2024年6月6日
本日更新の日記は観察旅行記。
今回の目的地は道東に位置する旭岳ですが、毎度のことながら短い日程の旅行となるため限られた時間を最大限に活用しようと6日(木)夜に秋田空港を離れました。
この日の宿泊先は羽田空港第2ターミナル。
時間に余裕が無い時ほどターミナル直結のホテルは便利です。
『北海道を目的地としているにも関わらず何故東京へ』と首を傾げている方もいらっしゃることでしょう。
理由は追々お話するとして、翌日に備え早めの就寝としました。
2024年6月7日
旅行としては実質初日となるこの日、羽田空港6時55分発の便で帯広空港へ。
この帯広空港というのが一つのキーワード。
今回の旅では旭岳へ行く前に寄りたいところがあり、最寄りの空港となるのが帯広空港でした。
千歳空港を利用した場合、陸路での移動となるため旅の大半を移動時間に費やしてしまいます。
こうした事情から羽田空港を経由してのV字移動が最良の選択肢となり8時25分、帯広空港へ到着。
ここから道東の旅が始まります。
この日の目的地は上士幌町。
観光地として名高い糠平湖までの所要時間は約1時間半。
観光メインで訪れたことのある場所ですが、その際に目にしたのはエゾライチョウでした。
数個体を見ることができたものの警戒心が強く、観察と言えるほど姿を見ることはできず...
こうした経緯から今回はエゾライチョウをお目当てに上士幌町へ。
午前11時頃、予定より少し遅れて目的地に到着し廃線が僅かに残る散策路を中心にエゾライチョウを探します。
時間が時間だけに鳥そのものの声もほとんど聞こえませんでしたが、徒歩で移動を繰り返していると目の前に現れたのはエゾシカ。
我関せずといった様子で周辺の植物を食べていました。
廃線沿いではエゾライチョウの気配が感じられなかったことから探鳥場所を変えて付近の林道へ。
林道を進むとシマリスが駆け足で横切り、一瞬立ち止まる場面があったため即座に撮影。
ヒグマとの遭遇に怯えながらも林道の奥深くまで進んだものの、こちらでもエゾライチョウを見ることはできず...
帯広空港へ着いてから雲一つ無い青空が続き、こうした天候が影響したのかそれとも時期が悪かったのか。
気配すら感じることの出来ないまま時刻は16時を過ぎ、再び廃線沿いを歩いてみると今度はエゾシカの親子が見られました。
仔鹿に寄り添う姿が印象的で微笑ましい光景に笑みが溢れます。
エゾシカの親子を眺めていると突然目の前に飛んできた黒い飛翔体。
カラスのようにも思えましたが樹木へ止まる姿はカラスにあらず。
瞬時にクマゲラと判断できましたが運悪く逆光の位置であったため観察どころの話ではありません。
まごまごしているうちにクマゲラは飛去。
「行ってしまった...」
呆然とクマゲラが飛去した方向を見つめていましたが、どう行動するべきだったのかと後悔が込み上げてきます。
飛去した方向を捜索してみたもののクマゲラの姿は無く、お目当てのエゾライチョウも見られず空振りの一日に。
17時を過ぎ宿へ向かおうかと思いましたがどうしても諦めきれず再び廃線沿いへ。
これといって鳥の気配が感じられず「やっぱりダメだったか...」と諦め宿へ向かおうとした瞬間クマゲラが飛来。
土壇場でクマゲラが再び姿を見せてくれました。
喜びの感情と同時に右手には違和感。
カメラを保持する右手に一瞬視線を移すとシマ蚊が...
普段であれば絶叫もの。
しかしシマ蚊を退治している場合ではありません。
明らかに吸血していることは分かっていましたが、この時ばかりはクマゲラから目を放せず。
見え隠れするクマゲラに翻弄されつつも観察を楽しんでいると突然発した大きな鳴き声。
間近に聞くクマゲラの声はとても大きく、間もなくすると遠く離れた場所からもクマゲラの鳴き声が。
こちらの個体は雌になりますが、遠くから聞こえたのはおそらく雄の鳴き声でしょう。
何度か鳴き交わしをしながらも長い舌を伸ばし樹木を歩く蟻を舐め取っているようでした。
飛来してから20分ほど経過した頃、クマゲラは一時間前と同じ方向へ飛去。
前回は完全に姿を見失ってしまいましたが、この時は再び姿を見ることができました。
木道を突っつくと周辺の樹木へ移動し、こちらでも採餌に余念がありません。
この時、気付いたのが可愛い特徴。
こちらの個体、頭部の模様がハート柄でした。
特徴の分かり易い画像を拡大。
女子力が高いクマゲラの雌を見てオジサンはにんまり。
可愛いクマゲラを射止めた雄の個体を見たいところでしたが視界に入るのは雌の個体のみ。
時期的に考えると巣立ち目前の雛がいてもおかしくはありません。
雛に餌を与えるため長時間採餌を続けていたのかは分かりませんが最後に姿を見たのは18時30分でした。
約一時間の間、たっぷりと観察させてくれたクマゲラに感謝。
可愛いクマゲラのお陰で旅行初日は空振りにならずに済みました。
意気揚々と宿へ向かうと私を待っていたのは昭和時代を思わせるノスタルジックなお部屋。
季節外れの陽気だったせいか部屋は蒸し暑く、エアコンを付けようと思いましたが窓際の謎のスペースに置いてあったのは扇風機。
羽田のホテルとのギャップに戸惑いを隠せません。
扇風機を回しながら一日を振り返り、やはり頭に浮かぶのはエゾライチョウ。
一体何処に居るのか...
翌日は旭岳に移動するため約3時間半の移動が待っています。
朝食を頂いた後に移動を始める予定であったためエゾライチョウを探せるのは早朝の僅かな時間。
この日は全く気配を感じられなかっただけに見つけられる自信がありません。
私の乏しい探鳥力ではどうにもならず頼りになるのは鳥神様。
果たして鳥神様は降臨してくれるのでしょうか...
何はともあれ翌朝の探鳥に備えこの日も早めの就寝としました。
翌日の様子は後日更新の日記へ続きます。