2017年6月11日 17/14℃ 曇り時々晴れ
今日はチゴモズの生息調査を兼ねての観察です。
始めにチゴモズとは本州中部以北に夏鳥として渡来しますが個体数が少なく確認されるのは局所的。
一年を通して観察できる普通のモズ(通称・タダモズ)は場所を選ばず目にする機会も多く、開けた農耕地では特に姿を見かけます。
一方チゴモズは林と草地が隣り合ったような環境を好むようで、近年は環境の変化や悪化により個体数は減少傾向。
繁殖に適した林と餌場となる開けた草地とのバランスが大事なようです。
例えて言うならゴルフ場のような場所が住み良い環境になるのかもしれませんが、情報を頂いた以外の確認で私が独自に確認した場所はいずれも沿岸部の防風林や砂防林。
今日は以前から気になっていた県北の松林に足を運び生息調査を行いました。
調査地へ到着し30分ほど探したところで1羽目を確認。
パッと見た目に額から後頸が灰色が印象的で普通のモズと見間違えることはないでしょう。
チゴモズの和名ともなっている稚児とは乳児や幼児のことを言いますが、鳥類において稚児はサイズの小さな意味で使われるので、名前の通り普通のモズに比べるとチゴモズは少し小さめ。
1羽目を確認できたところで何処を拠点に調査をしようか立ち止まって考えていると直ぐそばにチゴモズが飛来。
何か私の様子を見ているようで変に思い確認してみると嘴には虫が咥えられていました。
「これはまずい、近くに巣があるな」
自分で食べる訳でもなく餌を咥え様子を伺っているのは近くに巣がある証拠。
鳥は餌を巣に運搬する際、外敵に巣の場所を知られないようダイレクトに巣へ入らず一度別の場所に止まることが多く、何か異変を感じると餌を咥えたままで巣に入ろうとしません。
速やかに場所を離れ様子を見ていると安全確認ができたようで葉っぱの繁った場所に移動しました。
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こちらが巣のようですが、高さは目測で約6mの位置。
微かに巣の中で動いてる姿が確認できましたが、こちらは♀でしょう。
巣に出入りしてるのは♂のみの確認でした。
チゴモズは希少種ですし私の行動で巣を放棄することになっては元も子もありませんので更に距離を置いて調査を続けると別個体の♂を確認。
こちらは頻繁に餌を捕りに飛んでくるので藪の中に潜り更にカモフラージュネットを被ってじっくりと観察することにしました。
チゴモズはあまり人を気にしない傾向にあるようですが、ネットを被ることでこちらとしてもゆっくりとした気持ちで見ることができます。
羽繕いをしたところで少し場所を移動して再び虫を探していました。
背は鱗模様が特徴的です。
しばらく観察しているとこちらの個体も必ず同じ樹上へ飛んで行くことが判明し、更に分かったのは既に雛が孵化しているということ。
やけに回数が多いなと思い見ていましたが、しっかりと雛の鳴き声が聞こえてきました。
秋田県内の繁殖例としては随分早いものだと思います。
このように生息と繁殖が確認できたのは大変嬉しく思いますが、秋田県沿岸は次々と風車やソーラーパネルの計画・建設が進み生息環境が脅かされているのが実状。
チゴモズは環境省が公表するレッドリストで日本国内における絶滅危惧の評価で最も高い絶滅危惧ⅠA類に分類されています。
計画の段階から建設ありきでしっかりとした調査も行わず、目先だけの利益を優先するのは止めてもらえないものか・・・
生態系への影響を考慮してこのような希少な鳥がゆっくり暮らせる環境を大事にして欲しいものです。
自然を壊す人間がいるなら守る人間も必要です。
この日記を見て頂いた方が一人でも多く守る側の人間になってもらえたら書き手としてこれ以上嬉しいことはありません。
そんなことを願って今日の日記はここまで。