2021年8月22日
今回の日記はオオジシギの観察記。
前回の日記に記述した通り8月はジシギの観察を継続しています。
オオジシギについては一つの日記に纏めて更新する予定でしたが、撮影できた画像に併せ内容も膨大となってしまい更新作業が追い付きません。
そのため今週から来週に掛け、二つの記事に分けて観察の様子を更新したいと思います。
先ずは8日の観察分から。
8月上旬は連日猛暑日と熱帯夜が続き、この日の気温も36.1℃を記録。
少しでも涼しいうちにと早朝から農耕地へ繰り出しましたが、朝から日差したっぷりで観察をするには厳しい条件が揃っていました。
本格的な観察前の巡回でスナップ撮影した画像はご覧の通り。
光線の状態が厳しく陽炎の影響も手伝って撮ることのできた画像を確認してみたところ今一つパッとしません。
観察を始めるにあたって農耕地を巡回する形で個体数を把握しますが、1日の観察時に比べると半減したという印象を受けました。
それでも重複無しで10羽以上確認できたので条件良く観察出来そうな個体を探してみることに。
しかし比較的近い距離で見ることの出来た個体はいずれも逆光。
順光で観察できる個体を見つけることができても、いざ反対側に回り込んでみると意外に遠いという田んぼマジック。
この日は畔の中間位置に佇む個体が多く撮影には不向き。
撮影込みで観察可能な位置で見つけることのできた個体はいずれの個体も距離を保とうとする行動が見られました。
あくまでも私の感覚ではありますが、駆け足で移動し後ろ向きになっている個体は観察に不向きだと思っています。
一定程度の距離を保った後は膠着状態が続き、幾ら待ってもこちら側に戻ってくることはまずありません。
画像はこちらを気にしている様子でいわゆる逃げの写真。
他のケースとして、存在に気付かず飛ばしてしまった個体についても同様。
着陸した地点を確認して改めて出向いたとしても一度警戒して飛んだ個体は警戒心が高まった状態が続き、再び飛んでしまうケースがほとんどです。
私が観察しやすいと感じる個体は、伏せるような警戒の姿勢を見せてもその場を離れない個体。
又は発見時に距離が離れていたとしても進行方向がこちら向きの個体です。
下の画像は畔の奥に居た幼鳥を写したもの。
採餌中のようでしたが進行方向はこちら側であることを確認しました。
この日はこの個体をじっくり観察しようと決め、猛暑で過酷な状態でしたが降車して畔に鎮座。
普段は車内からの観察が一番と言っていますが、晴天猛暑の日は車が熱を帯びることで周辺の空気が激しく揺らぎます。
私は真夏であっても観察する際にエアコンを付けないようにしていますが、真夏にエアコンを付けた車は一層熱を帯びるので夏場の観察でピントが今一つと感じる方にはエアコンOFFをお奨め。
脱線した話を元に戻し、炎天下でオオジシギと無制限1本勝負のはじまりはじまり。
~2時間経過~
やっとこの距離まで来てくれました。
剥き出しの身であるため少しでも警戒させないようにとほとんど身動きをせず待っていましたが、途中で寝る姿勢が続いたりと一時は心が折れそうに・・・
待って本当に良かった。
晴天続きだった為か、畔の上部はカラカラに乾燥しており採餌は田んぼに降りて畔の側面を突っつく形で行っている様子。
畔の側面の方が湿り気を帯び採餌がしやすいようで、この日観察のしやすいと感じる個体が少なかったのは猛暑が続いていたことが理由となっていたのかもしれません。
雨上がりの日は畔の上や農道で採餌をしている個体が多く、非タシギの観察は天候に左右されるようです。
採餌の様子は動画でも記録してみました。
この様に個体の性格、発見時の状態や距離によって観察の内容が大きく異なります。
経験を積むことで好条件での観察に繋がるのは間違いありません。
ほんの数年前まで容姿や行動の面白さに興味を持っただけで識別もままならず観察を行ってきましたが、今思うとそれはそれで大事な事だったと感じます。
この日の観察では採餌行動を思う存分見ることができたものの、識別のキモとなる部分は残念ながら画像に残すことができず。
炎天下で長時間観察を続けたことで汗が全く出ていないことに気付き、慌てて観察を終えました。
案の定、この日の夜は熱中症気味でダウン。
8日の観察から五日が経過した13日、ようやく夏季休暇に突入。
数日前まで猛暑日続きでしたがこの日の最高気温は22.1℃と急転直下。
