2023年10月26日
本日更新する日記は旅先での思い出を綴る観察旅行記。
今回もANAダイヤモンド修行を大義名分とした観察旅行になりますが、先月の旅行記にも記載した通り4ヶ月連続の石垣島第2弾。
当初計画した旅程では27日朝に秋田を出発し初日の大半を移動に費やすという少々無駄とも思えるスケジュールでした。
しかし出発を目前に控え急遽予定を変更。
26日夜に秋田を離れ、この日は羽田空港第2ターミナル直結のホテルへ宿泊。
1Fロビーのレストランは秋らしい装飾が施されており、お洒落な雰囲気のなか夕食を楽しむ為には一定程度の財力を必要とします。
勿論、大金持ちの私はマクドナルド。
2023年10月27日
本来の計画では修行を共にしている友人と羽田空港で合流する予定でしたが、急遽予定を変更したため一足早く石垣島を目指すことに。
石垣島は何処の航空会社にとっても人気路線。
そのため直前でのチケット取り直しとなると良い席を確保することができません。
終始エンジンと主翼を眺めるフライトを余儀無くされただけではなく、イビキのうるさいオジサンが隣に座り三重苦。
着陸に際し高度を下げ始めるとガタガタと音を立てて揺れるようになり、雨雲を通過するとどんよりと霞む石垣島が見えてきました。
南ぬ島 石垣空港へ到着したのは11時20分。
頻繁に石垣島を訪れるようになり、今や島の移動にナビを使うことはありません。
細かな地名さえ覚えることができればタクシーの運転手も務まることでしょう。
当初の予定にはなかった所要を済ませて早速観察へ。
今回の観察旅行はいつもと異なり明確な目的がありました。
遡ること10月16日、瞬く間に広まったのは石垣島でセイケイが初確認されたという情報。
島の友人が発見してから10日余り、この日まで抜けないことを願うばかりでした。
確認された場所は想定していた観察地。
何の迷いもなく辿り着けますが私にとって鬼門の鳥であるレンカクが滞在中との情報が入り、セイケイとレンカクを天秤に掛けるという前代未聞の事態が発生。
レンカクについてはこれまでタッチの差で見ることができず何度苦渋を味わってきたことか...
抜けの早いレンカクが確認されてから数日経過しており、いつ抜けてもおかしくはありません。
こうした事情もあって天秤はレンカクに傾き頂いた情報を基に現地入り。
到着するや否や鬼門の鳥が目の前に。
やっとお目に掛かることができました。
欲を言えば夏羽の成鳥を見たいところですがそれは時期的に不可能。
こちらは幼鳥であるもののレンカクであることに変わりはありません。
初めて見た感想としては「想像よりも大きい」というのが第一印象。
ケアンズで見たトサカレンカクに比べると胴回りが太く一回り大きいように感じました。
但しサイズは異なっても足の特徴は同様です。
長い趾(あしゆび)のインパクトは強烈の一言。
この時は田んぼを動き回って採餌していましたが、時として水草を伝い歩き湖沼で採餌することもあるでしょう。
長い趾は忍者が使う水蜘蛛の役割りを果たします。
付近で採餌していたセイタカシギが警戒の声を発すると畔へ移動し伸びきった雑草に身を隠す場面がありました。
間もなくして採餌を再開しましたが、猛禽から身を守るために他のシギチを利用しているのかもしれません。
積極的に他のシギチに混ざるということはなく基本的には単独行動。
セイタカシギの群れに近付くこともありましたが、後を付いていくような行動は見られませんでした。
観察中、農家さんが作業を始めたことで距離は離れつつありましたが車に対しての警戒心は皆無だったように思います。
距離が離れたタイミングでレンカクの観察を終えセイケイの観察へ。
現地へ到着し想定した場所を探してみたものの姿を確認することはできず...
島の友人の話にもあった通りハイイロチュウヒが現れて以降、出が悪くなってしまったようです。
捜索範囲を広げあちこち見て回っていると放棄地となった田んぼで採餌中のセイケイを発見。
自生した稲穂を啄んでおり、その行動はバンによく似ます。
サイズこそバンより大きいものの行動についてはクイナ科ならではといったところでしょうか。
こちらで暫く採餌を続けると一時姿が見えなくなる時間があり「何処へ身を隠したのか」と思っていたところ、いつの間にか道路を横断。
ようやく全身を見ることができ、この時に受けた印象はケアンズで観察したオーストラリアセイケイに比べると淡い印象を受けました。
オーストラリアセイケイの羽衣はもっと色濃く金属光沢を帯びていたように感じましたが、このセイケイは羽衣の特徴から別亜種であるように思います。
勿論、当時の光の加減などにより印象が異なることもあるため一概に言うことはできません。
このセイケイは一体何処から渡来したのでしょうか。
時刻を確認すると羽田を出発した友人が間もなく石垣島へ到着するという頃。
ここで一旦観察を中断して石垣空港へ。
道中、シロハラクイナが道路を横断していたためスナップ撮影。
いつ見ても可愛い鳥です。
計器のトラブルから予定よりも一時間遅れで石垣島入りした友人をピックアップして早速レンカクの観察へ出かけましたが...
