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2024年9月30日

 

 

 

本日更新の日記は8月18・24日の観察から。

 

楽しかった夏季休暇が終わり間もなく迎えた週末。

前回の観察から然程期間が空いていなかったこともあり内容的に代わり映えは望めなかったものの、飽きることなくオオジシギの観察へ繰り出しました。

 

幸先良く発見した2羽のオオジシギは硬直状態。

 

 

この時まで誰一人農道を通ることなく安心して採餌していたのでしょう。

 

接近した私の様子を伺っているようでしたが、慌てて逃げるような素振りは見られず暫くすると採餌を再開。

 

 

換羽の状態が異なる2羽の成鳥を双眼鏡越しに観察していると片方の個体は農道を横断し稲穂の中へ...

 

残された個体も後を追うように農道を横断。

 

 

咄嗟に撮影したオオジシギは立ち止まることなく稲穂の中へ姿を消してしまい私は嫌われてしまったようです。

 

自分ルールに則り潔くこの場を離れると然程苦労することもなく新たな個体を発見しましたが…

 

 

草陰に隠れその場を遣り過ごそうとするこちらの個体、幾ら待っても動き出すことはありませんでした。

 

相当我慢強い個体でしたが、動き出したところでこの草丈では良い観察ができそうにもありません。

 

飛ばしてしまうのも忍びないと考え後退してルートを変更。

 

次に発見したのは今年生まれの幼鳥。

親鳥から学んだ生きる術を遺憾なく発揮してこのスタイル。

 

 

こちらの幼鳥は枝豆畑に姿を隠してしまったため観察することはできませんでしたが、未だ見ぬ越冬地を目指し渡りの途中に秋田へ立ち寄ったのでしょう。

 

何事もなければオーストラリアに辿り着き新たな景色を見ているはずです。

 

その後もオオジシギを探して農地を巡回。

しかし観察に適した個体が見つからず...

 

思うような観察ができず探鳥地を変えようと思った矢先、気になる個体を発見しました。

 

 

発見当初は奥まった場所へ居たこちらの個体、オオジシギかと思いましたが肩羽と雨覆の特徴はチュウジシギを思わせます。

 

チュウジシギが渡って来るには少々早いようにも思いましたが、正体を探ろうと考え腰を据えて観察に当たったところこちら側へ近寄ってくる兆しがみられました。

 

 

距離が縮まり真横から見た姿はやはりチュウジシギ。

 

 

しかし外側尾羽を確認できないことには推定チュウジシギとしか言えません。

更に観察を続けていると翼を少し開き身体を傾け日光浴のような格好を見せました。

 

ジシギ観察においては初めて見る行動です。

 

 

何の為の行動であるのか確信を持てずにいると推定チュウジシギは畔を降りてミミズを捕食。

 

採餌中は雑草の陰になることが多く、その様子をはっきりと見ることはできませんでしたが次々にミミズを捕食しているようでした。

 

 

再び畔に上がると時々休憩を挟みながらも更に接近。

 

 

この辺りまで寄ってもらえると外側尾羽を確認できるのは時間の問題。

 

その時を今か今かと待っていると伸びを始め識別のチャンスが巡ってきたようにも思えましたが...

 

 

体の向きが悪く肝心な部分を見ることはできず。

 

こうしたことは日常茶飯事。

識別する上で最も注目すべき部分ですが、容易く見せてもらえないことも私にとっては魅力の一つ。

 

ジシギの魅力について語り始めると取り留めの無い内容になってしまうため程々にしておきましょう。

 

観察に話を戻し尾羽見たさにチャンス伺っていると再び見られた謎の行動。

 

 

体を傾けると羽を膨らませ静止。

やはりこの行動は日光浴なのかもしれません。

 

ちょうどこの頃から陽射しが照り付けるようになり、タイミングを見計らって体を傾けているようにも思えました。

 

 

姿勢を正した推定チュウジシギは畔を降りると採餌しているようでしたが、特に雑草が多い所を動いており全くもって姿を見ることができず...

