2022年10月7日
本日更新する日記は地元を離れての観察旅行記。
今回足を運ぶのは今年2度目の訪問となる石垣島。
但し今回の旅行は少々事情が異なります。
いつもであれば「〇〇を観察したい」というように明確な目的を持って旅行を楽しんでいますが、今回は飛行機に乗ることを目的としていました。
移動手段にANAを利用することの多い私ですが、アプリで利用状況を確認してみると年内にあと数回搭乗することにより上級会員の資格を取得できることが判明。
会員のステータスが上がることにより様々なサービスを受けられるようになる為、上級会員を目指して羽田-那覇の区間を何度も往復される方がいらっしゃるそうです。
こうした方を“修行僧”と呼ぶそうですが、私も休日出勤の代休+週末の連休を組み合わせて石垣島へSFC修行に行くことに決めました。
6日夜に秋田空港最終便で羽田へ移動し、7日午前8時15分発の便で羽田空港を出発。
3時間のフライトを経て11時15分、石垣空港へ。
この日は北東の風が強めに吹いていたことから通常とは反対側からの着陸となった為、久しぶりに着陸の様子を動画で撮影。
島の雰囲気を見ることができます。
手荷物を受け取ったところでレンタカーを調達と言いたいところですが、今回は問題有り。
沖縄県を訪れる観光客の増加によりレンタカー事情が切迫し料金は軒並み高騰。
特に土壇場での予約はレンタカーを確保できないこともあり、私が予約を入れた時点での最安値は2泊3日の料金で7万8千円也。
ぼったくりとも思えるこの料金は羽田からの往復航空券+宿泊パックで石垣島旅行一回分に相当します。
「そんな金払えるか!」と苦肉の策として調達したレンタカーがこちら。
勿論これは冗談。
水牛車では時間が掛かり過ぎてしまうことから今回も前回の石垣島旅行と同様に現地在住の友人に車を貸して頂くことになりました。
私と入れ替わるように出張へ出る友人でしたが、多忙の身にも関わらず空港まで車を届けてくれる優しさに感涙の極み。
更に『〇〇で〇〇が見られる』といった形で沢山の情報を寄せて頂きました。
何とお礼を言っていいのやら。
最初の観察にジャワアカガシラサギを奨められたことから現地へ直行してみると...
「何処に居るのか分からねぇ」
容易に観察できると思いきや、双眼鏡で手当たり次第探りを入れましたがさっぱり見当たりません。
暫くすると付近の樹木の中から不意に飛び出した飛翔体。
即座にジャワアカガシラサギと分かりましたが、降りた場所は水辺ではなく草むらの中。
数分も経たないうちに草の陰に入り見えなくなってしまいました。
友人の話ではアカガシラサギも滞在中とのことでそちらも併せて探していましたがなかなか見つけることができず。
「ジャワでもインドでもバーモントでもいいから何か出て来い」と念じていると何処からともなくアカガシラサギが飛来。
こちらも草むらへ降りるとそそくさと移動してしまい姿を見ることができません。
どうもこの類いの鳥は身を潜めてしまう事が多いようです。
暫く待っているとポツポツと雨が降り始め北側の空は雨雲に覆われて真っ黒。
本降りになるまで時間の問題ということは誰が見ても明らかでした。
この場所からは一旦離れ、車内から観察出来そうな場所へ移動しようと思ったところ上空をソリハシセイタカシギが通過。
何でも出る石垣島は本当に面白い。
着陸シーンの動画でも分かる通りこの時期の石垣島は水の張った田んぼが多く、友人からはシギチが溜まっているという情報も寄せられていました。
情報のあった場所へ行ってみると確かにシギチが沢山。
こちらはアオアシシギ。
奥に移るのはタカブシギですが、秋田では久しく見ていなかったウズラシギの姿もありました。
この他にトウネンやセイタカシギも多く見られ、他に目新しいシギチは見られないかと探りを入れているとコアオアシシギが稲穂の陰から登場。
コアオアシシギも地元では年々観察が難しくなっていることからウズラシギと併せてじっくり観察をしていると突然の土砂降り。
一時間ほど待った頃、南側の空が部分的に明るく見えたことから少しでも降り方の弱い方へと移動してみることに。
しかし私を追い掛けてくるかのような雨雲。
何故か行く先々で土砂降りに見舞われます。
降り続いた雨もようやく小康状態となり、観察を再開できたのは17時になろうといった頃でした。
観察を再開して見ることが出来たのはツメナガセキレイ。
湿地状になった水田には沢山のツメナガセキレイが見られ換羽の状態は個体によって様々。
こちらはほぼ冬羽に移行した個体。
地元でも渡りの時期ともなると毎年のように探していますがなかなか出会うことができません。
私が秋田県内において観察できたのはたったの4回。
地元では観察の難しいツメナガセキレイも石垣島では否応なしに目に入ります。
地域差を感じながらも観察を続けていると未だ夏羽を残す個体も見られました。
やや黄色みは薄くなっているもののキセキレイの色合いとは異なることが見て取れます。
この場所で見られたツメナガセキレイの多くはクモを捕食しており、餌となる生物が多いということも複数の個体を同時に観察できた要因となったのかもしれません。
ツメナガセキレイの観察を終えて他の田んぼを見て回わると電線に止まるカタグロトビを発見。
往来する通行人を気にしながらも農耕地で狩りをしていたようです。
慎重に車を動かし車内から撮影。
曇天空抜けではありますが個人的に近いと思える位置でカタグロトビを見ることが出来ました。
しかしこの直後に飛去してしまい遥か彼方へ...