レンカクが見当たらず。
農家さんを警戒して身を隠しているのか、それとも抜けてしまったのか。
広範囲にシギチが入っている田んぼを見て回りましたがレンカクを確認することはできず、限りある時間を大切にしたいと考え観察場所を移動することに。
途中、ホオジロハクセキレイを発見しましたが先を急いでいたためこちらもスナップ撮影。
セイケイは間違いなく見られるだろうと高を括っていましたが、こちらもまさかの展開。
ハイイロチュウヒが飛び回っていたせいかセイケイも確認できず。
レンカクもセイケイも容易に見られると思っていただけに「私だけが...」と非常に気まずい思いでした。
ハイイロチュウヒが居なくなった田んぼにはカタグロトビが出現。
狩り場となっている為かこちらの田んぼには夕方になると必ず現れます。
ホバリングをしては細かく移動を繰り返し、その様子を観察していると突如急降下。
地面に降りて間もなく飛び立ち、撮影し画像を拡大するとネズミを捕獲していたことが分かりました。
この後もセイケイを確認することはできずシギチを数種観察してこの日の観察は終了。
2023年10月28日
この日の朝はセイケイが見られた田んぼから探鳥を始めました。
活動が活発となる朝の時間帯は流石に見られるだろうと思いきや、またしても姿を確認することはできず。
早々に場所を移動してレンカクを探して回りましたがやはりこちらも見当たらず。
セイケイについては見えないだけで抜けてしまったということはないでしょう。
しかしレンカクは本当に抜けてしまったのかもしれません。
レンカクが出ていた田んぼの周辺ではカンムリワシとムラサキサギが見られ、こちらを観察してから再びセイケイが見られた田んぼへ戻ることにしました。
【 カンムリワシ 】
【 ムラサキサギ 】
「せめてセイケイだけでも...」とセイケイの捜索に集中しましたが、やはりこの時も姿は確認できず。
“二兎追う者は一兎も得ず”ということわざ通りなのかもしれません。
焦りの気持ちが出始めた頃、遠巻きながらも採餌中のセイケイを発見。
この様な状態が20分ほど続いたでしょうか。
双眼鏡で観察する分には良かったのですが写真となると証拠写真が精一杯。
お世辞にも良い写真は撮れません。
暫くすると姿が見えなくなり、前日出ていた場所へ移動するものと予想。
その様に考え、張り込むこと約1時間。
全く出る気配無し。
痺れを切らした私たちは別の場所へ出てはいないかと周辺を捜索してみることに。
この時に友人がリュウキュウヨシゴイを発見。
しかし本命のセイケイは見当たらず時間だけが過ぎていくとハイイロチュウヒが現れてしまいました。
ハイイロチュウヒは広範囲に動き回り、私たちの目の前を飛ぶことも。
シギチたちが警戒の声を発し上空を旋回。
こうなってはセイケイが出ることはありません。
石垣島に滞在しているセイケイは人に対して鈍感ですが、他の鳥類が発する声には非常に敏感です。
前日もシギチの警戒する声に反応して藪の中へ駆け込む姿を目にしていました。
仕方なしにセイケイを諦めハイイロチュウヒの観察へ当たることに。
場所を移動して10分ほど経った頃...
何気なく振り返るとセイケイが道路を横断する姿を目撃。
慌てて元の場所へ戻り張り込みを再開。
採餌のため必ず姿を見せるはずです。
しかし30分待っても出て来る様子がありません。
やはりハイイロチュウヒが影響しているのかと考えていたところ付近にオサハシブトガラスが現れ騒がしく鳴き始めました。
「お願いだから変に声をあげないでくれ」と呟いていると、どうもカラスの様子がおかしいように思え何かを意識しているようにも感じます。
意識する方向に焦点を定め双眼鏡を覗いてみると何とびっくり...
セイケイが木に止まっていました。
餌場となる場所ばかり見ていたため、いつの間に移動していたのか分かりません。
居場所を教えてくれたカラスに感謝感激雨霰。
木へ止まっているセイケイを発見してから5分ほど経過した頃、降りようとする仕草が見られました。
着地点が定まらないのか枝を伝い歩きウロウロ。
間もなく意を決したように飛び降りました。
この後は稲を啄む姿をじっくりと見ることができ友人も大喜び。
私としては安堵した瞬間でした。
セイケイの観察が上手くできたことで気になるのはレンカクの存在。
午前はセイケイの観察に大半の時間を費やしましたが、午後からは諦めきれないレンカクを探すため観察場所を移動することに。
午後からの様子については後日更新の日記へ続きます。