前回のあらすじ。
ANAダイヤモンドステータス維持のフライトも佳境を迎え、足を伸ばしたのは今年4回目の石垣島。
今回の旅は知人と計画したものでしたが、初日に続き二日目の午前と運良く迷鳥ナンヨウショウビンを見ることができました。
行けば見られると安易に想像していたナンヨウショウビン。
しかし蓋を開けてみれば苦労の連続。
それでも撮影まで漕ぎ着けたのは島の友人や先輩のご厚意があってのこと。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
日程二日目はナンヨウショウビンを観察した後、農地を巡回する形で様々な野鳥を観察しましたが午後からは市街地の公園で探鳥を始めることに。
202411月24日 (午後)
宿泊先から最寄りの公園を覗いてみると、この時期らしくカラムクドリが沢山。
総数にして50羽程だったでしょうか。
群れは樹木になった実を餌としており忙しなく動き回っていました。
正午を過ぎた頃には朝方の悪天候から一転して陽射しが届くようになり、少し動くだけでも汗ばむ陽気に。
公園付近ではミドリカラスモドキの群れが見られるという情報を頂いていたのですが、周囲を見渡してみたもののそれらしき姿は見当たらず。
ミドリカラスモドキを探していると目にしたのはシマアカモズ。
然程離れていない場所でも別個体が見られ鳴き声の様子から縄張り争いをしているように見受けられました。
ミドリカラスモドキを見つけることのできないまま公園での探鳥を終え再びナンヨウショウビンの捜索へ。
こちらもまた何処に隠れているのかさっぱり見当たらず…
張り込みを続けるバードウォッチャーによると全く姿を見ていないとか。
時間が時間だっただけに休憩に入っていたのかもしれません。
出待ちをすることも一つの手段でしたが石垣島では見るべき野鳥が盛り沢山。
人生二度目の石垣島旅行という知人のためにもナンヨウショウビンは一旦時間を置くこととして情報を頂いていたオニアジサシの観察へ行ってみることに。
海岸へ着くや否やオニアジサシが目の前を飛翔。
海岸線を往復する形で餌を探していましたか、到着した時が最も近く絶妙なタイミングで観察できたようです。
このオニアジサシも嘗ては憧れの鳥。
私が初めて目にしたのは佐賀県の東与賀干潟でした。
アジサシとは思えない大きな体に赤い嘴。
写真で見る以上にインパクトが強く、思いがけない出会いに興奮した記憶が蘇ります。
初見以降、堰を切ったように観察の機会が増え現在は落ち着いて見ることができるようになりましたが秋田ではお目に掛かることができません。
「石垣島は何でも出るな」と思いつつオニアジサシの動向に注視していると子供たちが遊ぶ海岸近くに降りたように見えました。
よく見てみると別個体のオニアジサシの姿もありそちらへ移動。
近くでは子供たちが遊び回っているにも関わらず2羽のオニアジサシは全く動じていない様子。
こうした様子からも総じて言えるのはどの鳥も距離が近いということ。
勿論ナンヨウショウビンのように警戒心が強く近寄ることのできない鳥も居ますが、秋田での観察に比べると圧倒的に距離が近いと感じます。
オニアジサシは時々飛ぶことがあっても同じ場所へ戻ってきたため思う存分観察を楽しむことができました。
観察を終えて車へ戻ろうとしたところ遊歩道にムラサキサギが。
何故こんなところにと歩み寄ってみましたが依然として通せんぼをするムラサキサギ。
怪我でもしているのかと更に歩み寄ってみるとふわりと飛び上がり頭上を通過。
休憩していたのか理由は定かではありませんが怪我をしている様子は見られなかったためホッと一安心。
この後は知人にカンムリワシをじっくりと観察してもらいたいと考え大きく場所を移動。
その前に寄り道したのはズグロミゾゴイが頻出する施設。
人の多い場所ですがこれまでに幾度となく観察した経験から敷地内を散策してみたところ案の定採餌している個体を発見。
活発に動く様子を観察していると建物の方へ躊躇なく歩く様子が見られました。
大勢の人が行き来する場所に生息しているためかズグロミゾゴイは全くと言っていいほど人間を気にする素振りは見られず建物脇の茂みに移動すると休憩に入った様子。
自ら人の気配の多い場所へ移動し休憩する様子もまた石垣島らしさと言ってもいいのかもしれません。
特に動きは有りませんが、人間が目の前に居るにも関わらず悠然と寛ぐ様子を映した動画です。
敷地内ではアカガシラサギも見られましたが、こちらは警戒心が強く遠巻きに見たところ片足を失っていることが判明。
拡大画像。
ぎこちない歩き方を見せ心配になりましたが、片足を失いながらも餌を採る姿には逞しさを感じました。
こちらの個体は障害を抱えたことで警戒心が強くなってしまったのかもしれません。
採餌の邪魔になってはいけないと早々にこちらの施設を離れ本来目的としていたカンムリワシの観察へ。
想定通りの場所に止まっていたカンムリワシ。
こちらの個体、車通りの多い場所に止まっておりこれまでに何度も観察してきました。
おそらく石垣島では事故に遭う危険性が高い個体として有名なのではないでしょうか。
知人にはカンムリワシが何故車通りの多い場所へ出て来るのか、生態について説明をしながらじっくりと観察。
