に纏わりつくようにして間近を飛び回ることがありました。
最接近した際にはあまりにも近く撮影不可となってしまいましたが、どう考えても餌を貰った経験があるとしか思えません。
他の船では観察しやすいように餌を撒いているのでしょうか?
近くが見ることができ嬉しかった反面、懸念が残る場面でした。
港へ戻るとちょうどお昼時であったこともあり宿から最寄りのスーパーへ買い出しに出掛け、昼食をとった後は夕方からの観察に備えて小休憩。
晴天猛暑が続き炎天下での観察は体に堪えることから適宜休憩を挟んで体調を整えました。
幾分陽が傾いた頃に足を運んだのは溜め池の観察地。
初日も同様に観察を行いましたが、オオクイナの観察については今一つ物足りなさを感じリベンジマッチの観察です。
溜め池の前に陣取り直ぐに姿を見せたのはリュウキュウアカショウビン。
なかなか背面を見ることが出来なかったことから、この時は背を向けた瞬間を狙って撮影しました。
入れ替わり立ち代わり複数の個体が姿を見せてくれます。
其々異なったシチュエーションで撮影しましたが、相変わらず水浴びの瞬間を捉えることはできず残った画像は止まりモノばかり。
溜め池の周りを素早く動く鳥が現れ、その動きから直ぐにリュウキュウサンコウチョウと分かりましたが一度だけ謎の行動を目にしました。
横枝に止まるとゆっくり翼を広げて暫く静止するこちらの行動。
亜種サンコウチョウでも見たことがありません。
伸びのポーズとも異なり初めて見る行動で何を意味するのか分かりませんが面白い場面を見ることが出来ました。
複数見られた個体のなかで唯一尾羽が長かったのはこちらの個体。
アイリングの太さが随分と際立つ個体でした。
忙しく動き回るリュウキュウサンコウチョウに翻弄されているといつの間にか現れていたのはキンバト。
ウロウロと溜め池の周りを歩いていましたが枝を咥えて歩き回る場面も。
入れ替わり立ち代わりやって来る鳥を観察することで楽しい時間が続いていた一方、オオクイナはなかなか姿を現しません。
下手に動くと警戒して出てこない恐れもあることから辛抱強く真打ちの登場を待っていると...
成鳥のオオクイナが現れました。
周囲の様子を伺うようにゆっくり歩くとそのまま池の中へ。
小刻みに羽を震わせ水浴びを始めました。
長い時間水浴びをしていたことから、その様子は動画でも記録。
水浴びを終えると入念に羽繕い。
ノイズを極力抑えたいと考え超スローシャッターでの撮影であったことから動きのある場面は酷いものでした。
そっと池を離れると途端に駆け足で去ってしまいます。
この日はこちらの画像を最後に姿を見ることはありませんでした。
成鳥を見ることができ達成感と脱力感に包まれていたところリュウキュウキビタキも水浴びへ。
よく見るとこちらの個体には足環が付いていましたが残念ながら刻印は読み取れず...
リュウキュウキビタキの観察を最後に日程2日目の観察はここまで。
宿へ戻り翌日の観察についてお客さんの希望を伺ったところ『光量の稼げる時間帯にもう一度溜め池で観察したい』というお話があり早朝の観察を計画。
私も早朝の時間帯に溜め池で観察をした経験が無かったことから翌日の観察に備え早めの就寝をしました。
日程4日目の様子については後日更新の日記へ続きます。