2022年10月20日
今回は地元を離れ旅先での鳥見を綴る観察旅行記。
常連のお客さんより『何処かへ遊びに連れて行って』とお誘いを受け、旅の目的地に選んだのは佐渡島。
佐渡島と言えばトキ。
トキを観察するにあたり最も美しい姿を見られる時期であることから今回は佐渡島の旅を企画しました。
初日の宿泊先である新潟市へ到着したのは19時頃。
フェリーターミナルがある新潟市までは自宅から4時間半ほどの距離にあるので旅行というより遠足という感覚です。
翌朝の移動を考えターミナルから最寄りの新潟駅前に宿を取っていましたが秋田市と違って新潟市は驚くほどの都会。
田舎者の私にとってはちょっと怖い...
宿の中にはジムがあり田舎者は興味津々。
次いで目に飛び込んできたのはライトアップされたプール。
都会の凄さに圧倒されながらプールへ歩み寄ると...
「味ぽん」
入ると煮物にされる罠でしょう。
都会って怖い。
翌日は午前6時出港のフェリーに乗らなければならなかったことからこの日は早めの就寝を心掛けました。
2022年10月21日
午前5時に宿を出発し佐渡汽船フェリーターミナルへ。
以前の旅行ではターミナルを間違い新日本海フェリーのターミナルへ行ってしまった経験から、今回は間違うことなく佐渡汽船のターミナルへ到着。
改めてチケットを見てみると以前よりも料金が高くなったような...
過去の旅行記を振り返ってみたところ二年前に比べ1080円も値上がっていることが判明。
おそらく原油高が背景にあるのでしょう。
日の出のタイミングとほぼ同時刻に新潟港を出港し佐渡島の両津港を目指します。
デッキでは恒例となっているかっぱえびせん攻撃に群がるウミネコたち。
海鳥の観察は期待できない航路とあって船内で休む予定でしたが、念の為にと外の様子を見ていたものの予想通り閑古鳥を観測しました。
暫くして視界に入ったのはサーフィンを楽しむウミネコ。
新潟港を出港して一時間が経過した頃、オオミズナギドリと思われる海鳥を確認。
いかんせん遠過ぎる...
限界まで拡大してもこの程度。
結果としては両津港へ着くまでの間、確認できた海鳥はこの1羽という結果に終わりました。
2時間半の航海はあっという間。
両津港へ到着しレンタカー会社の送迎車へ乗り込む前にトキの描かれたターミナルを記念撮影。
ここから佐渡島の旅が始まります。
レンタカー調達後は一足早く佐渡入りをしていたお客さんを迎えるため、島の反対側に位置する宿泊先までちょっとしたドライブ。
宿へ到着するまでに17羽のトキを確認でき幸先の良いスタートを切ることができました。
今回の宿泊先はこちら。
お土産に玉手箱を渡されそうな宿。
お客さんをピックアップ後はひたすら田んぼ巡りをしてトキの観察になりますが問題は一体どの様に観察するか。
今年確認されているトキの個体数は500羽を超えたとあって島の中心部を移動しているだけで容易に見ることができます。
しかし観察を目的として闇雲に農道へ入ると飛ばしてしまう結果に繋がるのは誰が見ても明らか。
そこで点在する個体のなかから観察しやすいと感じる個体を探すことから始めました。
トキの居場所に対して農道がどの様な形状をしているのか周囲の状況を把握するだけではなく、晴天時には光線の状態も考慮しなければなりません。
「これだ」と感じる個体を見つけた後は警戒させないようじっくりと観察するだけ。
車内から観察を続けると相手側から近寄ってくることも多々あるようです。
こちらの個体は目の前まで来てくれたお陰で採餌の様子をじっくりと観察することができました。
ある程度観察できると見たくなるのが飛翔シーン。
美しい朱鷺色を目にできるのは飛翔時にあります。
但し距離が近くなるほど飛び立ちの瞬間を抑えることは難しく、撮影難易度を下げるため敢えて距離を取ってその瞬間を待つことにしました。
