前回の続き。
二週連続で訪れた沖縄本島。
前週の二番煎じにならないようにとあれこれ考えながら探鳥を進めた今回の旅。
日程初日~2日目は夏羽に換羽したツバメチドリ・推定チュウジシギ・推定ハリオシギを数多く見ることができた他、リュウキュウヨシゴイも観察することができました。
姿を見かけることはあってもなかなか観察に結びつかないリュウキュウヨシゴイ。
想定外の観察に私は勿論のこと友人の顔にも笑みが溢れていました。
2日目の観察を終えた後は翌日からの観察に備えてやんばるの森へ。
3日目からはやんばるの森でヤンバルクイナ・ノグチゲラ・ホントウアカヒゲを観察します。
2023年5月1日
日程3日目はヤンバルクイナの観察からスタート。
やんばるの固有種を観察するのは初めてという友人。
そのため手堅くヤンバルクイナを見せてあげたいという思いから、前週の旅行で頻度良く見掛けた場所へ行ってみることに。
観察場所へ着いて間もなく道路脇に出てきたヤンバルクイナを確認。
画像にあるよう、やんばるの森にはCAUTIONの看板があちこちに設置されています。
看板の直ぐ脇から出てきたヤンバルクイナですが、こちらは横断の目撃が多いことから設置されたものかもしれません。
道路を横断したヤンバルクイナは畑へ一直線。
採餌を始めたことを確認した上で慎重に車を寄せていきます。
これが功を奏し採餌の様子を間近で観察することができました。
ヤンバルクイナを間近で観察できた友人は大喜び。
初めての観察としては上出来だったことでしょう。
一連の行動を繰り返し観察することで何処を通過するのか把握できたことから道路を横断する瞬間を狙いました。
こちらも狙い通り、疾走する場面の撮影に成功。
友人は早朝の時間帯だけで相当な撮影枚数になっていたかもしれません。
早朝の観察を終えた後は一度宿泊先へ戻り朝食タイム。
朝食を頂いた後はノグチゲラの観察へ。
こちらも前週に訪れた場所です。
ノグチゲラを観察する傍ら、耳にするのはホントウアカヒゲの囀り。
時に間近で聞こえることもありましたが姿を見ることはできませんでした。
やんばるの森では普段見ることのない蝶も多く、友人はそれらも熱心に撮影していましたが昆虫好きの知人へ画像を送りたいのだとか。
鳥ですら知識の乏しい私にとって他の生き物はことはさっぱり分かりません。
あれこれ見ているうちに正午を迎え観察に一区切り。
ここで友人にコンビニのサーターアンダギーを無理矢理食べさせてみることに。
画像は前週の使いまわし。
どの様な反応を示すのか気になって仕方ありませんでしたが、友人が口にした言葉は『美味しい』という一言。
本当に美味しいと思ってもらえたのかについては謎。
道の駅では買い物を楽しみ、隣接する食堂でソーキそばを頂くことに。
午後から再びやんばるの森をウロウロしてみましたが、早朝のような賑やかさは無くこれといった収穫はありませんでした。
そのため宿泊先で休憩を挟もうと思ったところリュウキュウイノシシと遭遇。
宿泊先の敷地内に現れ夢中になって地面を掘り起こしていましたが、遭遇当初は私たちの存在に気付いていない様子でした。
やんばるの森でリュウキュウイノシシを見たのはこれが3回目。
これまで画像に残すことはできずにいたので三度目の正直といったところ。
夕方からはヤンバルクイナの水浴びを目当てに水辺に行ってみましたが待てど暮らせど姿を現さず...
痺れを切らした私は観察場所を移動。
何処かに出ている個体はいないかと周辺を探し回ってみたところ空き地に出ているヤンバルクイナを発見。
発見当初は1羽でしたが繁みの中から別個体が現れ行動を共にしているようでした。
残念ながら水浴びを見ることはできませんでしたが、明るい環境でペアを観察することができたため結果オーライ。
このペアの観察を終えて一旦宿泊先へ。
夕食を終えた後はナイトウォッチングへ出かけましたが、この日観察できたのは樹上で羽を休めるヤンバルクイナのみ。
残念ながらリュウキュウコノハズクやリュウキュウオオコノハズク、ケナガネズミなどは見ることができませんでした。
2023年5月2日
この日の早朝はホントウアカヒゲの捜索に専念。
これまでにヤンバルクイナ・ノグチゲラを観察できたことから、ホントウアカヒゲを見ることができれば今回の旅は成功となります。
鳥たちの活動が活発になる早朝の時間帯は狙いを絞り捜索を続けましたが...
囀りがほとんど聞こえない。
前週も思ったほど囀りが聞こえないと感じていましたが、今回は更に状況が悪化していました。
南の地域ということもあり本州よりも早い時期に繁殖していることが理由となっているのかもしれません。
時折道路を横切る個体を目にするものの観察に結び付くことはなく諦めの気持ちさえ見え隠れするようになりました。
結果として見ることができたのは1個体のみ。
遠い・逆光・素早いの三重苦にお手上げ。
とても観察と言えるような状態ではありませんでした。
時間の経過と共に賑やかさも無くなり、ここで気持ちを一旦リセット。
青空が広がる良いお天気に恵まれたことからこの好天を活かそうとノグチゲラの観察へ。
やはり青空が背景になると撮影した画像は一味違ったものになります。
ノグチゲラの観察は上出来でしたが、やはり気になるのはホントウアカヒゲの存在。
囀りを耳にしては声を頼りに探してみるものの姿を見ることはできず...
