2022年12月19日
本日更新する日記は探鳥ガイド記。
先月20日は関西からお越しのお客さんよりガイドの依頼を受け、大潟村を中心に観察を行いました。
普段は自宅周辺でバードウォッチングを楽しまれているお客さんにとって旅先での観察は初めてとのこと。
そのため北国らしい鳥をメインとして目にする鳥を手当たり次第観察するという形で探鳥を進めることに。
お客さんをお迎えして間もなく観察を行ったのはハクガンの群れ。
待ち合わせ場所へ向かう際、ハクガンの群れを確認できていたことから手短に挨拶を済ませ早々に観察を始めました。
群れの中からアオハクガンを探し、同時にシュジュウカラガンも観察。
やや距離が離れていたこともあり、敢えてその距離を活かし群れ全体が飛び立つ場面を撮影して頂こうと思いましたが...
飛び立つ気配が感じられず待つこと約一時間。
ハクガンの群れはようやく飛び立ちました。
広大なロケーションを飛ぶハクガンの群れは朝陽に照らされキラキラと輝いて見えます。
ハクガンを見送ったところで次に観察を行ったのはヒシクイとマガンの群れ。
両者の特徴を説明しながら観察をしていると他の群れが合流してきたことから鳴き声の違いについても理解して頂くことが出来ました。
続いて観察したのはオオハクチョウ・コハクチョウ・アメリカコハクチョウ。
こちらについては体長の違いだけではなく嘴の特徴を基に識別ポイントを解説。
群れの中には田んぼを掘り起こし顔を泥まみれにしている個体も。
この後はお客さんのリクエストに応える形でタゲリを捜索。
難なく発見することが出来たものの逆光により綺麗な玉虫色を見ることが出来ません。
そこで順光側へ回り込みお客さん優先で観察して頂きました。
お客さん曰く、とても綺麗に見ることができたそうです。
タゲリの観察を終えて間もなく聞こえてきたのはハクガンの鳴き声。
ふと空を見上げるとハクガンの群れが頭上を通過。
周囲を旋回するように飛んでいたハクガンは私たちの直ぐそばへ降りてくれました。
このチャンスを活かして近い距離からハクガンをじっくりと観察。
成鳥と幼鳥の違いを肉眼でも観察できたことは大きな収穫となったようです。
次に見ることが出来たのはチョウゲンボウ。
こちらの個体は頭上をゆっくりと飛んでくれたため、飛翔シーンを間近に見ることが出来ました。
青空を背景に綺麗な写真になったことでしょう。
近場ではノスリも観察。
餌となる生き物を探しているように見えたことからその場に暫し待機。
そわそわといった様子で落ち着きがなくなり「間もなく狩るぞ」と思った瞬間、飛び立ったノスリは地面へ降りるとモゾモゾと動き覆い被さるような姿が見られました。
猛禽が獲物を捕らえた際によく見せる行動です。
獲物が何であるのか気になり画像を拡大してみたところヒミズと判明。
日を見ない生活をすることで『日不見』という名が付けられたモグラ科の生き物ですが、日の当たる場所へ出てしまったところ運悪くノスリの餌食に...
補食シーンを最後まで見届けた後はカンムリカイツブリを観察。
次は何を見て頂こうか思案していたところ野鳥の会の方から電話が入り『サカツラガンが見つかった』という一報が。
実はこの前日、野鳥の会の方がサカツラガンを確認したとの情報を得ていましたが当日は何名かの方が手分けをして探していたようです。
幾らスコープで丁寧にチェックをしたとしても広大な敷地の中から探し出すのは難しいと考えていただけにその執念に感服。
幸いにして発見場所は遠く離れていなかったことから現場へ急行するとガンの群れにカメラを向ける会員の方々が並んでいました。
私も御相伴に預かろうと思い双眼鏡でチェックするもののサカツラガンの居場所を特定することが出来ません。
「飛び立ってしまったらどうしよう」という焦りもあったでしょうか。
スコープを覗かせてもらうことで何とかサカツラガンの居場所を特定することができ、その際に撮影した画像がこちら。
画像の中央にサカツラガンが写っています。
換算で700mmの画像になりますが距離が離れ過ぎていて正直なことろ何がなんだか...
画像を最大まで拡大してやっと分かる程度です。
近くで見たいという気持ちは皆さん同じだったことでしょう。
居合わせた方たちと少しずつ距離縮め何とかそれらしい観察をすることが出来ました。
私は非会員ですが、この様に情報を提供してくださる会員の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
この時は普段主役のハクガンもサカツラガンの登場によって脇役扱い。
そんなハクガンたちをローアングルで撮影してみました。
サカツラガンの観察を終えて時刻を確認してみると観察時間も残り僅か。
お客さんは夕方の便で秋田を離れる予定であったことから時間の許す限り行き当たりばったりの形でフィールドを回ることに。
水辺近くを移動していたところ目に入ったのは葦原の上をヒラヒラと飛ぶチュウヒの姿でした。
この時は停車することなく風上側へ先回り。
接近してくるチュウヒを待ち構える作戦です。
チュウヒは予想通りのルートを辿り間近で飛翔する姿を見ることができました。
チュウヒの飛翔シーンを見た後にはお客さんよりコクマルガラスのリクエストが。
やや距離は離れていたものの時間内に無事発見。
本来であればもっと近くから観察して頂きたかったのですが、農道の形状から距離を縮めることは難しいと判断。
下手に接近するとミヤマガラスの群れと共に飛んでしまいます。
それでもお客さんに満足頂けたことは幸いでした。
最後には遠く離れた山並みを背景に飛び交うガンの群れを眺めてこの日の観察を終了。
短い時間でしたが晩秋の秋田を満喫できたでしょうか。
Fさん、寒いなかでの観察お疲れ様でした。
また機会がありましたら秋田へお越し下さいませ。
本日の観察日記はここまで。