2022年5月9日
本日更新する日記はコマドリの観察記。
例年4月上旬~中旬頃になるとコマドリの渡来に合わせて観察を行っています。
しかし今季は渡来時期が遅れることを予想し4月下旬に観察を計画。
秋田県以南の地域で確認されるコマドリの動向に注目し、秋田県へ到達する頃を見計らって観察地へ足を運んでみましたが例年観察をしている場所では姿を確認することが出来ませんでした。
捜索の範囲を広げることで何とか渡来を確認できたものの観察には程遠い状態。
証拠写真だけでもと思い撮影した画像がこちら。
最大まで拡大することで何とか分かる程度です。
この後は根気勝負。
目の前に現れることを期待して今か今かと待っていましたが、姿を見ることができたのは1~2分程度と極めて短いものでした。
落ち葉の積もった斜面を移動する姿を目で追い、またもや証拠写真を撮っただけに留まりましたがこの後は全く姿を見ることが出来ず..
待てど暮らせど姿を見せないコマドリの代わりに観察を楽しませてくれたのはミソサザイ。
人の気配を気にする様子もなく目の前に現れると囀りを披露。
大きく開いた口からは舌も覗かせていました。
体長の割に声量が大きいため囀りは広範囲に響き渡ります。
一度囀り始めると長い時間姿を見ることができるので撮影という面においても随分と楽しませてもらうことができました。
こうした行動とはうって変わり採餌を始めると撮影は容易でありません。
素早く動くことに加え、国内で見られる野鳥では最小クラスの種であることから途端に撮影が難しくなります。
僅な隙間を縫うようにして移動すると肉眼では見えない虫を捕まえているようでした。
次第にミソサザイも姿を見せなくなり10時を過ぎると鳥たちの休憩時間。
賑やかだった鳴き声もパタッと聞こえなくなり気配すら感じられなくなります。
ここからは修行とも思える時間が続きました。
いつコマドリが出るのか全く見当がつきません。
あまりにも出が悪いと場所を移動して「他の鳥を探した方がいいのでは?」という気持ちも少なからず湧いてきます。
しかし粘れば粘るほどに「諦めて離れた後に出るかもしれない」という考えと「ここまで待ったから」という気持ちが時間の経過と共に大きくなりました。
正に辞め時が分からない状態に陥ると次第に落ち着きもなくなります。
居ても立っても居られず周辺をウロウロしていると置き物のように動かないカワガラスを目にしました。
暫くシャッターを押していなかった手持ち無沙汰も相俟って、カメラを構えてみると丁度良く伸びの瞬間を撮影させてもらうことができました。
足を伸ばしてストレッチをした後は翼を上に広げるお馴染みの姿。
ミソサザイやカワガラスは良い観察ができた一方で肝心のコマドリは一向に姿を現さず..
鳴き声も聞こえなければ気配も感じません。
時々捜索範囲を広げてあちこち見て回るも姿は確認できず時間が経過していくだけでした。
気が付くと既に陽は傾いており諦めの気持ちが漂い始めていたその時、拍子抜けするかのように表に出ていたコマドリを発見。
しかしコマドリは直ぐに笹藪の中へ..
笹が揺れることで居場所は特定できてもハッキリと姿を見ることはできず、苦し紛れに撮影を試みましたが撮れたとしてもこの程度。
じっと待っていたらきっと良い場所に出てくれたことでしょう。
しかしこの日は気持ちに余裕がなくコマドリの動向に合わせて移動する他ありませんでした。
暫く粘ると一瞬だけ開けた場所へ出てくれましたが、こちらの挙動を気にしてか直ぐに藪の中へ..
撮影できた画像を確認してみると全てのカットで特徴が合致することから、この1羽のみの渡来であることが判明しました。
例年であれば複数の個体を見ることができますが、今季は渡来数が少ないのか時期が遅れているのかどちらかであると考えます。
再び藪の中を移動する気配を頼りに動向を探りましたが、僅かに見え隠れする姿をよく見てみると大きなミミズを捕まえていました。
ミミズを突っつき振り回しているところまでは見ることができたものの、残念ながらその後の様子は見ることができず..
「丸呑みしたのだろうか?」などと想像を膨らませましたが今季のコマドリ観察はここまでとしました。
修行とも思える長い一日でしたが、これはこれで記憶に残る観察日になったことは間違いありません。
また来季チャンスがあれば観察に赴きたいと思います。
本日の観察日記はここまで。