2024年7月8日
本日更新の日記は6月16日の観察から。
季節外れの暑さが続いたこの週末、何を観察するべきか決められないまま休日を迎えました。
天気予報を確認してみると予想最高気温は31℃と真夏のよう。
何をするにしても体に堪える暑さです。
悩んだ結果、足を運んだのは我が職場。
困った時は職場でバードウォッチングが定番化してきました。
以前記事にしたサンショウクイは未だ抱卵中であったためコチドリの様子を見るとこちらも抱卵中。
それならばと他の鳥を探して回ると雌のキセキレイが目の前に。
忙しなく動き餌を探しているようでしたが少し離れた場所には雄の姿も。
おそらくペアなのだろうと思いつつ目の前に居る雌を見ていると雄が頻りに鳴き声を発しました。
視線を移して間もなく雄が見せたのは通常とは異なる姿勢。
羽毛を膨らませ普段見られないこの姿はキセキレイの求愛行動。
雄の声に反応したのか雌は身体を反らし尾羽を突き上げて受け入れの姿勢に。
同じセキレイ科の鳥であるハクセキレイも似たような行動を見せますが、生息環境の違いからキセキレイの求愛を見る機会が少ないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身、キセキレイの求愛行動を見たのは片手で数える程度。
職場では毎年繁殖しているもののタイミングが合わなければ見ることはできません。
実際問題、目にすることはあっても写真に収めることができたのはこの日が初めて。
交尾に至るまで雌が主導権を握るため、このタイミングでフラれてしまう雄もいることでしょう。
この時はめでたく雌に受け入れてもらうことができ交尾が始まりました。
交尾が終わると雌は採餌を再開。
動物食のキセキレイが捕獲していたのはこのような昆虫。
一体この昆虫は何なのか。
普段目にすることのない昆虫を次々と捕まえ、数分後には捕獲した虫がいっぱい。
その様子を雄はフェンスの上で見守っているようでしたが、雌は何故か捕まえた昆虫を食べようとしません。
育雛をする親鳥を見ているようで交尾をしたばかりとは思えず...
求愛給餌のため餌を与えるのであれば雌は要求し受け取る側。
まるでダメな男を養う可哀想な女性のよう。
人間に置き換えくだらない妄想していると昆虫を咥えたまま雌はフェンスに移動。
「本当に求愛給餌の逆パターンか?」と行動を注視していると雄が歩み寄り再び求愛のポーズ。
餌の受け渡しが行われると思いきや雄がふわりと飛び立つとそのまま交尾が始まりました。
交尾中も雌は昆虫を咥えたまま。
謎が解けないまま交尾は終わり、間もなくして昆虫は雌が捕食。
不可思議な行動に様々な考えを巡らせましたがどうしても答えを見出だすことができません。
普通種をしっかり観察していなかった表れなのでしょう。
我が社ではセグロセキレイの繁殖こそ確認できていないもののハクセキレイとキセキレイについては毎年繁殖しています。
身近な鳥でありながら行動の意味を理解できなかったのは単に観察不足と言わざるを得ません。
そういった意味で今回の日記は自戒を込めて作成しました。
謎が解けないまま雌雄のキセキレイを見ていると、雌は再び採餌を始め今度は大きめのクモを捕獲。
クモは何度も振り回され無残な姿に。
最後は無理矢理飲み込むような形で胃の中へ。
食欲旺盛で活発に動き回る雌とは対照的に雄は少し高い位置から雌を見守っていました。
雌の採餌が終わるタイミングを見計らっていたのか、雌の動きが落ち着くと雄は再びアピールを始め求愛のポーズ。
ネイチャー系番組で見る海外の鳥には求愛のダンスをする種も存在しますが、こちらのキセキレイはダンスとは言えないものの非常にコミカルな動きを見せます。
両方の翼を大きく広げて求愛するハクセキレイと異なりキセキレイの方が見ていて面白いと感じました。
このように交尾を確認したのは約2時間の間に5回。
その後は雌雄共に広範囲に動き回るようになり、追ってまで観察するべきものではないと考えキセキレイの観察はこのタイミングで終了。
これまで職場では断片的にしか見ることのなかったキセキレイの求愛行動。
この日はしっかり観察できたものの生態については更なる観察が必要だと感じました。
普段よく目にしている鳥であってもまだまだ知らないことだらけ。
今後は普通種をより注意深く観察し生態について更なる知見を深めたいと思います。
本日の観察日記はここまで。