2023年2月27日
本日更新する日記は先月22日の観察分から。
新年を迎えて以降、コミミズクの観察が続きケアシノスリの捜索も不調に終わっていました。
同じ鳥を観察することで新たな発見も生まれますが、繰り返しの日々に変化をもたらしたいと考えこの日はレンジャクの観察を計画。
例年1月下旬頃になると秋田市の住宅地でも見られることから、前日(先月21日)は思い当たるエリアを片っ端から偵察。
しかしこの日の時点で秋田市内においては1羽も確認できず。
レンジャクの渡来数は年によって変動が大きく、千羽単位で見られることもあれば全く見られない年もあります。
但し私の住む秋田市で確認できない年であっても県の北部地域では観察されることが多く、この日は普段足を運ぶことの少ない地域で探鳥を行うことに。
秋田市から北上するにつれ徐々に雪深い景色へと変わり、内陸部へ達した頃には-6℃と厳しい寒さ。
それでも例年に比べると暖冬傾向の影響から積雪量は少なめだったでしょうか。
普段とは違う景色を楽しみながらドライブをしているとあちこちにヤドリギが見られるようになりレンジャクとの出会いに期待が高まります。
レンジャクの観察と言えばヤドリギを連想される方が多いかもしれません。
しかし私はこれまでにヤドリギに群れるレンジャクを観察した経験が無く、もっぱら“ナナカマドに群れる鳥”という印象を持っています。
ヤドリギに群れるレンジャクを連想しながら車を走らせていると20羽ほどの群れを発見。
こちらの直ぐ下にはヤドリギの実がなっており、啄んでは高木の枝先に戻る様子が見られました。
早速その様子を撮影しようと思い車内からカメラを向けていると背後から通行人が...
「何でこのタイミングよ」
と思った瞬間、一斉に飛去するレンジャクの群れ。
仕方のないこととは云えタイミングの悪さに頭から湯気が立ち上ぼりました。
飛去した方角を中心に探し回ってみたものの再び見つけることはできず...
こちらでの観察は難しいと考え新たな出会いを求めて移動したところ、街路樹のナナカマドに群れる10羽ほどのレンジャクを発見。
こちらはキレンジャクですが、本県において見られるレンジャクの群れはほとんどがキレンジャク。
ヒレンジャクを観察する機会は多くありません。
日本へ渡来するレンジャクは傾向として東日本にキレンジャクが多く西日本にヒレンジャクが多いとされています。
この時に見られた群れも全てキレンジャクでした。
私の記録を振り返ってみても9:1の割合でキレンジャクが圧倒的に多いでしょうか。
2018年1月下旬にはヒレンジャクだけの群れを観察した経験があり、この記録は本県において珍しいケースと言えます。
※2018年1月27日 撮影
ナナカマドの実を啄むキレンジャクの群れを数カット撮影しましたが、こちらは交通量が多く道路もアイスバーンであったことから長時間の停車は危険。
早々に場所を移動し最寄りの駐車場へ。
腰を据えて観察に当たろうと思い群れが見られた場所へ戻ったところ、キレンジャクの姿は見当たらず...
「どさ行った?」
居なくなるとは思わず完全に目を離していたこともありどちらの方角へ飛んだのかも分かりません。
こうなっては闇雲に探す他なく運に任せて車を走らせているとナナカマドに似た木に群れるレンジャクの群れを発見しました。
私は植物に関する知識が浅いためこの木がナナカマドであるのか定かではありませんが、何となく違うような...
こちらで見られた群れには1羽だけヒレンジャクが混ざっており、先に見られた群れとは違うようでした。
ヒレンジャクには思うよう撮影させてもらえず個体数の多いキレンジャクを連写。
つい先日のことですがポーランドから発信されたニュースによると、腐ったナナカマドの実を食べたレンジャクが酔い潰れていたそうです。
記事に添付された写真には地面に転がるレンジャクたちの姿があり、一見して死んでるようにも思えました。
海外では他にも類似したケースが観察されおり時間が経つと普通に起き上がるそうです。
私はそのような場面に出会したことはありませんが、過去の観察を振り返ってみると気になることが...
住宅地で採餌をしていたレンジャクの群れを観察していたところ、群れの1羽が民家に衝突。
間もなく落鳥を確認しましたが、酔って民家にぶつかったのかもしれないと考えナナカマドの実が腐るとどうなるのかについて調べてみました。
先ずは名前の由来から。
大変燃えにくい木であることから7回竈にくべても燃え尽きないということから七竈という名が付いたそうです。
次いで腐るとどうなるのか。
アルコール成分でも発生するのかと思い調べたところ...
腐らないという事実が判明。
ナナカマドは実を付けた当初は緑色をしていますが、熟すにつれてオレンジ色から赤色へと変わります。
この点については私も普段目にしていることから特に気にすることはありませんでしたが、落葉後も赤色の実はそのままの状態を保ち続けるということに着目したフランスの研究者がいました。
実が腐らないことを不思議に思った研究者が成分を調べてみたところ“ソルビン酸”という成分が含まれていることを突き止めたそうです。
このソルビン酸は腐敗を抑制する効果があり、私たちが普段口にする食材の保存料として利用されているのだとか。
腐らないと言えば語弊がありますが、真冬になっても赤い実をつけたままの状態を保てるのはソルビン酸の成分が関係しているようでした。
肝心要の腐りにくいナナカマドの実が腐るとどうなるのかについて。
更に調べを続けてみたもののレンジャクが酔っ払うという現象に結び付くような答えは見つからず真相は謎のまま...
納得のいく答えをお持ちの方いらっしゃいましたら、是非ご教示下さいませ。
この日の観察では3ヵ所でレンジャクの群れを確認できましたが、果たして秋田市まで南下して来るのでしょうか。
レンジャク見たさに県の北部地域まで足を伸ばし、この日の走行距離は360km超。
ちょっと走り過ぎました...
当たり年と言われた2020年は秋田市の住宅地に大群が押し寄せ、ナナカマドだけでは物足りずエンジュの実を根こそぎ食べていった光景を思い出します。
こちらは食べ損ねた実を拾って採餌をしている様子。
あの様な光景はなかなか見られないと思いますが、自宅近くで観察できる日を心待ちにしてこの日の観察を終えました。
本日の観察日記はここまで。