2023年8月28日
本日更新する日記は先月30日の観察分から。
例年に比べ6日早く梅雨明けした秋田県。
記録的大雨から一転、連日の猛暑は体に堪えバードウォッチングをするにも過酷な状況となりました。
本格的な夏を迎える7月下旬頃、北海道で繁殖を終えたショウドウツバメたちが渡りの中継地となる秋田県へ渡来します。
中継地でショウドウツバメの群れが見られるのは概ね1ヶ月半程。
この間に例年2~3回観察を行っていますが、今季は早い段階での観察を計画しました。
観察日当日は暑さが厳しくなる前にと早朝から行動を始めたものの、熱帯夜の影響から早い段階で気温は上昇。
先が思いやられるような暑さに参りましたが、中継地へ着けば暑さも忘れるほどの観察ができるものと期待していたところ...
閑散とした様子に拍子抜け。
想定では一帯の電線を埋め尽くす群れを見るはずでしたが、この日は疎らな状態で群れは3ヶ所に分散していました。
何はともあれ3ヶ所あるうち一番個体数の多かった場所で観察を始めることに。
中継地で見られるショウドウツバメについては毎年記事にしているため特筆する部分は無いだろうと思っていましたが...
観察中に予期せぬ事態が発生。
そちらに関しては後から触れるとして電線に並び羽繕いをする様子、日光に向かって羽を広げ虫干しする様子を観察。
一通りの行動を観察できた後は飛翔シーンの撮影に没頭します。
この辺になると単純に腕試しのような形で撮影を楽しんでいますが、ピント合わせが上手くいくのは1/10程の成功率。
太陽高度が高くなると群れは電線を離れ農耕地で採餌を始めます。
晴天猛暑の日には地面へ寝転び虫干しする姿が見られることも。
それまで「暑さに耐えられるか」と自問自答していた矢先の出来事。
群れが一斉に電線を離れ周囲を乱舞し始めました。
付近に猛禽が現れると見られる毎度の場面。
警戒心からこうした行動を取りますが、現在までに捕食されたという場面を目にしたことはありません。
体長が小さく機敏な動きを見せるショウドウツバメを狩るのは至難の業でしょう。
この時も同様のケースと考え、群れが落ち着きを取り戻すまで待機していたところ警戒すべき対象が姿見せました。
大方チョウゲンボウだと思い眺めていましたが飛翔する姿に違和感を感じ双眼鏡で確認してみるとチゴハヤブサであることが判明。
チゴハヤブサは飛翔するツバメ科の鳥類を狩る能力を有しており、ショウドウツバメにとって大変な脅威となります。
最接近した際に撮影した画像がこちら。
これまでこちらの地域でチゴハヤブサを目にしたことはありません。
渡りの時期にはまだ早く移動中の個体がたまたま現れたとは考え難いことから、この地域に居着いている可能性が大。
繁殖期のチゴハヤブサは行動範囲が然程広くないため、今季は単独個体が居着いていたのかペアを形成し繁殖している可能性も考えられるでしょう。
理由は定かでないにしろショウドウツバメたちは嘗てないほどのパニックを起こしていました。
ここでふと脳裏を過ったのは個体数が少ない原因。
観察を始めた当初は単純に渡来が遅れているものと考えていましたが、もしかするとチゴハヤブサが影響しているのかもしれません。
この時点で理由ははっきりとせず、落ち着きを取り戻さないショウドウツバメを眺める時間が続きました。
時間の経過と共に暑さが増し、額から流れ落ちる汗は止まることを知らずこの日の観察はここまでと判断。
ショウドウツバメの観察を終えてオオジシギの観察へ移行しようと思った矢先、乱舞していた群れが1ヵ所の電線に集結し始めました。
この画像だけを見ると例年見られる光景ですが、あくまでもここ1ヵ所のみ。
本来であれば付近一帯がこの様な状態となります。
群れが集結したことで飛翔シーンのチャンスが増えたため改めて腕試しの撮影を楽しむことに。
暫く撮影を楽しんでいると近隣にお住まいの方から声を掛けられ様々な質問を受けました。
一般的に考えても巨大なレンズを付けたカメラで何かを撮影しているとなれば気になるのは当然のことでしょう。
先ずは電線に止まる鳥を撮影していることから伝え、この鳥が何であるのか、一体何処から来て何処へ行くのかなど丁寧に説明したところ『夏になればこの鳥来るがら何がと思ってだ』と興味深げに私の話を聞いてくださいました。
続けて『そごさ居ればのぎぃべ(暑い)、日陰さ入れ』と有難いことに軒下に招いて頂き日陰からの観察場所を確保。
日陰に入ることができたお陰で暑さも和らぎ屋外での観察がだいぶ楽になりました。
暫くすると飛翔する一部の個体に異変が。
先頭を飛ぶ個体を追い掛けるように複数の個体が飛翔する姿を目撃。
羽毛の争奪戦を始めたのではないかと思い注視していたところ、こちら側へ急接近。
その際に撮影できたのがこちらの画像。
先頭を飛ぶ個体を拡大してみたところ案の定、羽毛を咥え飛んでいることが分かりました。
こうしたやり取りは暫く続き、電線へ戻った場面も撮影。
しっかりと羽毛を咥え何処となく周囲の羨望を受けているようにも感じられます。
この行動については以前から記事に記載していますが、未だ何の為の行動であるのか分かっていません。
『遊び』の範疇なのか、それとも何か理由があるのか...
いつか理由を解明できると良いのですが、断片的な観察で真相を掴むことは難しいでしょう。
しかし気になるのはチゴハヤブサの存在。
こちらに関しては今後注目していきたいと思います。
本日の観察日記はここまで。