2021年2月14日
今回の日記は先月23・24日の観察分から。
この週は例年よりも気温が高めに推移したことにより雪融けが一気に進みました。
年明けに降り積もった雪は除排雪がほぼ完了し、街中の走行に支障ありませんがフィールドは未だ雪に閉ざされている場所が多く思うように観察をすることが出来ません。
比較的積雪量の少なかった大潟村周辺はどのような状態にあるのか、それと同時に鳥たちの動向も気になったことから巡回連絡をしてみることに。
1月11日に見た八郎潟調整池は寒波の影響で完全結氷していましたが、今回様子を見てみると面積の半分が融解しており薄氷の上にオオワシが佇んでいました。
大潟村に入ると幹線道路に雪は無く、田んぼに積もった雪もだいぶ融けていたことからガンの群れが戻ってきているかと思いきや11日に見た時と然程印象は変わらず。
この日の時点では秋田県以南の地域で越冬している個体群が多く、全国的な視点で見てみると今季は寒波の影響からか普段見られない地域でハクガンやシジュウカラガンの観察例が相次いでいるようでした。
各所をチェックして回り、水路を覗き込めば氷上でワカサギ釣りを楽しむ方のテントが点在する傍ら、こちらにもオオワシの姿が。
最初に見た個体は距離が離れていたこともあり、個体の識別には至りませんでしたがこちらの個体は電柱に止まることの多い雌であることが判明。
今回は氷上ということもあり遠巻きでの観察でしたが、ここの氷が融けると電柱に止まる姿が見られるはず。
以前撮影した画像がこちら。
いつも観察している個体が雄ということもあり、こちらの個体を見ると「デカい」と思わされます。
オオワシの確認が続いたことから、いつもの個体はどうしているのか気になりここからオオワシ三昧の週末がスタート。
想定する場所に居ることを願い車を走らせると、正に想定通りといった形でオオワシが氷上に佇んでいました。
思い返してみるとこちらの個体を観察するのは昨年の渡来当初以来。
今季は自宅周辺での観察が多く、今までどのように過ごしていたのか分かりません。
全国各地で鳥インフルエンザの確認が相次いでいますが、感染した獲物を捕食することで猛禽も命を落とすケースがあることからこの点が非常に気掛かりでした。
元気そうで何より。
再会から暫くしてアングルを変えて観察を行いましたが、時々氷上をのしのしと歩くだけでこれといった動きは見られません。
1時間半ほど観察を続けましたが特に変わった様子は見られなかったので一度この場所を離れ再び戻って来るとちょうど狩りを行った直後だったようで魚に喰らいついていました。
半逆光の位置であったことから撮影には難しい条件でしたが、オオワシにしては小さなサイズの獲物のようです。
丁寧に獲物を食べると暫くその場に佇み、再びのしのしと歩く姿が見られました。
この時はこちら側に向かって歩いてきましたが、何の為にこうして場所を移動するのか分かりません。
不意に翼を広げたので飛び立つのかと思いきや、翼をばたつかせながら小走りを始めました。
まるでターボが掛かったかのように走ります。
急に立ち止まると前傾姿勢になり一部融解した氷に嘴を擦りつけ、嘴の汚れを落としていました。
これは『ごちそうさま』の行動。
鳥類は嘴が汚れることを嫌い、食事が終わると嘴を擦りつける姿が見られます。
野鳥に限らずペットとして飼育される鳥も同様で、鳥と暮らす方にとってはお馴染みの行動。
嘴の汚れを落とした後は水を飲む場面も見られました。
一通り観察出来たところで今度は撮影を楽しませてもらおうと接近を試みることに。
北海道で見られる大型猛禽は一部地域で餌付けされているということもあり至近距離で見ることも出来るようですが、秋田においては余程運が良くなくては近くで見ることが出来ません。
唯一近くで見ることの出来るこの個体も、氷上または田んぼに降りている際は一定の距離を保とうとするようです。
距離もその時々で、今回はしっかりと獲物を食べ終わり落ち着いたタイミングを見計らい距離を縮めてみました。
雄とは云え、やはり近くで見ると大きくてゴツい・・・
彼の視力では私が望遠レンズ越しに見る以上に私の姿が大きく見えているはず。
一体どのように見えているのでしょう。
接近出来る限界の位置に辿り着いたところで不用意に動くことなくじっくりと彼の動きを観察。
やはりこの時も特に動きは見られませんでしたが、暫くすると再び翼を広げ小走りを見せました。
容姿に似合わないこの行動が面白い。
小走りを止めたところで再び水飲み。
水を吸引できるのはハト科の鳥だけなので、多分に漏れずオオワシも下嘴に水を溜め上を向くようにして飲み込んでいました。
怪獣のような見た目でも行動は小鳥と何ら変わりはありません。
そう思うと途端に可愛らしく思えてしまいます。
様々なシーンを見ることが出来ましたが、この後に期待するのは飛び立ちの姿。
以前田んぼで観察を行った際には想定外の方向へ飛んでしまったため後ろ向きの姿になってしまいました。
今回こそはと意気込みその瞬間を待っていましたが、余所見をした瞬間にまさかの飛び立ち・・・
毎度このパターンです。
カメラを構えた時は葦原と被ってしまい「こりゃダメだ」と思った瞬間、高度を上げ始めたところで旋回を見せました。
ただひたすら連写。
こちらに向かって飛んで来ました。
フレームいっぱいいっぱい。
近過ぎて構図もへったくれもない写真に。
氷上に居る姿を大きく撮らせてもらおうとテレコンを付けたことが仇となり、飛翔シーンはちょっと残念なものになってしまいましたが今回はこちら側に向かって飛んで来てくれたのでヨシとしましょう。
この後オオワシは場所を変えて氷上に降りていたようでここでも観察を継続。
アングルは変わりましたが再度飛び立ちの瞬間を狙います。
撮ってはみたものの理想のシーンとは云えず課題を残す結果となりました。
野生の生き物を相手にしているのでなかなか思い通りにはいきませんが、これもまた撮影を楽しむという面に関して醍醐味の一つと言えると思います。
この日の観察はここで終了。
翌24日は当初予定していた観察が思うようにいかずこの日もオオワシの観察へ。
前日と同じようにして氷上に佇むオオワシを見ることができ、この日は氷を食べる姿を観察することが出来ました。
時々のしのしと歩く様子も見られましたが、特に変わった場面もなく飛び立ちの瞬間を待っていると尾羽を上げて脱糞。
飛び立ちを予感させます。
それから間もなく飛び立ちました。
正面で旋回。
徐々に真正面に。
この後は逆光の状態となり撮影を止めましたが、両日共にお天気に恵まれオオワシ三昧の週末となりました。
なかなか理想のシーンを撮影することは出来ませんでしたが、晴れの少ない秋田の冬でタイミング良くこの様にして観察が出来たことは貴重な機会だったと思います。
こうして撮影も楽しませてくれるオオワシには感謝しかありませんが故郷に帰るまでの間、事故や怪我なく元気に過ごしてくれることを願います。
本日の観察日記はここまで。