あっという間に時刻は正午となり午前の観察はここまで。
昼食タイムを挟み午後からは当てもなくやんばるの森をウロウロしましたが、これといった成果をあげられず今後の観察について友人と相談したところ『デイゴの花が咲く場所はどうか?』という提案がありました。
友人の直感を頼りに場所を移動したところで沖縄らしい鳥の観察を楽しむことに。
初めに観察したのは亜種リュウキュウコゲラ。
本州で見られる亜種コゲラに比べると茶褐色を帯びており明らかな違いを感じ取ることができました。
次いで観察したのはデイゴの花の蜜を吸いに飛来した亜種リュウキュウヒヨドリ。
こちらも亜種リュウキュウコゲラと同様に茶褐色を帯びています。
その次に観察したのは亜種リュウキュウメジロ。
こちらは亜種メジロと違い腹が白く見えるのが特徴でしょうか。
いずれも普通種ですが本州で見られる個体との違いを観察していたところ飛翔するノグチゲラを目撃。
一時は姿を見失ったものの間もなくデイゴの木へ飛来したことを確認。
ここで噂に聞いていたデイゴの花の蜜を吸う姿を見ることができました。
友人の直感に感謝。
友人の提案が無ければこの姿を見ることはできなかったことでしょう。
撮影に没頭していると別個体のノグチゲラが現れ、入れ替わるようにして蜜を吸い始めました。
観察を続けているとノグチゲラは入れ替わり立ち代わりデイゴの木へ飛来するようになり嬉しい悲鳴があがります。
同時に確認できる機会も増え、入れ替わるタイミングからもこの周辺には2ペアが生息しているように思え、付近に自生するタブノキへ飛来する場面もありました。
実を啄む様子を観察できましたが、他の木の実に比べるとなかなかもぎ取ることができないのか苦戦している様子。
こうした理由からタブノキへ飛来した場面はじっくりと観察することができキツツキ類らしからぬ行動を見ることができました。
その後もデイゴの蜜を吸う場面は何度も見ることができ夢中になって観察を続けましたが、我に返ったように時刻を確認すると間もなく18時。
18時半に夕食を予約していた為、キリの良いところでノグチゲラの観察は終了としました。
宿泊先へ戻る途中にはリュウキュウイノシシと遭遇。
まだ幼い個体だったせいか可愛らしく感じるのは私だけでしょうか。
この日も夕食を終えた後はナイトウォッチングへ。
友人には何が何でもヤンバルクイナ以外の鳥を見せたい思いから前日以上に目を凝らし探鳥を進めた結果、高い位置に止まるリュウキュウコノハズクを見つけることができました。
こちらは友人撮影の画像です。
我ながらよく見つけたもんだと自画自賛。
翌日はいよいよ最終日ということもあり、荷造りを済ませなければならなかったことからナイトウォッチングは約1時間ほどで終了。
これまでの経過を振り返ると残るはホントウアカヒゲの観察のみ。
限られた時間内に観察するための最善策を考えていたせいか熟睡することができませんでした。
2023年5月3日
4泊5日の旅もこの日が最終日。
是が非でもホントウアカヒゲを観察したいところですが秋田までの乗り継ぎを考慮すると時間に余裕はありません。
その為この日は宿泊先で提供される朝食をキャンセルしホントウアカヒゲの観察に注力しました。
観察の拠点としたのは前日まで幾度となく囀りを耳にした場所。
現地へ到着し直ぐに囀りを確認しましたがやはり姿は見えません。
一縷の望みに賭け、待つこと一時間。
囀りは聞こえど姿は見えず...
そこで囀りを頼りに暗がりのなかホントウアカヒゲを探してみることに。
目の前で囀っているようにも思えますが不思議と姿は見当たりません。
「最早これまでか...」と思った矢先、視界に飛び込んできた凛々しく囀るホントウアカヒゲの姿。
幸いにもこちらの個体は私たちの存在に動じることなく囀りを繰り返し、そのお陰で友人もしっかりと観察できたようです。
最後の最後に目的を達成することができ観察を終えた後は凄まじい脱力感に包まれました。
こうして有終の美を飾ることができた沖縄本島での観察旅行。
観察を終えて改めて思うことはやんばるの森が育む生態系の豊かさ。
独自の進化を遂げた固有種たちが数多く存在し観察する者を魅了してくれます。
次に訪れるのはいつになるか分かりませんが、再び足を運んだ際には今回と違った何かを見せてくれることでしょう。
4泊5日の旅を前編・後編と纏めたため長くなってしまいましたが2023年 野鳥観察の旅 in 沖縄本島(GW)はこれにておしまいです。