前回の続き。
未だヤツガシラを見たことがないという友人の期待を背に遠路遙々やって来た与那国島。
本命のヤツガシラは勿論のこと、春の与那国島では期待値の高いオオチドリとクロウタドリを併せて観察したいと思っていましたが...
観察日の初日、私を襲ったのは激しい目眩。
暫く様子を見たものの症状が収まらず救急搬送される羽目に。
与那国島はテレビドラマ『Dr.コトー診療所』で一躍有名になっていただけに、治療を受けながら映画を思い浮かべたことは言うまでもありません。
点滴を2本入れた後、医師より『一週間は安静にするように』と言われましたが呑気に休んでもいられず観察を強行。
目眩でフラフラになりながらもオオチドリとヤツガシラを見ることができホッと一安心。
21~22日の両日はオオチドリとヤツガシラの観察に時間を費やし楽しい時間もありましたがクロウタドリだけはどうしても見つけられず...
与那国島での探鳥は悔いの残るものとなり、クロウタドリは今季複数の個体が確認されたという石垣島へ望みを託しました。
2024年3月23日
石垣島での観察日初日。
この日は宿泊先近くで探鳥を始め、朝一番で目にしたのは電線に止まるカラムクドリ。
せめて青空であれば電線止まりでもそれなりの写真になったと思いますが、曇天空抜けはいただけません。
間もなく姿を見せたのは2月下旬に初見だったミドリカラスモドキ。
旅行記に目を通してくださる方であれば『おや?』と思われた方もいらっしゃったことでしょう。
旅行記として記事にしていませんでしたが実は2月下旬にも石垣島を訪れていたのです。
昨年はANA上級会員の最高峰であるダイヤモンド会員を目指しせっせと旅行していましたが、今年はダイヤモンド会員維持のフライトを密かに重ねており、先月のお忍び旅行で目にしたのがミドリカラスモドキでした。
先月撮影した画像と比べると換羽が進み緑色の羽が見られるように。
暫く観察を続けるとミドリカラスモドキは姿を消してしまったため、島の友人から頂いた情報を基にクロウタドリを捜索。
移動している際、突然目の前を横切ったのはカタグロトビ。
交通量の多い道路を横断するように飛翔したカタグロトビは別個体と絡み合うような場面が見られました。
当初は餌の受け渡しと考えたものの画像を拡大してみると餌を持っておらず。
このことから求愛のディスプレイと判断。
島の友人からはクロウタドリに関する情報を幾つか頂いていましたが何処を回っても空振り...
石垣島では間違いなく見られるだろうと高を括っていただけに落胆の色を隠せませんでしたが、他所様から頂いた情報を当てにして観察しようなどと考えが甘過ぎました。
友人は来島するバードウォッチャー皆に優しく、私も毎度のようにお世話になっています。
いつからか友人に甘えることが当たり前になっており、反省の意味を込めて自力発見を目指しました。
クロウタドリを探して島を巡ると出会いが沢山。
こちらはついついカメラを構えてしまうカンムリワシ。
カンムリワシの視線の先には黒い物体が。
見つめていたのは石垣島で初めて見るリュウキュウイノシシでした。
思いがけず躍動感のあるリュウキュウイノシシを見ることができほくそ笑む私。
久しぶりに見るズグロミゾゴイは婚姻色が出ており春の訪れを感じました。
ズグロミゾゴイは見る側が心配になるほど警戒心を感じません。
こちらの個体は置物のように動かない時間が続き、観察を終えようとしたところ目の前で採餌を始める始末。
一体人間をどのように思っているのでしょうか。
先に観察したカンムリワシも同じように石垣島は鳥との距離が近いと感じることが多く、こうした距離感こそバードウォッチャーにとって“何度も足を運びたくなる魅力的な島”となっているのでしょう。
ズグロミゾゴイの観察を終えて間もなく目にしたのはヤツガシラ。
これまでに多くのヤツガシラを観察してきましたが、そのなかでもとりわけ美形と思わされる個体でした。
光線が強すぎず野鳥を観察・撮影するうえでは丁度良い光量であったせいか、色合いが美しく気品さえ感じます。
ヤツガシラの観察には与那国島で多くの時間を割いていたため、早々にこの場を離れようとしたところ伸びの姿勢を披露。
連動するように開く冠羽を見ることができました。
普段は足を運ぶことのない島の北端まで移動してほぼ石垣島を一周。
クロウタドリを見つけられないまま定番スポットへ戻ると畔を歩くシロハラクイナが見られ暫し観察。
私にとってシロハラクイナもカンムリワシと同様についついカメラを向けてしまう鳥の一種です。
付近ではサトウキビの収穫が行われておりアマサギが沢山。
今では見慣れた光景になりましたが、初めて石垣島を訪れた時は驚きの隠せない光景でした。
※収穫作業中はサトウキビがバンバン飛んでくるので観察の際は要注意。
陽もだいぶ傾いてきた頃に見られたのはムネアカタヒバリの水浴び。
結果的に島を一周してもクロウタドリを見つけることができず、この日の探鳥は敢えなく終了。
2024年3月24日
4泊5日の観察旅行もこの日が最終日。
この日の石垣島は前日と打って変わって朝から青空の広がる良いお天気でした。
この青空を活かし電線止まりのミドリカラスモドキを綺麗に撮影しようと前日と同じ場所でスタンバイ。
しかし私の目論見は見事に外れミドリカラスモドキは姿を見せず...
相手が姿を見せないのであればこちらから探し出そうと心当たりのある場所を捜索していたところ、デイゴの花の蜜を吸うオサハシブトガラスが見られました。
地元の方にとって当たり前の光景であっても私のような旅行者にとっては物珍しい光景です。
電線という電線に目を配りミドリカラスモドキを探して回ったものの一向に見つけることができず徒歩での捜索に切り替えると耳にしたのはレンジャクの鳴き声。
間もなく20羽ほどの群れを見つけることができレンジャクについては背景に拘って撮影。
この時カラムクドリも見られましたが、こちらは良い場所へ止まってくれません。
その後、電線止まりのカラムクドリとギンムクドリの群れを目にしたため暫く様子を見ていたところ偶然にも島在住の先輩と遭遇。
リアルタイムの情報を沢山頂いたなか、ミドリカラスモドキの話題もあり詳しく伺ったところ『晴れの日は難しい』というお話がありました。
聞くところによると晴れの日は樹木の中へ隠れていることが多く姿が見られないそうです。
こうしたお話から前日は曇天であったからこそ観察の機会に恵まれたということが分かり少しばかり気分を良くしました。
先輩から前日確認したというクロウタドリの情報も頂きましたが、敢えなく撃沈...
今回の旅行で最後に観察したのは逆光の悪条件で見るムネアカタヒバリでした。
最後の最後まで見ることのできなかったクロウタドリ。
旅の〆には八重山そばを食しましたが、あと何杯の八重山そばを食べるとクロウタドリに出会えるのでしょうか。
私の旅はまだまだ終わりそうにありません。
2024年 野鳥観察の旅 in 与那国島&石垣島はこれにておしまい。