2023年7月24日
本日更新する日記はヨシゴイの観察記。
これまでの観察記録を振り返ってみると年間を通して最も時間を割いているのが今回記事に取り上げるヨシゴイです。
夏鳥として地元へ渡来するのは5月中旬頃。
一定数が渡来したタイミングを見計らい例年5月下旬から観察を始め7月下旬頃まで約2ヶ月間観察を行っていますが、内容に代わり映えはなくとも飽きることはありません。
この時期は多種多様な夏鳥を観察することができるものの、私にとって一番魅力を感じるのがヨシゴイ。
それが結果として表れ今日に至っています。
今季は5月28日に一回目の観察を行いましたが、この日は生憎の空模様。
強めに雨が降り観察には厳しいお天気でした。
ヨシゴイが渡来する水辺を眺めてみると雌を1羽確認。
今季も渡来を確認できて先ずは一安心。
暫く様子を伺っていると葦が不自然に揺れ、間もなく雄のヨシゴイが姿を現しました。
雌雄揃って行動している様子から早くもペアを形成したのでしょうか。
雌が首を伸ばすと追従するように雄も首を伸ばし周囲の様子を伺うような素振り。
この伸縮性のある首もまた私にとって魅力に感じる部分の一つ。
こうした行動はよく目にするものの雌雄揃って首を伸縮させる場面は初めて。
面白い場面であっただけにここぞとばかりに連写しました。
不意に雌の個体が飛び立つと後を追うように雄の個体も飛去。
暫く待ってみたものの一向に戻って来る様子がありません。
そのため水辺を散策してヨシゴイを探してみることに。
悪天候が影響してこの後は良い場面を見ることはできませんでしたが、初めに確認できた個体を含め5羽のヨシゴイを確認することができました。
雨に加えて風も強まりこの日の観察は手短に終了。
2回目の観察は6月4日。
この日も残念ながら観察には生憎の空模様。
悪い周期に嵌まってしまったせいか休日の度に悪天候に見舞われました。
前回と同様に水辺の様子を見て回りましたがなかなか姿を確認できず...
やっとの思いで見つけた個体がこちら。
間違い探しのような観察もまた私の心を擽ります。
がに股で葦に掴まる姿もまたヨシゴイらしさを感じられ「観て良し、撮って良し」と非の打ち所がありません。
この個体はこちらの様子を伺っているように感じられました。
警戒すべき相手ではないと判断してもらえたのか開けた場所へ移動。
視認性の悪い場所で見られる姿こそ本来あるべき姿ですが、時として大胆に姿を見せる生態もまた魅力の一つと言っていいのではないでしょうか。
こちらの個体に気を取られていると、いつの間にか別個体が現れており葦原を巧みに移動する様子が見られました。
器用に葦に掴まり伝い歩く様子は見ていて“面白い”の一言。
様々な行動を見せてくれるだけではなく、潜行性の鳥をこうして観察できることは嬉しくもあり楽しい気持ちを倍増させます。
3回目の観察は6月18日。
早朝から観察を計画していたこの日、秋田市周辺に積乱雲が発生し連続して落雷が発生する最悪のコンディション。
窓を開けていられないほどの降雨もあり思うような観察をすることができず天気を恨む他ありませんでした。
雨が小康状態になったタイミングを見計らい、ようやく撮影できたのはこちらの個体。
首を伸ばし周囲の様子を伺っているようでしたが飛び出しそうな素振りを見せたため進行方向を予測してカメラを構え...
タイミングを逃した感が否めず。
この日は何度か姿を見ることができたものの観察らしい観察をすることはできずに終わり全体的に「出が悪い」といった一日に。
4回目の観察は7月2日。
この日は今季の観察において一番と思えるほど出が良く、水辺に足を運ぶとあちこちにヨシゴイの姿がありました。
どの個体を観察しようか迷うほどの状態でしたが“考えるよりも行動”という言葉にある通り手当たり次第に観察してみることに。
開けた場所へ出ているヨシゴイたちはどの個体も鳴き声を発しています。
しかし何の為に鳴き声を発するのかは今もまだ謎のまま。
縄張りを主張する為なのか、はたまた雌雄の鳴き交わしなのか...
過去の観察を振り返ると最も鳴き声を耳にするのは7月上旬前後。
渡来当初に比べても格段に機会が増えるため繁殖期における行動の一つとして考えてもよいかもしれません。
鳴き声については動画で記録。
低く「オーッ オーッ」と聞こえるのがヨシゴイの鳴き声。
長い時で一時間以上同じ場所へ止まっている個体も見られましたが、飛び出しの瞬間を狙うには絶好のチャンス。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。
但し私の鉄砲は火縄銃くらいレトロな代物なため弾を込めるまで時間を要します。
更に言うと火縄に点火させる作業もあることから...
例え方がマニアックな為この辺で止めておきましょう。
この日の観察で特に気になったのは婚姻色。
発色具合いは個体によって違えど多くの個体に見られ、例年よりも婚姻色の出るタイミングが遅いと感じました。
こちらは雌雄揃った場面を撮影した画像になりますが、雄に強い婚姻色が出ています。
観察を続けていると不意に雄が飛び立ち...
こうした場面ではほとんどのケースで横方向へ飛びますが、この時は運良くこちら側へ接近。
綺麗に婚姻色が出た個体を間近で撮影することができました。
この様に7月2日は終日出が良かったため5回目の観察も期待していましたが...
7月8日の早朝、水辺に足を運んでみると観察できたのは閑古鳥。
表立って姿を現しているヨシゴイは全く見られず飛翔する姿も見られませんでした。
過去の観察を振り返ってみても姿を確認できずに終わった日は記憶にありません。
例年であれば活動が活発になる頃ですが、今季は繁殖のタイミングにズレが生じているのか。
この様に今季は気になる点が多かった為、もう少し観察を継続するはずでしたが報道にもあった通り秋田県は大雨による災害が発生しました。
各地に甚大な被害をもたらしたこの大雨は多くの家屋や田畑を呑み込み、私が観察を行っているヨシゴイの繁殖地も完全に水没。
災害が発生してから1週間経った22日、繁殖地の様子を見に行ってみると水は引いていたもののヨシゴイの姿は確認できず...
それどころかオオヨシキリも全く見られませんでした。
残念ながら今季は絶望的です。
果たして来年以降、この場所でヨシゴイを観察できるのでしょうか。
残念な結末になってしまいましたが今はせめても今季渡来した成鳥たちが何処かで無事に過ごしていることを願うばかりです。
本日の観察日記はここまで。