2023年3月6日
本日更新する日記は先月5日の観察分から。
長崎での弾丸旅行を終えた翌週、久しぶりに大潟村へ行ってみると田んぼは一面雪に覆われこの時期らしい光景が広がっていました。
雪の少ない冬が続いていたところに強い寒気が南下した影響で一気に積雪量が増えた模様です。
幹線道路は綺麗に除雪されていたものの、観察の際に通る道路は除雪されておらず走行するのも一苦労。
吹き溜まりを突き進むと結氷した水路にはオジロワシの姿が。
積雪の影響かガンの数が少なく閑散とした雰囲気の大潟村。
農道に立ち入ることも難しく、無理をすると入れるもののそこまでする価値があるのかと自問自答した結果、早々と大潟村を離れることに。
観察場所を海沿いに移し目にしたのは今季初認となるコクガン。
以前は毎年同じ場所で見られていたコクガンも現在は不定期に渡来するといった形に変わりつつあるようです。
採餌の様子をぼんやりと眺め、今後の時間の使い方を思案。
ここで思い付いたのがクイナの観察でした。
例年、積雪量が多くなったタイミングを見計らって越冬個体の観察を行っています。
行動範囲が狭くならなければ観察することの難しい種とあって果たして今季も見られるのか...
観察場所へ移動しクイナの気配を探りましたが、時々射し込む陽の光が逆光となり非常に探し難い状態でした。
水辺を眺め気配を探ること約20分。
葦の隙間を縫って移動するクイナを確認。
動きが速くMFでのピント合わせが追い付かずピンぼけ写真です。
先ずは今季も生息を確認できたことにホッと一安心。
次の課題となるのは如何に良い条件で観察できるか。
“見たい・撮りたい”を同時進行で、尚且つ好条件を目指すには厳しい環境です。
肉眼でハッキリ見ることができても撮影となると容易ではありません。
そのため比較的抜けの良い場所で採餌を行うまで辛抱強く待つ必要があり、これには運要素も加わってきます。
過去の観察を振り返ると終始藪の混み合った場所で採餌を行うこともあり、今回はどうかと思いましたが幸いにも早い段階で抜けの良い場所へ来てもらえました。
こちらの水辺は厳冬季であっても所々に水の流れがあり、雪の融けている部分があります。
こうした場所で採餌を行う為この時期は狙って観察できますが、一度雪が融けると行動範囲が広くなり繁殖期はどの様に暮らしているのか分かりません。
落ち葉をひっくり返したり嘴を深く挿し込んだりといった様子で餌を探しているようでしたが、この時は何を餌としているのか見て取ることはできませんでした。
こちらの個体はおそらく昨年観察した個体と同個体。
行動パターンが全く同じであることからその様に判断しましたが、行動範囲は半径約50mといったところでしょうか。
雪の融けている場所を選び転々と移動しながら採餌を行いますが、雪原を移動する際には駆け足で移動します。
クイナの移動に合わせるようにして私も移動していくと、突然別個体が駆け足で現れ『クイーッ』という鳴き声を発し観察していた個体が追い払われてしまいました。
おそらく別個体の縄張りに入ってしまったのではないでしょうか。
こうした様子からも観察を続ける個体は放浪癖があるように思います。
昨年も主に採餌している場所を離れ別個体の縄張りへ入ると再び元の採餌場所へ戻るといった行動が見られました。
今回の観察では間近で採餌をする場面が多く、過去の観察を振り返ってみても一番条件が良かったかもしれません。
逆光の時間が長く撮影に関しては厳しい条件でしたが肉眼での観察においては充分といったものでした。
観察を続けると土壌に嘴どころか頭ごと突っ込み餌を探す場面も。
何を探しているのか注視していたところ、落ち葉の下で冬眠するカエルを掘り当てる場面が見られました。
こちらは拡大画像。
少々藪の混んでいる場所であったため撮影に苦慮していると、クイナはその場で捕食することなく移動を開始。
突然ターボが掛かったように駆け足で移動すると雪の窪みの中へ...
間もなく姿を現しましたがクイナの嘴にカエルの姿がありません。
以前の観察でも冬眠中のカエルを掘り当てる場面を目にしましたが、その場で直ぐに捕食する様子が見られました。
しかし今回はどう考えてもカエルを隠してきたとしか思えません。
カラス科の鳥のようにクイナにも貯食の習性があるのでしょうか。
狙って観察をしているとは云え、通算で考えても私の観察回数は少なく今回の行動について詳しいことは言えませんが非常に面白い場面に遭遇したと思います。
この様に楽しい観察は続きましたが時間の経過と共に逆光がキツくなり、この日の観察はある程度の所で区切りをつけ終了としました。
現在はすっかり雪も融け今の暮らしぶりはどの様なものなのか分かりませんが、また季節を変えて観察ができればと思います。
本日の観察日記はここまで。