前回の続き。
お客さんのリクエストを受けて急遽決まった沖縄本島の旅。
ノグチゲラとケナガネズミの観察をしたいというリクエストから寄り道することなくやんばるの森へ。
探鳥を始めて間もなく幸運にもノグチゲラを発見することができ幸先の良いスタートを切ることができました。
その後ヤンバルクイナをじっくりと観察することができたものの降雨の影響からナイトウォッチングは順延に...
日付を跨いで日程2日目はヤンバルクイナ~ホントウアカヒゲ~ノグチゲラと順に観察することができ、やんばる三大固有種をコンプリート。
正午を過ぎたところで夕方からの観察に備え少々休憩を取ることに。
2023年4月22日(午後)
陽が傾き加減になると静かになっていたやんばるの森に活気が戻り再びヤンバルクイナの観察へ繰り出しました。
前日夕方に水浴びを観察できた場所へ行ってみると道路脇に出てきたヤンバルクイナを目撃。
間もなく駆け足で道路を横断。
繁みの中で待つ雛の為に幾度となく道路を横断しているようです。
繁みの中へ姿を消して間もなく岩場をウロウロするヤンバルクイナの姿が。
タイミング的に考えて道路を横断した個体とは別個体でしょう。
こちらの個体はあちこち動き回って餌を探していたことから行動範囲の広さを感じさせられました。
しかしながら付近には別のペアも生息しているのか追い掛け合いけたたましい鳴き声をあげる場面も。
縄張りの競合による争いであったようですが、縄張りの範囲はどれくらいになるのか気になるところ。
畑から飛び出した個体が道路脇で獲物を咥え直す場面もあり、かなり慌てて出てきたのかもしれません。
餌を横取りされるというケースはあるのだろうかと考えているとバックミラー越しに見えたのは道路に出ている2羽のヤンバルクイナ。
これまでとは異なり随分とゆったりとした様子であったことから車外から撮影を行いました。
私にとって2羽同時に撮影できたのは初めてのケース。
其々別方向へ進み、藪の中へ姿を消す前には片方の個体を撮影。
暫くすると水辺に姿を現し水浴びの場面を期待しましたが、私の期待とは裏腹に泳いで移動を始めたヤンバルクイナ。
水浴びの場面を見ることは出来ませんでしたが、これはこれで稀なケースを目にできたのかもしれません。
まだまだ観察を続けたいところでしたが夕食の配膳時間が迫っており日中の観察はここまで。
夕方を終えて20時からナイトウォッチングのスタートです。
お目当ては日本に生息するネズミ類のなかでも最も大きなケナガネズミ。
南西諸島のみに分布し国の天然記念物に指定され、種の保存法で国内希少野生動植物種にされる希少種です。
更に言うと夜行性であるため観察の機会は多くありません。
また私のような旅行者にとって遭遇できるか否かは運次第と云っても過言ではないでしょう。
ケナガネズミを探してやんばるの森を徘徊すると、ヤンバルクイナやリュウキュウコノハズクの鳴き声が聞こえてきます。
樹上で寝ているヤンバルクイナを見ることができたものの、繁殖期のせいか確認できたのは画像の個体を含め3個体のみの確認となりました。
リュウキュウコノハズクに至っては残念ながら撮影に至らず。
一番数多く見ることができたのはオオコウモリ。
1本の木に複数の個体が集まっており至近距離で観察することができました。
しかしながらオオコウモリとヤエヤマオオコウモリの見分けがつきません。
一体何処に違いがあるのか...
本命のケナガネズミは気配も感じられず遂にギブアップ。
22時30分を過ぎたところでナイトウォッチングを終了し宿泊先へ戻ろうとしたところ...
道路を横断して間もなかったと思われるケナガネズミを発見。
道路脇の繁みに頭を突っ込み今にも姿を消そうとしている場面に遭遇しました。
慌てて車を降りましたがケナガネズミは繁みの中へ。
しかしまだチャンスは残っています。
ケナガネズミは樹上を移動する生態の持ち主であることから「木に登ってくれ」と声を上げたところ、ガサゴソと音を立て木をよじ登り始めました。
しかし望遠レンズが仇となり全身を写すことができません。
何とか顔を写したいという思いで右往左往した結果...
このカットを撮影できて間もなく闇の中へ。
願いが通じたのか分かりませんがケナガネズミを見ることができ達成感に満ち溢れていました。
達成感を持って宿へ戻ったのは23時過ぎ。
興奮冷めやらぬ状態でしたが早朝から観察を始めていたこともあり、この日は泥のように眠りにつきました。
2023年4月23日
ショートスケジュールの旅はあっという間に最終日。
この日はようやく青空が広がる良いお天気に恵まれたことから三度ノグチゲラの観察へ。
とは言っても秋田までの乗り継ぎを考慮するとゆっくり見ている余裕はありません。
既にお客さんのリクエストに応える観察はできていたことから青空を背景にノグチゲラの撮影を行いやんばるの森での観察は終了です。
帰りがけに30分ほどシギチの観察を行いましたが特に目を引いたのはウズラシギの群れでした。
秋田ではウズラシギ自体見る機会が少ないことから地域性の違いを感じさせられます。
旅の最後は畑を飛び回るクロハラアジサシを見て沖縄本島での観察を終了。
移動日を含めて2泊3日の旅は非常にコンパクトでしたが良い結果を残すことができ思い出に残る旅となりました。
また次の機会には更なる成果を...と言いたいところですが沖縄本島での観察には続きがあります。
そちらはまた後日お話することとして、一先ずこちらの旅行記はここまで。
2023年 野鳥観察の旅 in 沖縄本島(4月)はこれにておしまいです。