2017年5月28日 19/15℃ 曇り時々晴れ
今回の観察の舞台はリンゴ園。
ここ数年5月になるとリンゴ園に足を運んでいますが、今年は最も遅い時期となりました。
こちらのリンゴ園には若くて細い木もあれば太くて立派な老木もあり、広い敷地のなかで数人の果樹農家さんがリンゴ栽培をしています。
このリンゴ園の中を腰を屈めて見て回ると今回観察する鳥を見つけることができました。
フクロウです。
冬期間に見かけるフクロウは警戒心が強く見つけても直ぐに飛んでしまうことがほとんどですが、この時期リンゴ園で出会えるフクロウは少し様子が違うようです。
近い時ではファインダーからはみ出るほどの距離にいることもありますが、敢えて離れ様子を見ていると・・・
寝てしまいました。
普段は森林などで寝ている夜行性のフクロウが日中リンゴ園に姿を見せるのは何故でしょう。
その答えは子育てをする為。
フクロウは4月~6月の間に繁殖しますが、繁殖場所にもってこいなのがリンゴ園。
リンゴの老木には『うろ』と呼ばれる穴が空いていることが多く、この樹洞がフクロウの巣として使われ繁殖に役立ちます。
しかし老木は収穫量が少く手入れが大変で農家さん自ら倒してしまうそうです。
それでも僅かながら老木を残しておくとメリットがあるそうで、それはリンゴ園で繁殖したフクロウたちがリンゴの木をかじるネズミを捕まえてくれるから。
ネズミによる被害は相当なもので、天敵であるフクロウがネズミの駆除をすることで被害の低減に繋がるそうです。
調べてみると繁殖期にフクロウの一家族が捕食するネズミの数は1000匹を超えるとのこと。
果樹農家さんとフクロウは持ちつ持たれつの関係にあるようです。
ただ最近は困ったことにリンゴ園にクマが現れるそうで、これには農家さんも参って・・・
『リンゴ食べるくらいならまだいいけど、枝を全部折ってしまうんだ』
こんなお話があり、つい最近は子グマを連れて現れたとか。
山菜のシーズンに入り早くもクマに襲われたとニュースも聞こえてきましたが上手く棲み分けができればと良いと思うのですが・・・
さて、リンゴ園のフクロウですが去年は巣立ちが早かったためリンゴの花に囲まれる巣立ち雛を見ることができました。
去年の観察記録を見てみると日付けは5月8日。
今は間もなく6月を迎えようとしているのでリンゴの花は落ち、青々と葉は茂り緑色した小さなリンゴが実をつけていました。
そんなリンゴ園を見渡してみてもフワフワしたぬいぐるみのような巣立ち雛は何処にも見当たりません。
親鳥であろうフクロウがいるのに巣立ち雛が見当たらないというのも変な話。
巣立ち雛は一体何処にいるのでしょう。
営巣木として使われているうろの中を覗き込んでみると・・・
はじめまして×4
まだフワフワの雛は巣立ちを迎えていませんでした。
随分と遅い繁殖だと思います。
とは云っても私自身そんなに観察経験がある訳ではないので明確なことは言えませんが。
可愛い雛を見ていると『ウォッ ウォッ』と変な鳴き声。
何の鳴き声だ?と思い振り返ってみると・・・
『うちの子に一体何してるんだ!?』
「やべぇ、見つかった!」
寝てると思って油断してたらいつの間にか監視されていました。
しかしよく見てみると寝ていた個体より少し褐色みが強い。
もしかしたらこっちはお父さんフクロウなのかな。
と思ったら寝ていたはずのお母さんフクロウも近くに来ていてこちらを凝視。
「ごめんなさい、もう覗きません!」
あんなに大きな体なのに全く羽音が聞こえないという、フクロウの飛翔能力を見せつけられました。
リンゴ園とフクロウ、今回は人と鳥が良い形で共存する様子を垣間見ることができましたが、お隣の青森県では積極的に巣箱を設置しフクロウの個体数を増やすプロジェクトが進められているそうです。
このような取り組みが他の地域にも広がることを期待して今日の観察日記はここまで。