2021年7月10日
日程2日目の午前は主にエリグロアジサシを観察し、午後からはベニアジサシを観察しました。
午後から足を運んだ東平安名岬周辺では繁殖中のベニアジサシを沢山見ることができ、綺麗な海を背景にベニアジサシの撮影に没頭。
日程3日目の午前は今回の旅で大きなイベントとして位置付けていた船上からのアジサシ観察です。
前日の観察ではフライング的にマミジロアジサシを見ることができたものの、東平安名岬沖に浮かぶパナリ岩礁で繁殖をしているマミジロアジサシをじっくり観察するには船に乗らなければなりません。
またパナリ岩礁ではマミジロアジサシだけではなくクロアジサシも繁殖しているようで、どちらも私にとっては縁遠い鳥であったことから船上からの観察は大変楽しみにしていました。
午前8時の出港に合わせて港へ到着。
今回お世話になったのはこちらの遊漁船。
アジサシ探鳥プランを用意している貸し切りのチャーター船です。
アジサシ探鳥プランでは午前の4時間と午後の4時間のコースがあり、今回は採餌で活動が活発になる午前のコースをチョイス。
定刻通り、午前8時に港を出航。
乗船するにあたって海況が気掛かりでしたが、この日はうねりが強く小型の船から観察するには生憎のコンディションでした。
出航して暫くすると前日は撮影できずに終わった東平安名岬の灯台が。
この東平安名岬から約2km先に見えるのがパナリ岩礁群。
マミジロアジサシの繁殖地としては北限になっているそうです。
岩礁を眺めてみると周辺にはマミジロアジサシとクロアジサシが沢山飛び交っていました。
船長さんの話によると、採餌のためパナリ岩礁から飛び立ったアジサシ類を観察するにはエリグロアジサシやベニアジサシの後を追うといいのだとか。
特にクロアジサシは魚を探すのがあまり上手ではないとのことで、エリグロアジサシが採餌している姿を指標として採餌を行うことが多いそうです。
パナリ岩礁から更に沖へ飛ぶアジサシ類が船の真横を通過していきますが、波の影響を受けて撮影は困難を極めました。
立っていることが難しい状態で、身を低く構えると波飛沫をモロに浴びてしまいます。
念の為に防水カバーを持ってきたことである程度の対策にはなりましたが、揺れに関してはどうすることもできません。
まごまごしてる間にアジサシ類はどんどん通過していきますが、特にクロアジサシについては撮影が難しいと感じられました。
和名通り全体的に黒暗色であることから綺麗に写す為には晴天で尚且つ順光の位置から撮影しなければ目を写し出すことはできないでしょう。
この日の午前中は雲が多めであったことに加えて、逆光の位置を飛ぶことが多くクロアジサシの写真は仕上がりとして今一つ。
一方でマミジロアジサシについては比較的条件良く撮ることができたのが幸いでした。
内容としては残念ながら採餌の様子までしっかりと観察できず、ただ揺れに耐えながら撮影をつづけた4時間。
撮影することだけが目的ではありませんので観察という面に関して課題を残す結果となりました。
とは言っても前述した通り、私にとっては縁遠い種であり宮古島はおいそれと訪れることのできる場所ではありません。
そういった意味で今回の乗船は貴重な機会になりましたが、またいつの日か機会を作って再チャレンジしてみたいと思います。
おまけ的な話題になりますがこの様な出会いにも恵まれました。
船長さんが『カメ!カメ!』と声をあげていたので振り返ってみると船の直ぐ近くにウミガメが。
前日と同様に息継ぎのため浮上してきたようであっという間に潜ってしまいましたが、間近でウミガメを見ることができて感激。
この他にシロマダラと似たような色合いをしたウミヘビも見ることができました。
乗船してからの4時間はあっという間で港へ戻ると港湾内のポールにはオオアジサシの姿が。
こちらは石垣島で観察して以来の出会いとなりました。
探鳥プランの時間はやや過ぎていたものの、船長さんがポールに横付けしてくれたことでじっくりと観察。
近い距離から見るとボサボサ頭がより一層印象的です。
船を降りると12時半を過ぎており鳥の出が悪くなる時間帯ではありましたが、この後は湿地性の野鳥を観察するため池間島へ。
