2021年3月7日
今回はガンの塒立ちの観察記。
この週は秋田県以南で越冬していたガンの北上もだいぶ落ち着いたようで、中継地となっている大潟村周辺は賑わいをみせていました。
自宅近くの田んぼにもマガンの群れが見られるようになり、多い時で2万羽ほどが滞在。
こちらは先月27日の夕方に撮影した画像になりますが、自宅周辺にはマガンの他にシジュウカラガンとヒシクイも少数見られオナガガモとトモエガモの群れも見ることができました。
自宅近くで見られた群れが移動すると大潟村周辺に向けての北上はほぼ完了したことになります。
大潟村周辺には例年25万羽ほどのガンが集結しますが、この時期に観察できるのが空一面を覆うガンの塒立ち。
万単位のガンが一斉に塒を飛び立つ瞬間は轟音と言えるほどの羽音が響き渡り見る者を圧倒します。
以前観察した際の動画がこちら。
この光景を再び見たいと思っていたところ翌28日の日曜日は終日晴れ予報が出ており願ってもないチャンス到来。
早起きは三文の徳ということわざにある通り早起きをしたからこそ見られる光景があります。
そのため28日は午前3時に起床して塒立ちの観察へ向かいました。
5時に観察地に到着し車を降りてみると静まりかえる水辺・・・
通常であれば暗がりでもガンの鳴き声が聞こえるはずですが全くといっていいほど聞こえてきません。
この時点で嫌な予感しかありませんでしたが、塒の様子を見てみると月明かりに照らされた沼は結氷していました。
「せっかく早起きしたのに、俺のワクワクを返せ!」
早起きは三文の徳と誰が言ったのか。
徳を得と置き換えると早起きをして得られたものはガソリン代の損。
沼の前で呆然とする自分。
目論みは崩れ去り途方に暮れてしまいましたがここで諦める訳にはいきません。
ガンの塒立ちを観察できる場所は他にも数ヶ所あり、急いで移動すると塒立ちに間に合うのではと考えました。
しかし何処で観察することが最善になるのかは日毎に様子も変わるので出たとこ勝負。
ゆっくりと考えている暇もなく行動が先だと移動を始め5時45分に別の塒へ到着。
しかしこの場所を塒としているガンの数は少数でした・・・
ここで右往左往していると塒立ちが始まってしまいます。
もうやり直しはききません。
この日の日の出時刻は6時17分でしたが覚悟を決めて観察を始めると6時ジャストで一部の群れが塒を離れました。
その後は続々と塒立ちを見ることが出来たものの、やはり数が少なく想像していた光景とはかけ離れます。
水辺を挟み東側では他の塒から飛び立った個体群が飛び交いこちら側まで鳴き声が聞こえてきました。
場所の判断にミスが無ければきっと素晴らしい光景を目にしたことでしょう・・・
後悔ばかり募りましたがここで一度頭をリセット。
迫力のある塒立ちを見れなくとも早起きしたからこそ撮れる写真があり、鳥のいる風景として撮影を楽しむことにしました。
日本海に面した地域ということもあり海から昇る日の出を見ることはできませんが、日の出前の山側を綺麗なグラデーションで見ることが出来ます。
手前側に写るのは頸をたたんで寝ているハクチョウたち。
日の出時刻が迫り空がオレンジ色に染まり始めるとハクチョウたちが目を覚ましました。
それから間もなくして日の出を迎えます。
日の出を見ることで鬱々とした気持ちから一転して清々しい気持ちに。
昇り始めた太陽はあっという間に高くなり早朝の観察はここまで。
さて問題はここから。
予定としては塒立ちを見た後は自宅近くでのんびりと観察をして早めに帰宅するつもりでいました。
2月は仕事が忙しく休日も尽く潰れていたことから、疲れも溜まっておりこれまでに撮影していた画像も整理のできないまま。
しかし想定していた観察が出来なかったことで満足感が得られなかったことからアテもなく大潟村周辺を徘徊してみることに。
ふと田んぼを見るとハクガンの群れ。
群れの近くには当たり前のようにいつもの御仁を見ることができました。
やはり群れの一部なのでしょう。
ざっと群れを見てみたところ(御仁を除いて)アオハクガンは端の方で寝ていました。
こちらは拡大画像。
こちらの画像だけで簡単に判断することはできませんが、以前見た時に比べ濃紺の色みが強くなったように感じました。
場所を移動して観察してみると寝ている個体が多く見られ、朝の早い時間帯は塒を離れてからも睡眠を取ることが多いようです。
昨年11月の渡来当初に比べると幼鳥の換羽が進み灰色みが薄くなっているようでした。
暫くすると一斉に首を上げたハクガンたち。
間もなく次々に飛び立っていきました。
いつ見てもハクガンの白と黒のコントラストは美しいと感じます。
頭上を旋回するようにして飛ぶと群れは遥か彼方へ。
このような形でハクガンの観察はここまで。
これが私にとって今季最後の観察になるかもしれません。
この後はアトリの大群を観察しましたが、そちらも掲載してしまうと日記のボリュームが大きくなり過ぎてしまうので別途掲載したい思います。
ここからはアトリの観察後に見た鳥たちを簡単に掲載。
秋田では普通種になりつつあるホシムクドリが電線に止まっていました。
ムクドリと行動を共にしているようでしたが、警戒心の強いムクドリの群れに混ざっていたことから思ったような観察をすることができず。
周辺では複数の個体を確認することができ、どうやらこの辺りに定着しているようです。
夏羽に換羽しつつあるようですが、もう少し経つと嘴が黄色に変化することでしょう。
次に見ることができたのはいつも観察している個体とは別のオオワシ。
電柱のアングルに1時間ほど止まっていましたが警戒心が皆無といった様子で四方八方から観察したり動画を撮ってみたり。
いかんせん電柱止まりということもあり、ある程度撮影すると全て同じような画像になってしまいます。
せめて羽繕いや伸びの姿を見せてくれたらと思っていたところ願いとは別の姿を見せてくれました。
脱糞後は飛び立ちに備えしっかりとカメラを構えます。
いざ飛び立ちの瞬間。
尾羽を綺麗に撮ることができました・・・
想定通りのヲチの後はカリガネ探し。
しかし夜中から行動してたこともあり集中力が続きません。
結局見つけ出すことができないまま観察を終えましたが、帰りがけに見ることでが出来たのはコクマルガラス。
周囲にはミヤマガラスが200羽ほど群れていましたが、その中にコクマルガラスが6羽混ざっており割合としては多いように思います。
画像の個体はよく鳴く個体で、鳴き声を発する際には体を前屈させるような姿勢をとり今までに見たことのない行動でした。
その様子はスマホで動画撮影。
短いものですが特徴的な鳴き声も聴くことができます。
体長の割に声量が大きく頻繁に鳴く鳥なので体色が真っ黒な幼鳥であっても鳴き声を頼りに探すことも屡々。
ミヤマガラスも秋田県以南で越冬していた個体群が北上してきているようなので、場所によっては数千羽の群れが見られることでしょう。
コクマルガラスを少し見たところでこの日の観察を終えましたが、塒立ちは残念だったものの終日お天気に恵まれ久しぶりに青空での観察を楽しむことができました。
次週の日記では今回掲載できなかったアトリについて観察の様子を綴りたいと思います。
本日の観察日記はここまで。