2021年8月8日
今回の日記はオオジシギの観察記。
シギチの姿がちらほらと見られるようになった7月下旬、自宅周辺では夜になるとジシギの鳴き声を耳にするようになりました。
自宅横の放棄地には早くもタシギが複数個体入っているようですが今回はオオジシギの観察を予定していたことから8月最初の日曜日は自宅から程近い農耕地へ。
繁殖を終えたオオジシギたちが越冬地を目指して移動を始めるとこちらの農耕地に立ち寄る個体が多く、このタイミングを狙って足を運ぶと複数の個体を容易に観察することができます。
先ずは農道を巡回して渡来状況の確認から。
オオジシギはタシギに比べると比較的乾いた環境で採餌を行う為、目立った場所に出ていることが多いようです。
水張り休耕田ではタシギを容易に観察することができるものの、今や水張り休耕田が皆無に近い状態なので地域によっては観察が難しいかもしれません。
間もなくタシギの渡来が本格化する頃ですが、観察できる期間が長く稲刈り後の田んぼでも見ることができるので観察しやすい季節を待つことが吉。
その一方でオオジシギは今が旬。
個体数の多い今時期に観察しておくことがベストと言っても良いのでしょう。
闇雲に農道を移動するだけでも次々にオオジシギを確認。
羽に着目すると幼鳥も相当数入っていることが判り、こちらの農耕地にはどれ程の数が入っているのか。
本県でも繁殖している個体がいる為いずれかの個体は秋田産の可能性もあると思います。
単独に居るように見えても近くに複数の個体が潜んでいることもあり、目の前に居ても気付かずに飛ばしてしまうことも屡々。
近くに居る時ほど気付き難いこともあり、飛ばれることで存在に気付く度に自分の注意力の無さに苛立ちを覚えます。
ざっと回ってみた結果、単独・複数・飛ばしてしまった個体を合わせると20羽以上を確認。
画像では判りにくいと思いますが、この日確認できたタシギは左に写る個体のみ。
こちらの農耕地は水田から転作した枝豆畑が多く、餌の採りやすさと身の隠しやすさからもオオジシギが好む環境なのかもしれません。
偵察が終わったところで本格的な観察へ。
個体が多いことでディメリットとなる面があり、警戒心の強い個体が飛び立つと釣られるように周囲の個体も飛び立ってしまうことがあります。
そのため観察する場合はなるべく単独で採餌をしているような個体を見つけて性格を知ることが第一歩。
こちらの個体は幼鳥。
まだ幼羽が目立つ個体であることが見て取れます。
腰を据えて観察に当たろうかと思いましたが前方から2羽のオオジシギが此方に飛んで来たかと思った瞬間、目の前に居た個体と周囲に潜んでいた個体が同時に飛び立ってしまいました。
間もなくして視界に入ったのはトビ。
おそらく警戒して飛び立ったのでしょう。
振り出しに戻され新たな個体を捜索してみると別個体の幼鳥が観察しやすそうでした。
ジシギは“警戒心の塊”と言われることもあるようですが私はそう思いません。
確かに一定程度の距離を保とうとする個体や直ぐに飛んでしまう個体も見られますが、飛ばれる前に見つけることさえできれば寧ろ観察しやすい鳥だと思います。
警戒するとその場に伏せて動かなくなるという習性もありますが、警戒が解けると距離を取らずにその場で長時間採餌を続けるなんてこともざらにあります。
こちらは突然飛んできたアオサギを警戒して伏せた瞬間。
性格についても個体差が大きく、のんびりした個体であれば望遠レンズでは撮影不可の距離で見られることもあり肉眼でも充分に観察を楽しむことができます。
過去の観察経験を振り返ってみても警戒心の塊と思ったことはありません。
勿論、地域や環境の違いで同じ鳥であっても全く違った鳥のように思えることもあるので一概に言うことは出来ませんが・・・
単に私が恵まれた環境で観察が出来ている話なのであれば、それはそれで嬉しいことでもあります。
幼鳥を観察した後は成鳥の観察へ。
畔を突っつきながら採餌をしている個体を見つけ、その様子をのんびり眺めていると採餌が終わった後に嘴の開閉を繰り返していました。
鳴き声を発する訳でもなくただ嘴の開閉を繰り返すだけのこの行動、オオジシギに限らず他のジシギに関しても同様の行動をよく目にします。
時には嘴の先端をクネクネと動かす様子も見られますが、採餌後に腹を落ち着かせるためのリアクションの一つなのでしょうか?
嘴を開閉させ、時々先端部が反り返る様子を動画でも記録してみました。
暫くこの時間が続くと思い出したように採餌を再開。
徐々にこちら側へ向かって来たのであわよくば間近へ寄って来ないものかと期待が膨らみます。
小刻みに頭を動かし当たりを確信すると嘴を土壌の奥深くまで挿し込みミミズを捕らえているようでした。
一見して闇雲にやっているように見えても自在に動く嘴の先端がセンサーのような働きをしているのかもしれません。
採餌の様子を見ていると距離がどんどん縮まっていきます。
この辺からは興奮状態。
普段コソコソしている鳥がお構い無しに近寄って来る訳ですから嬉しさしかありません。
正直なところこの距離まで来ると撮影はかなり雑になってしまいます。
撮影の上手な方であればこんな時ほど良い写真を撮影されると思いますが、私の場合写真は副産物になってしまい目の前を横切る鳥に興奮しているだけ。
流石に近過ぎたと感じたのかオオジシギは枝豆畑の奥へ姿を消してしまいました。
ここで我に返ったように冷静さを取り戻しますが、副産物を見直すことで毎度反省の繰り返しとなります。
この日の観察では伸びをした際に見える腋羽や尾羽の開く瞬間を何回か撮影することができたものの、どれも今一つという結果でそちらについては後日改めて・・・
観察の最後は絵面に拘った写真を残したいと考え、良いシチュエーションで撮影を許してくれる個体を探し試行錯誤を繰り返してこちらの写真を撮影することができました。
環境、構図、前後のボケなど珍しく撮影に拘って撮影した写真です。
まぁまぁ良く撮らせてもらえたのではないかと自画自賛。
今回はオオジシギの観察・撮影が楽しかったという誰の得にもならない内容になってしまいましたが、懲りることなく再び自己満足全開の日記を更新する予定です。
本日の誰の得にもならない日記はこの辺でおしまい。