2022年12月30日
早いもので今年も残すところあと僅か。
総集編を更新するにあたって今年一年を振り返ってみると嘗てないほど県外へ出掛けた年になったと改めて実感しました。
月に一度のペースで出掛けたことにより楽しい思い出も沢山できましたが、地元の観察が疎かになってしまい大事な時期を取り零してしまったことも...
加えて今年は業務多忙な日が続き満身創痍の状態にあったと感じます。
休日出勤も多く疲れが残ったままの観察は集中力に欠け、自宅周辺において簡素に済ませてしまう観察も多くありました。
第三者的な視点で考えると休養日を設けることで解消できる話になりますが私にはその選択肢がありません。
のんびりしている方を羨ましく思う一方、いざ自分に余裕のある時間ができてしまうと落ち着かず何かしていないと勿体ないように感じてしまいます。
友人からは『何をそんなに生き急いでいる?』と言われたこともありましたが私は生まれ持っての貧乏性なのかもしれません。
とは言っても仕事があり趣味を楽しめるということは幸せなこと。
趣味があるからこそ仕事に張り合いも生まれます。
年の瀬に際し、貧乏性の私が地元で見ることのできた鳥を各月毎にピックアップ。
2022年はどの様な出会いに恵まれたのか写真で一年を振り返ってみたいと思います。
1月 【ハクガン】
記録的な大雪に見舞われた昨シーズンの冬。
徐排雪が追い付かず観察どころか日常生活もままならない状態でした。
フィールドは雪に閉ざされ県内で越冬するガン・カモ類は飢えを凌ぐため異例の南下。
僅かに残った個体群は餌を求めて右往左往しており、用水路に入り採餌をしているハクガンが見られました。
2月 【オオワシ】
毎年渡来している個体ですが、この彼もまた大雪の影響を受けていたことでしょう。
水辺は完全結氷し魚は捕れず、ガン・カモ類もほぼ姿を消していたことから一体どの様に飢えを凌いでいたのか...
視界が失われるほどの暴風雪になった日も多く、落鳥の心配もありましたが生存の無事を確認できた時の安堵感は忘れられません。
3月 【アオシギ】
大荒れの天候のなか探し回ってようやく見つけることのできたアオシギ。
発見当初から寝ている時間が続き、2時間ほど経過してようやく活動を開始しました。
雪の上を歩き足跡を付けながら餌を探す様子は北国ならではといったところでしょうか。
4月【アホウドリ】
3年ぶりに行った秋田沖での海鳥観察。
海鳥観察の経験が少ない私にとって毎回新たな出会いに恵まれていますが、この時は予想もしなかったアホウドリとの出会いに恵まれました。
秋田沖での記録はほぼ無いに等しいため大変嬉しく思う一方、増え続ける洋上風力の影響が心配です。
5月【ツバメチドリ】
南西諸島では容易に見られるツバメチドリも秋田県では珍鳥扱い。
渡来数が極端に少なく、ツバメチドリが好む環境が広大であるため地元ではなかなかお目にかかれません。
そのため地元で観察するには探鳥力よりも運の良さが必要かも。
6月 【ノジコ】
今年は少しでも涼しいうちにと6月上旬から始めたノジコの観察。
過去の経験を基に秋田市で繁殖する個体を探し回ってみたところ29羽を確認。
繁殖地として選ばれる環境には法則があり、高密度に分布している場所を突き止めることができました。
本県においても局所的に繁殖するノジコですが、日本でのみ繁殖するこの鳥を末永く見守っていきたいと思います。
7月 【チゴモズ】
断片的な観察に終わったチゴモズ。
今季巣立ちを確認できたのは1ペアのみとなってしまいました。
例年であれば渡来状況の確認から営巣まで各地で調査を行い、例年比を記録していますが今年は度重なる旅行が原因で正確な数を把握することができず...
この点に関しては致し方無いといったところです。
8月 【カヤクグリ】
涼を求めて山へ登りましたが悪天候に見舞われ震える思いでした。
その様ななか本来目的とする鳥は見られなかったもののカヤクグリの家族群に遭遇し間近で観察。
時には足元へ出てくることもあり、人を警戒しない様子に驚かされことを思い出します。
9月 【タシギ】
8月に入ってから継続的にジシギの観察を行いましたが、今季は伸びきった雑草の影響により観察自体が困難な状況でした。
非タシギが数を減らしタシギの数が優勢となった頃、ようやく観察に漕ぎ着けたのがこちらのタシギ。
採餌の場面~腋羽と尾羽をしっかりと見せてくれたタシギに感謝。
10月 【ソリハシセイタカシギ】
近い将来地元でも見られる日が来るだろうと考えていましたが、念願叶って地元で観察することができました。
確認当初は1羽でしたが観察を続けていると別個体が飛来。
上面には褐色の羽が見られ幼鳥の特徴を示していたことからこの2羽は親子関係にあったのかもしれません。
本県で再び見られる日が来ることを願うばかりです。
11月 【コヒバリ】
空振り続きだった今秋の探鳥。
珍鳥どころか普通種すら見られないことも多く、鳥類そのものが減少傾向にあることを感じさせられました。
その様ななかやっとの思いで見ることができたコヒバリは強く印象に残ります。
警戒心の強い個体であったことから思うような観察をすることができず手強い相手でした。
12月 【ユキホオジロ】
クリスマス寒波が襲来し本県も暴風雪警報が発表された荒れ模様のクリスマスイブはサンタからユキホオジロのプレゼントがありました。
渡り期には姿を見ることができず今季の観察は諦めていただけに目にした瞬間の嬉しさは言葉で言い表せません。
少数ながらも本県において越冬している個体は確実にいるはずですが、現在までに越冬場所を割り出せずにいます。
この点が今後の課題。
こうして一年を振り返ってみると、遠方での観察が多かった割りに良い出会いに恵まれた一年だったと感じます。
しかし現実を直視すると鳥類全体の数が減っているのは明らかであり、野鳥観察そのものが難しくなっていると感じさせられる場面も多々ありました。
その原因として一番に挙げられるのは鳥が暮らしやすい環境の喪失にあるでしょう。
環境保全の重要性については当ホームページでも度々話題にしていますが、本県を例に挙げると開発のラッシュが止まりません。
陸地だけではなく洋上風力の建設が加速し鳥類への影響は甚大でしょう。
また大規模な太陽光パネルの設置も同様に進み景観が一変した地域もありました。
高齢化や自然に携わる人材の減少も一つの原因となっているように思います。
手入れのされない山は藪となり、一見自然豊かのように見えても実際そうではありません。
こうした要因が幾つも重なることにより鳥の棲みにくい環境になっているのではないでしょうか。
地球規模で考えると温暖化の問題もありますが、鳥の棲みにくい世の中は人間にとっても住みにくい世の中。
鳥に限ったことではありませんが様々な生き物たちと共存できる世の中になることを願ってやみません。
取り留めのない文章になってしまいましたが、2022年の総集編を締め括るにあたり最後に掲載するのは今年最も印象に残るオオチドリ。
3月27日、当たり前の様に採餌をするオオチドリが視界に入り自分の目を疑いました。
「秋田に居るはずのない鳥が何故...」と思いながら撮影しましたが、カメラを持つ手は震えていたと記憶しています。
色々な意味で記憶に残ったオオチドリですが、また来年もこのような出会いに恵まれることを期待して総集編を終わりたいと思います。
今年一年、当ホームページをご訪問頂き誠にありがとうございました。
残すところあと僅かとなりましたが、来る年も皆様方にとって幸多き年となることをお祈り申し上げます。
それでは良いお年を...