2017年7月9日 32/18℃ 晴れ
北上してきた梅雨前線は再び南下して秋田県は梅雨の中休み。
私が住む秋田市でも真夏日の予報が出ていたことから、今日は暑さから逃げるように県北内陸部の八幡平へ。
こちらは岩手県と県境を跨ぐ山で標高1614m
今回この山で観察を期待するのはホシガラスです。
主に亜高山~高山帯の針葉樹林で見られますが、秋田県で姿が見られるのは八幡平・森吉山・秋田駒ヶ岳・栗駒山・鳥海山などの山々。
人をあまり恐れない鳥ということもあり登山をする方にとってはお馴染みの鳥かもしれません。
私の観察記録を振り返ると2011年に一度見たきりで、2年前にも観察を期待して八幡平に足を運びましたが残念ながら姿を見ることはできませんでした。
その後、八幡平のホシガラスについて方々様子を聞いてみてはいましたが誰も姿を見たという人はおらず「もしかしたら八幡平から姿を消しつつあるのだろうか」という疑問を持ち、今回は調査を兼ねての入山です。
先ず八幡平と言えば最近話題になっている『ドラゴンアイ』から。
※出典元 八幡平ビジターセンターFacebookより
こちらは山頂近くにある火口湖の一つ『鏡沼』。
5月下旬から6月上旬の雪融けシーズンにだけ竜の目のように見える神秘的な風景です。
現在はドラゴンアイの見られるシーズンは過ぎてしまっていますが、今日の鏡沼にはまだ雪が残っていました。
標高の高い位置ということもあり陽射しは強かったものの、湖沼の畔に立っていると風は冷たく心地好さを感じます。
辺りでは小鳥たちの声も賑やかで、眼下に広がるハイマツ帯を眺めているとミソサザイが小さな体で元気いっぱい囀ずっていました。
しばしミソサザイの囀りに耳を傾けていると目の前にウソが飛来。
冬鳥であるウソを今時期みられるのは高山ならではといったところでしょうか。
ウソのサービスタイムが終わると次に飛来したのはビンズイ。
今日の観察で一番多く目にしました。
秋田では渡りの時期に平地でよく目にしますが、今時期は高山帯で暮らしています。
しばらく小鳥たちを眺めていると『ジャー ジャー』と濁った鳴き声。
ホシガラスが近くにいるようです。
「何処だ?何処だ?」と辺りを見渡すと運良く真っ正面の枯木に止まってくれました。
白斑が特徴的なホシガラス、この模様が星空のようだと例えられたことが名前の由来となっているようです。
体長は街中で見かけるカラスに比べると20cmほど小さく、広大なロケーションの中ではあまり目立ちません。
枯木を回り込むようにして場所を移動したホシガラスは勢いをつけるようにして木を突っつき始めました。
私にとって2度目の観察ということもあり、この行動が何を意味するのか分からす興味津々で見ていると・・・
枯木の中からどんぐりを取り出しました。
今時期にどんぐりは拾えないので去年隠しておいたものかもしれません。
今年の春にはカケスが腐った栗を食べているのを目にしましたし、最近ではハシボソガラスが植込みにラーメンを隠す姿を目撃しました。
カラスの類いは一様に貯食と言われる食べ物を隠しておく行動をしますが、ホシガラスは高山帯に自生するハイマツの実を好み、この実を貯食する行動が種子散布に繋り森を再生させる大事な役割となっているようです。
運良く私の前に現れたホシガラスは枯木からどんぐりを2個取り出したあと、目視で確認できない場所にサッと降りてそれっきり。
その後の行動が気になりましたが再び姿を現すことはありませんでした。
結果的に今日はこちらの個体のみの確認で、八幡平では昔に比べると個体数が減少傾向にあるのかもしれません。
もっとじっくり観察できたらよかったのですが、振り返ってみると今日一番頑張って撮影したのはタラの芽。
食べ頃のタラの芽を芸術的に撮影しようと思いましたが、いかんせん背景がごちゃごちゃしていて私の腕ではどうにもできませんでした。
標高が高く気温が低いということもあって季節的に3ヶ月ほど逆戻りでき楽しい時間を過ごすことができましたが、下山してみると電光掲示板には35℃の猛暑日を記録する表示が・・・
涼しい夏山も束の間、帰りの道中は地獄の三時間でした。
おしまい。