宮古諸島は島の大半がサトウキビ畑で水田はありません。
そこで唯一湿地性の野鳥を観察できるのが池間湿原。
伊良部島と同様に池間島へは宮古島から橋を渡って車で行くことができます。
道中、あと少しで池間大橋というところで港が目に入りました。
何かしら鳥が居ないかと偵察してみましたが何もおらず。
しかしながら港とは思えないような光景です。
画像に見えるようにこの頃からあちこちで雨雲が湧き雨柱も確認できました。
南国特有の一過性の雨ですから長続きはしませんが出来ることであれば当たりたくありません。
進行方向に雨雲が見られたことから些か心配しましたが、特に降られることなく池間湿原へ無事到着。
湿原の入り口には見落としてしまいそうな目立たない立て看板が設置されているだけで「本当にこの先は湿原になっているのか?」と思わされるほど。
砂利道を暫く進むと展望デッキに辿り着きますがデッキからの眺望はこの様な感じです。
観察するにも撮影するにも「遠いな」といった印象。
その分ここで暮らす野鳥に対して警戒させることなく観察できるようですが、スコープが必須アイテムとなるかもしれません。
デッキから湿原を見渡し目に飛び込んできたのはクロハラアジサシ。
広範囲にヒラヒラと飛び回っていましたが比較的近い位置を飛ぶことも多くありました。
今回の旅ではエリグロアジサシ・ベニアジサシ・マミジロアジサシ・クロアジサシ・オオアジサシに次いで6種類目のアジサシ類となります。
池間湿原では季節によってレンカクも見られるようで、何処かに潜んでいないものかと目を凝らしてみましたが残念ながら発見に至らず。
しかし南西諸島の旅ではいつも外していたリュウキュウヨシゴイを発見。
飛翔するとかなり赤っぽく見え非常に目立つことから飛び立つまで待つと自然と目に入ってきます。
リュウキュウヨシゴイの観察を続けていて意外だったのがヨシゴイの存在。
南西諸島で見られるのは全てリュウキュウヨシゴイだと勝手に決め付けていただけに、こちらでもヨシゴイを見られるとは思いもしませんでした。
この他に見ることができたのはムラサキサギ。
こちらでは4羽見られましたが、そのうちの1羽が雌に対して求愛のアピールをしていたのか見たこともない様な動き。
しかし熱烈なアピールも受け入れてもらうことができずフラれてしまったようでした。
それ以外に見られたのは地元でも見られる種であったことから、南西諸島ならではの鳥を中心に観察を続けましたが面積が広く見落としがあるかもしれません。
池間湿原での観察を終えたところで再び宮古島へ。
この日は朝から船に乗ったこともありミフウズラを観察できていなかったので日没まで夕暮れ時のミフウズラを探してみることに。
サトウキビ畑を移動していると島バナナを発見。
こちらでは日常の光景であっても私にとっては非日常。
至るところで目にしますが、思い返してみると今まで写真に収めていなかったことに気が付き旅の記念にと撮影していると・・・
直ぐ横の畑にミフウズラが。
慌てて車に戻り車内から観察を始めました。
これまで観察できた個体はいずれも道路に出てくる姿で畑での観察は初めて。
よく見てみるとあっちにもこっちにもといった具合いに次々と姿を現しました。
単独で走り回る個体も居ればペアで寄り添うような個体も。
日中は収穫前のサトウキビ畑に隠れているようですが、夕方になると再び活動が活発になり観察がしやすくなるようです。
見た目も然ることながら、このコソコソ感がたまらない。
こうした習性を持つ鳥を観察する事が大好きな私にとってミフウズラを目の前に宮古島へ来て本当に良かったと感じさせられました。
アジサシ類の観察も楽しんだとは云え、ことミフウズラに関しては群をぬきます。
観察中には初めて飛び上がる瞬間も目にしましたが、その跳躍力にはビックリ。
走るだけではなくジャンプをしたり直線的に飛ぶ姿など日没間際まで思う存分観察を楽しむことができました。
日程3日目も充実の一日となりましたが翌日はいよいよ最終日。
これまでに旅の目的を達成出来ていたことから、最終日は気持ちに余裕を持って来間島と下地島へ。
そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。