朝から曇天の空模様で農耕地へ繰り出してみると車に表示される外気温は19℃と少々肌寒く感じる程でした。
ジシギを観察するにはもってこいの天候で早速巡回してみたところ8日に比べるとやや個体数が増えたような印象。
秋田を離れる個体が居る一方で秋田以北の地域で繁殖を終えた個体群が南下してきているようです。
農道を移動していると不意に飛び立つジシギ。
存在に気付かず飛ばしてしまいましたが飛翔時に見える翼下面が黒っぽく見えたので非タシギであることが伺えます。
何故飛び立つ前に気付けないのかと後悔してばかりですが通りすがりに物凄い違和感を感じました。
慎重に車を後退。
「見つけた」
この場所は農道脇が小高くなっており、目線の高さにジシギが潜んでいました。
どうやら採餌を終えて休憩していたようです。
駆け足で距離を取ろうとするような行動は見られず、こちらの様子を草の隙間から伺っているようでした。
観察に適した個体と判断し装着していたテレコンを外して画角を広く取ります。
暫く車内で待っていると休憩が終ったようで法面を降りてきました。
農道まで降りると早速採餌を開始。
トントンと地面を突っつく行動はコチドリが地面をタップして土壌に潜む生物を誘き出すものと同じ作用があるのではないでしょうか。
自在に曲がる嘴はセンサーの役割を果たすだけではなく、地中では獲物を捕らえ引っ張り上げる動作にも大きな役割を果たしていると考えます。
この時捕らえたミミズは動きが激しく捕食するのに手こずっているように見えました。
何度か摘まみ直すと一気に捕食。
この様にしてミミズを数匹食べると腹が落ち着くまで休憩に入り、また採餌をするといった一連の行動を繰り返していました。
観察をしていて気になったのは尾羽の突出具合。
翼上面の特徴はオオジシギのように見えますが、オオジシギにしては尾羽の突出具合が短く感じます。
お盆の頃にはチュウジシギやハリオシギも渡ってくるので、パッと見た目に非タシギはオオジシギであると決め付けることは出来ません。
求められるのは総合的な判断。
先ずは翼下面。
黒色が優先のパターンであることから非タシギであることが見て取れます。
続いて伸びをした際に見られる尾羽の特徴。
残念ながら肝心要となる外側尾羽がしっかりと見ることが出来なかったものの、僅かに見える部分は白色部がはっきりしており、幅も太めであることが分かりました。
横から見た尾羽の突出具合からチュウジシギを疑いましたが、外側尾羽の特徴を見る限りオオジシギの可能性が高そうです。
決定的な場面を見ることが出来ないかと粘って観察を続けると突然威嚇のポーズ。
多少重なってる部分はありますが、ようやく尾羽をしっかりと見ることができました。
こちらは画像を拡大。
外側尾羽の特徴をしっかりと確認できたことでオオジシギであることが確定。
発見当初はチュウジシギを疑いましたが、やはり総合的な判断が必要だと思わされました。
一頻り採餌をしたところでオオジシギは農道から畔に移動すると稲の隙間を縫うようにして田んぼの奥へ。
この個体の観察はここまでと判断し別の個体を探すと側溝脇で採餌をしている個体に遭遇しました。
パッと見た目に判断することは危険と言ったものの、こちらの個体は見るからにオオジシギ。
側溝に沿うような形で採餌をしていると徐々に距離が遠退いていきましたが、暫くすると田んぼの中からひょっこりと別個体が登場。
威嚇のポーズを何度か見せ、威嚇後にはジャンプを繰り返し再びこちら側へ。
ジャンプをしながら移動をする姿はまるでカンガルー。
かなり近い距離までやって来ると側溝を飛び越え更に接近。
警戒心ゆるゆるの個体に嬉しさを隠しきれません。
ここで翼下面をチラリと見せるサービスタイム。
興味の無い方には単なる縞模様に見えるかもしれませんが、上面の複雑な模様に対して下面の縞模様は美しいと感じます。
伸びのポーズは正面を向いていたため残念ながら尾羽は見ることが出来ず。
欲を言えばキリがありませんが、至近距離だからこそ肉眼でも観察を楽しみその姿は動画でも記録。
偶然ですが短い録画時間の間に様々な行動を見せてくれました。
こちらの動画からはオオジシギの特徴を見ることができます。
お腹いっぱい観察を楽しむことができましたが観察欲は尽きることがありません。
短い夏季休暇だった翌日14日と翌々日の15日も引き続き観察を行いましたが、そちらの様子は次週29日付けの日記で更新したいと思います。
次週更新の日記へ続く。