暫く待つとトビに追われたノスリが急降下する場面があり、これに驚いたのかトキは突然の飛び立ち。
しかし飛び立った方向が悪くこちら側へ背を向けた状態という残念な結果に。
私個人として飛翔時の撮影において背を向けたシーンは好みません。
いわゆる”逃げ“の姿に見え警戒心を感じさせます。
そのため別個体を探し移動していたところ小規模な群れを発見することができました。
こちらの群れを観察しながら昼食タイム。
トキを眺めながら食べるおにぎりは格別で、周囲の景観は自宅周辺と全く変わらないものの目の前にするトキを見て非日常を感じます。
昼食を終えた頃、眺めていた群れとは別に死角となっていた場所から複数のトキが飛び立ちました。
逆光気味ではありましたが青空を飛翔する姿が美しい。
周囲を旋回するように飛翔すると群れに合流するため下降してきました。
朱鷺色を堪能できる瞬間です。
これぞ自然が織り成す造形美。
次々に着地する群れを眺め、そして撮影を楽しむことが出来ました。
纏まった数となったトキの群れは採餌をする個体、羽繕いをする個体と行動は様々。
群れの観察を続け1時間ほど経った頃でしょうか。
不意に1羽のトキが飛び立つと次々に他の個体も飛び立ち始めました。
実はこの時、一斉に飛び立つ瞬間を待っていたのですが理想通りの形にならなかったことが逆に良い結果となり、カメラの設定を変えながら撮影できたのは良かった点です。
ここで改めて感じた撮影の難しさ。
特に背景が有る無しではその都度設定を変える必要があり、晴天時は白飛びを抑えるため大幅なマイナス補正が必須となります。
飛び立ったトキの群れを見送った後は観察場所を大きく移動。
とは言っても道すがら目に入るトキを見つけては車を停めてしまうのでなかなか目的地へ辿り着きません。
観察を続けていると個体毎の個性を感じ、警戒心の違いをはっきりと見て取ることができます。
換羽の状態も個体によって様々。
白っぽい個体、朱鷺色の個体、繁殖期に見られる黒っぽさを残した個体と見る個体全てに違いを感じました。
後頭に伸びる飾り羽にも違いがあるようです。
夕方の塒入りに備えて訪れたのはトキのテラス。
以前こちらの周辺で塒入りを見ることが出来たことから、今回も観察を期待して足を運びましたが...
待てど暮らせど飛来を確認できず。
双眼鏡で手当たり次第見てみたところ既に塒入りをしている個体を発見。
一体いつから塒入りをしていたのか。
この日の日没時刻(佐渡市)を調べてみたところ17時01分。
夕焼けの空を飛ぶトキを見たいと思い早々にスタンバイしていたものの残念ながら願いは叶わず...
日没を迎えタヌキが活動を始めていました。
「今日の観察はここまでかな」と思い宿へ戻ろうと思った矢先、トキが飛翔。
光量不足からスローシャッターとなり偶発的な流し撮り。
背景は流れていますが被写体だけを上手く止める事ができた奇跡的な一枚。
日没後はあっという間に暗くなり宿へ着く頃には綺麗な星空が広がっていました。
そして待ちに待った夕食タイム。
お客さんがご馳走してくれるということでこの時間を楽しみにしていましたが、宿のレストランへ行ってみると...
これ見よがしにミシュランのオブジェが。
宿のレストランはグルメガイドブックとして世界的に権威のあるミシュランガイドに掲載される名店でした。
美味しいフレンチに美味しいワイン。
何故にタイヤ屋がグルメガイドブックを出版するようになったのかは謎ですが、お料理はどれもこれも大変美味しゅうございました。
お食事を戴きながら翌日の観察について相談した結果、トキ以外の鳥も観察しようということが決まり島の北部で探鳥を行うことに。
そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。