2024年5月6日
本日更新の日記は4月21日の観察から。
疲労困憊の状態で迎えた日曜日。
4月上旬から激務が続き、心身共に疲弊する日々を送っていました。
起床して直ぐに感じる目眩。
3月下旬に倒れて以降、現在も目眩の症状が続いています。
時間にゆとりのある生活を送ることができれば休日こそ安静に過ごしたいところですが、限られた時間だからこそ趣味に没頭したい...
その様な考えもあって重い体を引き摺りながら自宅を出発。
この日の朝は季節が戻ったような肌寒さ。
4月は気温のアップダウンが激しく満開になった桜もあっという間に散り始めていました。
海沿いの田んぼを覗くと規模の大きな小鳥の群れが見られ、こちらは前週も観察していたカシラダカ。
カシラダカは100羽程の群れだったでしょうか。
この他に200羽超のアトリの群れも。
今年の冬は偏った観察をしていただけにアトリを見るのも随分と久しぶりのように感じました。
群れのなかに珍しい種が混ざっていないか丁寧にチェックしてみたものの、特段気になるような鳥は確認できず。
ゆったりとしたペースで移動していると水捌けの悪い田んぼが幾つか見られ更にペースダウン。
タシギが入っていそうな気配...
そう思うや否やタシギが目の前に。
農道脇に居たこともあり、距離が近過ぎ警戒している様子があからさまに伝わってきます。
これまでの経験上、タシギは連鎖的に見られることが多いため注意深く見て回ると複数の個体を発見。
観察を兼ねて撮影を目的とした場合、複数のなかから撮影に適した個体を選ぶことから始めますが、そういった場合は単体の画像になることがほとんど。
場合によってはフレームいっぱいになることもあり画像からはサイズ感が伝わりません。
この時はたまたま近くにカルガモが居たお陰でタシギと比較できる写真を撮ることができました。
画像を見ての通りタシギは小柄であるため存在に気付かず素通りしてしまうことも多々あります。
こちらの周辺で確認できたタシギは9羽でしたが私の目の届かない場所に潜んでいる個体も多かったのではないでしょうか。
換羽中の個体も見られ羽衣の状態も様々であったことから時間を忘れて観察に没頭。
これこそ私にとって至福の時間。
しかしこのままではタシギの観察で一日が終わってしまうと我に返ったように渡りの珍鳥探しへ...
時間的に人の出が多くなってしまった探鳥スポットを覗いてみると夏羽に換羽したホシムクドリを見つけることができました。
嘴の色も黒から黄色へと変わっており、こうしたホシムクドリを見たのはいつ以来だったでしょう。
これまで他地域での観察も含め、ホシムクドリの観察については冬羽がほとんど。
そのため時間を割いて観察したいと思ったのですが...
ウォーキングする人が接近したことにより警戒したホシムクドリは遥か彼方へ。
致し方ないこととは言えタイミングが悪過ぎます。
飛んでしまったホシムクドリは車では行くことのできない場所へ降りてしまったため、やむを得ず徒歩での捜索を始めたところ頭上から『パキパキ』という音が。
私の目の前にあるのは松の木。
イスカが居るのではと思い頭上を見上げてみると案の定イスカが松ぼっくりにしがみついていました。
採餌に夢中なイスカはホシムクドリと違って人の気配に動じません。
犬を連れた人が真下を通ってもお構い無しに採餌を続けていました。
枝葉の込み合った場所に潜む個体が多く正確な数は把握できませんでしたが、こちらの群れは15羽ほどだったでしょうか。
観察しやすい個体を選び採餌の様子を見ていましたが、撮影となると一筋縄ではいかず。
周辺は開けた環境であったため背景を重ねることができず、何も考えなければ空抜け写真を量産してしまいます。
そのため撮影に関しては可能な限り松の枝葉が背景になるよう位置取りをしたうえで、敢えて枝葉の込み合う場所を選び撮影を行いました。
こうした撮影をすることにより松笠から種子を取り出す様子を鮮明に写すことができましたが、残念ながら当ホームページでは大きな画像を見ることができません。
そのため一部拡大した写真を掲載します。
先ずは特徴的な交差した嘴から。
イスカに由来する『鶍(いすか)のはし(嘴)の食い違い』という古い言葉がありますが、これは物事が思うようにいかない様を表します。
しかし古語の喩えとは異なり、イスカは食い違った嘴を巧みに使って松の種子を取り出していました。
交差しない程度に口を開けて松笠の間に嘴を挿し込み、口を閉じると交差した嘴が松笠を押し広げる作用。
こうすることによって容易に種子を取り出すことができます。
取り出した種子は羽の部分が不要となるため嘴を擦り合わせて削ぎ落とし種だけを飲み込んでいました。
私がイスカの存在に気付いた『パキパキ』という音こそ一連の作業によって耳にするものであり、バードウォッチャーにとってイスカの存在を知る大きな手懸かりとなるでしょう。
音に気付かなくとも不自然に種子の羽が落ちてくるため、こうした状況から存在に気付く方もいらっしゃるかもしれません。
余談になりますが特徴的な嘴は成長の過程で交差していくのだとか。
生まれもって交差している訳ではなく、どちらに交差するかも決まっていないそうです。
私は繁殖の様子を観察したことがないため、嘴が交差するまでの過程を見たことはありませんが本県でも一定程度の個体が繁殖していることは確実。
場所も特定できているためやる気次第でどうにでもなるのですが「いつか...」と思って早数年、諸々の事情から未だ観察できておりません。
この「いつか」という言葉がなかなかの曲者。
いつかという言葉がつく事柄は実現しないことが相場です。
具体的に観察の機会を設けなければ何も始まりませんがイスカの繁殖についてはまたいつか。
採餌の様子を暫く観察していると不意に飛び立ち枯れ木へ止まる場面がありました。
何の為に移動したのか分からなかったことから深追いせずに様子を見ていると、次々に地面へ降りていく姿を目撃。
水を飲むために降りたものだと想像がつき、そちらへ移動してみると予想通り道路に水溜まりがありました。
入れ替わり立ち代わり水を飲むイスカでしたが、全ての個体が降りてくることはなく見張りの役割りがあったのかもしれません。
程なくすると再び松の木へ。
この頃から陽射しが届くようになり撮影が困難な状況に。
陽射しがあることで松の葉が光りイスカには影が映ってしまいます。
明暗のコントラストも強くなり撮影した画像を確認するとギラギラと煩い写真になっていました。
時間の経過と共に強い疲労感を感じるようになり集中力も低下。
時刻はまた13時前でしたが大事をとって午後の探鳥を断念することに...
元々無理をして出掛けていたこともあり、帰宅した頃には意識朦朧としていました。
一年で最も楽しい時期だけに悔しさの残る休日となってしまいましたが、健康でなければ何をすることもできません。
最近は仕事のペース配分と疲労の抜き方について悩まされる日々を送っています...
本日の観察日記はここまで。