2021年12月19日
旅行記の更新途中ですが今回の日記は先月28日の観察分から。
暫くハクガンを主体とした観察が続いていた先月、この日は種を特定する形ではなく風の吹くまま観察をしようと考え自宅を出発しました。
水辺を移動していると何か違和感を感じ急停車。
葦が密集した場所で隙間から一瞬見えたのはヘラサギだったように思え車を後退。
葦の隙間から覗き込んでみると見間違いではなかったことが判明しました。
瞬時に脳裏を過ったのは先月14日に発見した個体。
※先月28日付けの日記に掲載。
前回発見した場所からはかなり離れており、この時点で同個体であるのか確信は持てませんでしたが観察を始めると突然の土砂降り。
前回も見つけて間もなく土砂降りに見舞われ運が良いのか悪いのか。
いずれにせよ秋田県において記録の少ないヘラサギを再び見つけることができたのは望外の喜びでした。
九州の観察旅行では数多くのヘラサギを目にすることができ、画像だけを比べると見劣りしてしまいますが個人的には地元で観察できた貴重な記録。
雨が止んだタイミングを見計らい少し場所を移動して抜けの良い場所から改めて観察。
ハクチョウと一緒に撮影することで地元らしさを表現できたと思います。
先月28付けの日記にも記載した通り、世界的に見るとクロツラヘラサギの方が個体数は少ないものの秋田県においては何故かヘラサギの渡来数が少なく観察の機会はほとんどありません。
そのような意味でも今年は両者を地元で見つけることができたので縁があったように思えます。
水辺で羽を休めていたコガモたちが飛び交うと釣られるようにしてヘラサギも飛び立ち周囲を旋回。
首を伸ばしたまま飛行するのがトキ科の鳥の特徴。
サギと名前は付きますがヘラサギ・クロツラヘラサギ両者ともトキ科の鳥であるため採餌方法にも違いが見られます。
気になるのはこの日観察できた個体が14日に観察できた個体と同個体であるのかという点。
この時見せた飛翔時の画像を拡大し初列風切の特徴を比較してみたいと思います。
【 11月14日 】
【 11月28日 】
幼鳥に見られる特徴が初列風切の黒色部。
P7~P10を比べてみると特徴が合致しました。
28日の画像ではP4に傷みのようなものが見られますが、この部分に関しては14日以降に傷んだ可能性と角度的な問題もあり比較できないことから上嘴の淡色部分を比較します。
【 11月14日 】
【 11月28日 】
Web上では伝わり難いかもしれませんがどちらの画像も上嘴の先端部中央から縦に伸びる筋状の淡色部分が合致していることに加え、先端部左寄り部分が僅かに欠損している特徴も合致していることが見て取れました。
これらの特徴から同じ個体と判断して間違いないでしょう。
話を観察の様子に戻して周囲を旋回していたヘラサギは降りる場所を見定めているようで首を傾げながら高度を下げる様子が見られました。
水辺に降りたところで暫し観察を続けましたがこれといった動きがないまま時間が経過。
私個人としては特徴ある採餌場面を見ることができれば一番だったのですが、円らな瞳としゃもじのような嘴を見て何処か満足していたような気がします。
やはり丸いという特徴は優しい印象を与えるのかもしれません。
再びコガモの飛び立ちに釣られ周囲を飛翔する姿を見ることができましたが、明るめの雲を背景に飛んでいたことから撮影という部分においては少々残念なものとなってしまいました。
この時はなかなか降りる場所が定まらず長い時間旋回を続けていましたが、ようやく下降。
こちらの場所へ移動してからは夕暮れ時まで睡眠が続き行動という部分については見ることのできないまま観察を終えました。
欲を言えばもっと動きのある場面を見たかったものの、前述した通り渡来数の少ないヘラサギを再発見することができたことは非常に運が良かったと思います。
14日以降の消息が途絶えこの個体はもう見ることは無いと踏んでいただけに思いがけず楽しい休日となりました。
本日の観察日記はここまで。