流石に南の島といっても18時頃にはだいぶ薄暗くなってきたことから初日の観察はここまで。
2022年10月8日
日程2日目は市街地の公園で探鳥を始めました。
石垣島の朝はヤエヤマシロガシラの姿が多く、鳴き声を聞くだけでも非日常。
例え普通種であっても地元では目にすることのない鳥を見ることで旅行気分が盛り上がります。
特にこの時期は何が出るか分からない石垣島。
目にする鳥を全てチェックしながら園内を歩いていると地面から謎の突起物が...
よく見てみるとズグロミゾゴイの幼鳥と判明。
これもまた非日常。
ウォーキングをする地元の人が往来するなか、当たり前のように佇む姿には驚きを隠しきれません。
微動だにしないズグロミゾゴイはまるで地面から生える植物のようです。
暫くその様子を見ているとゆったりとした足取りで動き始めましたが警戒心というものを全く感じさせませんでした。
しかしのんびりとした様子が一変。
公園内に居たオサハシブトガラスがちょっかいを出し始めたことでズグロミゾゴイは樹上へ移動。
その際にスマホで撮影した画像がこちら。
比較的サイズの大きいズグロミゾゴイも樹上へ居ると意外にも目立ちません。
もし地面に居るところに出会さなければ存在に気付かなかったことでしょう。
ズグロミゾゴイの観察はほどほどに他の鳥を探して回るとシマアカモズを発見。
公園内では2羽のシマアカモズが見られ、片方の個体は警戒音を発していたことから縄張り争いをしていたものと思われます。
シマアカモズを観察しているとオサハシブトガラスが緑色を物体を咥えひっきりなしに同じ場所を往復していました。
人工的な色にも見えましたがここは石垣島、奇抜な色の生き物の可能性もあり。
「何を捕まえているのだろう?」と注視したところ...
咥えていたのはタバコの吸い殻。
それを集めては地面に隠すオサハシブトガラス。
見間違いかもしれませんが一つは飲み込んでしまったようにも見えました。
タバコのポイ捨ては止めましょう。
公園内での探鳥を終えた後はカンムリワシの幼鳥を探す為に島内をウロウロ。
冒頭でもお話した通り今回の旅行は飛行機に乗ることを目的としていましたが、観察においては「カンムリワシの幼鳥が見られたら」という気持ちもありました。
初めての石垣島旅行で見た真っ白な容姿は特に印象が強く、当時の思い出は今でも鮮明に残っています。
カンムリワシの幼鳥は私にとって野鳥観察の旅において原点回帰。
当時の再現ができたらと車を走らせていると道路脇の法面で採餌をするズグロミゾゴイを発見。
こちらの個体は公園で見た個体と異なり換羽が進んでいます。
公園で見た個体は今年生まれと判断できますが、こちらの個体は昨年生まれなのでしょうか。
観察経験の乏しい私には判断できませんが、こちらの個体も警戒心を全く感じさせずどんどん近寄ってくることから後退しながらの撮影となりました。
付近には小鳥が多く見られ周囲の様子を覗き込むと驚きの光景が。
サッカーをする少年たちが居る傍ら、芝生には沢山のツメナガセキレイとエゾビタキが群れていました。
画像は一部になりますが、ざっと数えてみたところ60羽以上。
ツメナガセキレイはまだしもエゾビタキが地面に降りたままというのは違和感を感じます。
これもまた地域性によるものでしょうか。
掲載する画像は地面で羽を休める個体と無警戒で樹木に止まる個体。
見慣れた鳥であってもこうした姿を観察できるのは旅の醍醐味と言っていいかもしれません。
肝心要のカンムリワシ幼鳥は発見に至らず島内を彷徨っていると田んぼで羽を休めるクロハラアジサシに出会いました。
周囲には沢山のシギチも見られましたが特に目新しい種は見られなかったことからここで一休憩。
休憩がてら訪れたのはシロハラクイナの絵が気になるこちらのお店。
過去の旅行においても幾度となくこちらのお店の前を通過していましたが、一体何のお店なのか分かりませんでした。
店内へ入ると南国の雰囲気たっぷりの飲み物を販売しているお店と判明。
何処の地域においても作業着で観察をしている私は場違いな感じが否めず...
少々恥ずかしい思いをしましたがシークワーサーのスムージーを注文。
この日の石垣島は32℃と真夏を思わせる気温。
秋田を離れる際は9℃だったこともあり気温差に少々滅入っていましたがスムージーを飲むことで一気に涼しくなりました。
気分をリフレッシュしたことろで午後の観察へ繰り出しましたが、そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。