2024年6月3日
本日更新の日記は5月4~5日の観察から。
GW後半は地元の探鳥に勤しもうと例年にない意気込みで初日を迎えましたが、好天続きが仇となり思ったような成果をあげることができませんでした。
3日以降も晴れの予報が続き渡り鳥の観察は期待できそうにもなかったことから、4日は気分を変えて山間部を回ってみることに。
探鳥を始めて間もなく目にしたのはキビタキ。
雄の傍には雌の姿も。
暫く様子を伺うと雌から離れないよう雄が行動しており、人間に置き換えると完全にストーカー。
更には他の雄が現れると『俺の女に近付くな』と言わんばかりに追い払う様子も見られました。
興奮気味だったのか羽毛を膨らませ頭頂の羽が逆立っています。
これもまた人間に置き換えると男女間トラブルとして事件に発展しそうですが、彼らにとっては子孫を残すため一生懸命行動しているだけなのでしょう。
程なくすると雄が戻り再び雌のもとへ。
前日(3日)と同様にギラギラと照り付ける太陽が眩しく鳥を探す作業自体困難でしたが、川沿いの道を行くと前方から飛んでくるヤマセミを目撃。
水面スレスレの位置を飛翔するヤマセミは上流側へと飛んでいき、あっという間に姿が見えなくなりました。
この日はこれといった目的を持っていなかったため、進路を戻し見失ったヤマセミを探してみることに。
例年にない早さで青々と葉っぱが繁ってしまったこともあり捜索は困難を極めるものと思いましたが難なく発見。
ヤマセミは暫く同じ場所へ留まり羽繕いをすると、更に上流側へと飛んでいき視界から消えて無くなりました。
この後は深追いすることなく山間部を巡回。
巡回中には幾つかヤマセミとカワセミの巣を目にしましたが、いずれかの巣はおそらく今年掘りあげたものでしょう。
無事に繁殖することを願うばかりです。
里山の環境へ行くと高い確率で目にするのはサシバ。
付近には別個体が飛んでおり、鳴き交わす様子からペアと判断できました。
現在は抱卵している頃でしょうか。
観察に偏りのある私は繁殖の様子を詳しく知りません。
先日お話したイスカと同じように機会があればと思っているのですが繁殖に適した環境はクマの棲み処でもあるため非常に危険。
環境が環境だけにノジコが見られるのではと思い車を走らせていると微かにノジコの鳴き声が聞こえてきました。
耳を澄ませて様子を探ってみると...
鳴き声の主を発見。
この発見を契機にノジコの渡来状況を確認しようと考え、更に車を走らせると目立った場所へ止まり囀る雄を目撃。
好調な滑り出しに気分を良くしましたが、それは束の間の出来事。
驚いたことに確認できたほとんどの個体が既にペアで行動しており、目立った場所へ止まり囀りを聞かせる個体は僅かでした。
囀りを聞くことができなければ頼りとなるのは自分の視力のみ。
これまでの経験を総動員する形でノジコを探して回りましたが、やはりここでも障害となったのは照り付ける太陽。
ここからは翌日5日の様子も含みますが、晴天下でのノジコ探しは間違い探し。
葉っぱと似たような色をしているノジコをコントラストが強くなった景色のなかから探し出すのは骨の折れる作業です。
先週更新の日記では努力も虚しく空振りに終わった様子を『骨折り損のくたびれ儲け』ということわざを用いて表現しましたが、骨が折れたとしても見つけられるだけ良い方でしょう。
骨が折れると言えばGW後半直前の出来事。
仕事中、不慮の事故に遭い足の甲を骨折しました。
事故直後あまりの痛みに悶絶しましたが、これが本当の『骨の折れる作業』です。
決して儲けることもなくただ痛いだけ。
何の得にもならず連休中は痛み止めを乱用しながら観察に出ていました。
我ながら無謀極まりない行動だと思いますが“外に出ないと落ち着かない病”だけにどうすることもできません。
ノジコとは全く関係のない自分語りになってしまいましたが、骨が折れる痛みと等しいほど探し出すことに難儀したと想像してもらえると良いでしょうか。
目立った場所へ出て来ることもなく、素早く動き回るノジコには手を焼かされました。
抜けの良い場所へ止まってくれるのはほんの一瞬。
カメラを向けた時には枝葉の陰へ移動していることも多く、視力の検査あるいは運動能力検査でもしているような気分。
これまでノジコの調査を行ってこれほど難儀させられたことはありません。
それでもたまに囀る個体が見られると、この時だけはホッとした気分に。
こうした様子からも渡来時期には大きなばらつきがあることが伺え、今季は一体いつ渡来していたのか気になります。
見られる行動から例年よりも二週間ほど早かったのではと想像しますが、気掛かりだったのは毎年同じ電線に止まる個体。
何時如何なる時も同じ電線に止まる雄が見られるのは過去の日記に掲載している通り。
4日の調査では幾ら探しても確認できず遂に寿命を迎えたのかと思いましたが、5日に調査を行ったところ電線に止まり囀る姿を確認できました。
一晩のうちに渡来した可能性が大。
この姿を見て安堵したのは言うまでもありません。
4月27日には旅先の下甑島でもノジコを目にしていましたが、一体どの様なルート辿り繁殖地へ渡来しているのでしょう。
電線に止まる個体と同じように私が調査を行うなかである程度のデータを持っていますが、羽の特徴・行動・場所の判断となるため標識調査ほど正確なものではありません。
しかし鳥類が急速に数を減らしている現代、いざという時の為に生息状況だけでもしっかりと把握しておきたいと思っていますがノジコの生息環境を守るには過疎化が一番の問題になると思います。
本県を例に挙げると人口減少と高齢化が著しく統計上でもワーストワン。
里山環境の保全をする人が居なくなりつつあり、ノジコにとって棲みにくい状態になってしまうことでしょう。
そこで期待するのは今月から徴収される森林環境税。
住民税に上乗せされる形で徴収されるようですが、この税金が理想通りに使われるとノジコの生息環境も守られますし、クマが人間の生活圏内へ出てくることも少なくなるかもしれません。
期待できる政党の存在しない残念な国ですが、徴収するからには国民が納得できる結果を出して欲しいと思います。
本日の観察日記はここまで。