 

再び畔に上がった時には縮まったはずの距離が遠退き観察の継続は難しいように思わされました。

 

 

間もなく日光浴を思わせる姿を見せると羽繕いを始め願ってもないチャンスが到来。

 

しかしこの時も雑草が…

 

 

残念ながら肝心な部分を見ることはできず推定チュウジシギとの距離は離れる一方。

こうした様子から泣く泣く観察を断念。

 

 

今後良い条件で見られる日が来ることを願いオオジシギの観察へ戻ったところ頭上から聞こえてきたのはオオジシギの鳴き声。

 

空を見上げてみるとオオジシギの群れが周囲を旋回。

 

 

この時に見られた群れは11羽。

これまでに見た群れは最も多くても10羽であったため個人的記録の更新です。

 

降りる場所が定まらないのかオオジシギの群れは下降と上昇を繰り返し飛翔する時間が続きました。

 

 

暫く様子を眺めていると民家脇の枝豆畑へ急降下。

 

 

11羽の群れを観察したいところでしたが流石にこれだけの数となると飛ばしてしまうことは火を見るよりも明らかでしょう。

 

そのため群れには近付くことなく別個体を探しましたが、晴れ間が優勢の空へ変わりこの日は正午を以て観察を終了としました。

 

 

8月24日もオオジシギの観察を計画したものの、この日は早い時間から快晴の予報が...

 

今季は晴れの時ほど良い観察ができなかったこともあり、予定を変更しようとも考えましたが観察を継続することで何か得られるものがあるかもしれません。

 

いつものルートを辿りオオジシギを探しているとアナグマが道路を横断。

 

 

頭頂が禿げているという特徴から8月14日に観察した個体と同個体であることが分かりました。

 

付近には交通量の多い道路もあるため事故に遭わないとよいのですが...

 

 

農地をざっと巡回して確認できたオオジシギは1羽のみ。

快晴の空が影響して枝豆畑に隠れていたとしても極端な減少の様子から渡りのピークは過ぎたと判断しました。

 

同時に季節の進みを感じさせたのはタシギの声。

 

不意に農道脇から飛び立ったジシギの声は紛れもなくタシギ。

遂に渡ってきたかと目を凝らし農地を見て回ると乾いた畔でオオジシギのふりするタシギを発見。

 

 

オオジシギばかり見ていたせいか随分と小さく感じます。

 

こちらの画像から大きさは伝わりませんが、ハクセキレイの幼鳥が近寄ることで体長を表す写真を撮ることができました。

 

 

タシギが好む生息環境でなかった為か間もなく飛び立ってしまい、更に農地を巡回してみるとタカブシギを発見。

 

 

至近距離で見るタカブシギに気を取られているとタシギが目の前に。

 

 

U字溝の縁に身を潜め私の様子を伺っているようでしたが、タカブシギが飛び立つと釣られるようにタシギも飛去。

 

嘗てはあちこちに水張り休耕田があり容易に見られたタシギも現在では観察が難しくなりつつあります。

 

そのためタシギの観察は稲刈りが終わったちょうど今時期がベスト。

 

苦労してまでこの時期にタシギを見る必要はなかったのですがオオジシギが数を減らしてしまったということもありこの日はタシギに目を向けるしかありませんでした。

 

 

結果的にオオジシギもタシギも良い場面は無く暑さに負けて早めの帰宅。

 

中身のない観察日となってしまいましたが、オオジシギのデータを残す意味では貴重な一日だったと言えるかもしれません。

 

空振りもまたデータ取りとしては大事なことと考え、今後も記録を積み重ねていきたいと思います。

 

 

本日の観察日記はここまで。

 

 

【 お知らせ 】

 

榛葉忠雄氏・他の3名著作の図鑑『識別ガイド 日本の猛禽類 タカ・ハヤブサ類』の出版に際し、写真提供という形で協力させて頂きました。

 

 

図鑑の構成としては観察機会の多いものについて成鳥・幼鳥・雌雄の止まり、飛翔時の上面・下面の写真がふんだんに盛り込まれています。

 

今回は当ホームページより画像を選んで戴き、カタグロトビ・オオタカ・チュウヒ・オオワシ・ノスリ・アカアシチョウゲンボウ・ハヤブサの写真を掲載して頂きました。

 

ご購入につきましてはお近くの書店または各販売サイトにてお買い求め下さい。