単に見て撮るだけではなく、生態について学んでもらえたのは良かったと思います。
カンムリワシを観察していると偶然にもヤエヤマオオコウモリが飛来したため、こちらも併せて観察することができました。
カンムリワシの観察を終えた後は知人のリクエストに応えてカタグロトビの観察へ。
移動している際、ガードレールに止まるカンムリワシを知人が発見。
こちらもまた石垣島らしい光景です。
夕方頃、市街地近くへ飛来するカタグロトビを待っていると狙い通り電線に止まる姿を確認。
狩りが始まるまで遠巻きに様子を伺っていましたが、電線を離れるとあらぬ方向へ…
想定外の展開に唖然とし、再び飛来を待ったものの残念ながらタイムアップ。
野生の生き物が相手とあって仕方のないことですが、狙って観察できる個体と考えていただけに不本意な結末でした。
2024年11月25日
日程三日目。
この日の探鳥は前日見ることのできなかったミドリカラスモドキの捜索から。
市街地の公園を中心としてミドリカラスモドキを探して回ると電線にはずらりと並ぶカラムクドリの群れ。
おそらく前日に観察していた個体群でしょう。
こちらの群れを注意深くチェックしてみたもののミドリカラスモドキは混ざっておらず。
周辺を見渡しても全く見当たらず場所を移動してしまったものと判断しナンヨウショウビンの観察に予定を変更。
出現する地域を丁寧に見て回ると幸いにも早い段階で見つけることができ、慎重に観察を試みましたが…
顔を覗かせた瞬間、カメラを構える間もなく飛去してしまったナンヨウショウビン。
その後、捜索したもののナンヨウショウビンの姿を見ることはありませんでした。
それならばと前日情報を頂いていたベニバトを探しましたが、キジバトすら見当たらず農地で見たのはタシギのみという結果に。
いよいよ八方塞がりとなり、再度ミドリカラスモドキを探して回ると偶然にも島の先輩と遭遇。
事情を説明したところ有難いことに案内して頂くことになりました。
比較的目撃の割合が多い樹木を覗くと全ての実が食べ尽くされており、やはり場所を移動してしまったようです。
それならばと先輩は場所を移動し『この辺に来ると思うよ』と教えて頂いた数分後…
ミドリカラスモドキが頭上の電線に飛来。
島の友人といい、先輩といい鳥を呼び寄せる力でもあるのでしょうか。
鳴き声を発するミドリカラスモドキを見て『仲間を呼んでる』と仰る先輩。
ものの10秒もすると続々と飛来したミドリカラスモドキの群れに驚愕。
観察できた喜びよりおそろしいまでの先輩の能力に驚きを隠すことができず。
間もなくミドリカラスモドキは姿を消してしまいましたが、目の前にはヤエヤマシロガシラが沢山。
島の至るところで見られるヤエヤマシロガシラですが、そのほとんどは電線に止まる姿。
この時は採餌に夢中だったためか樹木に止まる姿を思う存分撮影することができ観察というより撮影会。
ヤエヤマシロガシラの撮影会を終えて移動を始めた矢先の出来事。
運転中にミドリカラスモドキの声が聞こえたように思え、車を停めて周辺を歩いてみたところ空耳ではなかったことが判明。
普段はこの様に樹木の中に潜んでいるのかもしれません。
ミドリカラスモドキに遭遇するのはタイミング次第と思わされたのが正にこの時。
1羽が電線に止まると次々に飛来。
電線を離れたミドリカラスモドキは真下の樹木へ移動すると忙しくなく実を啄んでいました。
昨シーズンは電線に止まる場面がほとんどだっただけに観察らしい観察ができたのはこの時が初めてです。
一頻り観察を楽しんだ後はナンヨウショウビンの捜索へ戻りましたが何処へ隠れているのか全く見当たらず骨折り損のくたびれ儲け。
正午頃になると気温は28℃まで上昇し秋田との気温差も相俟って最早集中力は無くなっていました。
疲れ切った私に笑みをもたらしてくれたのはオサハシブトガラス。
葉っぱを咥えて飛んできたと思いきや…
よく見てみると咥えていたのはポテトチップス。
一体何処から盗んできたのか。
結局のところナンヨウショウビンを見つけることができず、最後に観察したのは漁に勤しむ白色型のクロサギでした。
いつもは一瞬のうちに獲物を飲み込んでしまうため何を餌としているのか分かりませんでしたが、この時は偶然にも撮影に成功。
旅の〆には八重山そばを食することが恒例となっている石垣島。
汗水流しながら探鳥を続けたせいかいつも以上に美味しく感じた八重山そばでした。
食後は荷物を纏めて空港へというタイミングで島の友人よりカンムリワシ幼鳥の情報が…
時間にはある程度余裕を持って行動していたこともあり迷うことなく現地へ直行。
最後の最後にカンムリワシの幼鳥を見ることができたのは望外の喜び。
その昔、カンムリワシの幼鳥を見たいという気持ちが石垣島渡島のきっかけとなり、カンムリワシの幼鳥こそ私にとって石垣島の原点です。
今回もまた島の友人、先輩にはお世話になりっぱなしの旅でした。
この旅を振り返ってみると短い時間ながらもお目当てのナンヨウショウビンを観察でき、その他の鳥類に関しても良い場面が多かったように思います。
何よりも『大収穫の旅だった』と喜ぶ知人の顔が印象に残る旅となりました。
現在、知人は石垣島ロスに陥ってるそうです。
2024年 野鳥観察の旅 in 石垣島 (11月) はこれにておしまい。