2022年3月21日
前回の続き。
カンムリウミスズメを観察するため足を運んだ宮崎県。
日程2日目は門川町の沖合いに浮かぶ枇榔島周辺でカンムリウミスズメの観察を行いました。
当初の予定では日程2日目と3日目の両日に観察の計画を立てていましたが、3日目は雨天の予報が出ていたことから急遽計画を変更。
午前と午後の2回船に乗ったことで沢山のカンムリウミスズメを見ることができました。
日程3日目は早くも最終日。
この日は九州らしい観察ができればと考えましたが宿を出ると予報通り生憎の空模様。
車内からの観察に限られてしまったことから以前カラフトワシの観察を行った広々とした場所へ行ってみることに。
宮崎県ではメジャーな観察地となっているようですが辿り着く前にちょっとした難関が待っています。
下の画像を見ての通り、軽自動車がギリギリ通ることのできる幅の狭い橋を渡らなければなりません。
しかも結構な長さ。
潮位によって水没する時間帯もあるこの橋は脱輪したら勿論アウト。
この難関を越えた先に楽しい観察が待っています。
慎重に移動して観察場所へ辿り着くと小鳥たちが沢山。
道沿いではヒバリが沢山見られホオアカの姿も見られました。
また同じ場所では夏羽に換羽したノビタキも。
猛禽はハイイロチュウヒとハイタカを確認できたもののカラフトワシの姿は見当たらず。
既に渡った後であるのか渡来が途絶えたのか分かりませんが、あわよくばと期待していただけに残念でなりません。
当てが外れてしまいその他の鳥を探して回りましたが、いずれも秋田で見られる鳥であったことから他の探鳥地へ移動してみることに。
移動を始めて間もなく耳にしたのは微かに聞こえるツリスガラの鳴き声。
私にとって鬼門となっている相手がこの周辺に居ることは間違いありません。
耳を澄まして鳴き声の出所を探ってみたところ目の前にしたのはこの様な環境。
背の高い葦が密に繁っておりツリスガラの姿は確認できませんでしたが何度も鳴き声の予習をしていただけに聞き間違いでないことは確か。
タイミング悪く雨脚が強くなり外に出ての観察は普段であれば躊躇しますが、そうも言っていられず繁みの中を注視していたところ比較的開けた場所にツリス..
と思ったらとんだ糠喜び。
開けた場所に現れたのはオオジュリンでした。
しかし鳴き声の出所はオオジュリンの直ぐ傍から聞こえ、更に集中力を高め探してみたところやっとの思いでツリスガラの姿を確認。
見つけたまでは良かったものの葦が密集していることでAFは全く役に立たず。
直ぐ様MFに切り替え証拠写真を撮影。
ツリスガラは10羽以上いるようでしたが葦の下部を移動することが多く、更に距離も離れていたことから双眼鏡での観察が続きました。
枯れた葦に掴まり採餌をする姿はとても可愛らしく、その姿をなんとしてでも画像に残したいという思いから辛抱強くチャンスが巡ってくるまで待つことに。
雨脚が強まるなか30分ほど経った頃、少しずつツリスガラがこちら側へ移動してくる様子を確認し警戒させないよう葦の隙間を縫うようにして撮影。
距離が近くなったことで葦を割るパキパキという音が聞こえるようになり、ぶら下がるような姿勢で採餌をする姿は非常に可愛らしいものでした。
嘴は思ったら以上に鋭角で葦の中に潜む小さな虫を摘み出すことに適しているようです。
複数の個体を同時に見ることができた為、雌雄の特徴の違いを観察できたのは収穫でした。
【 雌 】
【 雄 】
地元の方にとっては当たり前に見られる鳥かと思いますが、常に移動しながら採餌をするため意識して探してみるとなかなか見つからない鳥なのではないでしょうか。
当たり前に見られる鳥ほど、いざ意識して探してみると見つからないというのはよくある話です。
九州を中心として西日本では一般的に見られる冬鳥のようですが、今回この様に観察できるまで何度も苦渋を味わってきました。
幾度となく足を運んだ九州の旅では悉く空振りを繰り返し、私だけ見つけることができないのかとバードウォッチングツアーを催行する企業のホームページに目を通したことも。
ツアーのガイド記によると近年は私と同じようにツリスガラが見られなかったとの記載もあり、以前に比べると観察が難しくなっているのかもしれません。
観察の様子からだいぶ話は逸れてしまいましたが、ツリスガラはオオジュリンの後を追うように行動していることが分かりました。
比較的近い距離で見ることができた場面もあり、確認当初に比べると大きく撮ることができたものの撮影した画像を見てみるとどれも今一つ..
体長11cmの可愛らしい鳥をどの様に撮影すると可愛らしさが伝わる写真になるのか。
葦の隙間を縫って撮影した画像では小さく撮影しても単に遠かったようにしか見えません。
試行錯誤を繰り返し様々なシーンを撮影してみましたが結局のところイメージするような写真を撮ることはできず。
写真は本当に難しい..
初めてツリスガラを観察した感想としては冬季に葦原で採餌をするエナガに近い印象を受けました。
暫く観察を続けましたが次第に鳴き声は遠くなり、オオジュリンと共に移動してしまったようです。
時刻を確認すると11時を過ぎており思った以上に時間が経過していたことに気付かされ、ここで他の探鳥地を回ってみようと移動を始めたところ道路脇から不意に何かが飛び立ち車の横へ。
「なんだろう?」と思い、ふと横を見ると目に飛び込んできたのは想定外のウズラ。
まさかの出会いに大慌てでしたが、こんな時に限って車の往来が..
ウズラは飛び立ち少し離れたブッシュの中へ。
姿はバッチリ見ることができたものの証拠写真すら残すことができず、淡い期待で1時間半ほど待ちましたが再び姿を見ることは出来ませんでした。
その間に見ることができたのはカニの大群。
随分とサイズの大きなカニでしたが潮位の高い時に上陸していたのかもしれません。
ウズラには後ろ髪を引かれる思いでしたが、この後に回った場所ではクロツラヘラサギの群れを観察。
どの個体も休息といった様子です。
別の場所ではツクシガモも4羽確認できましたがこちらは遠かった..
旅の最後に見たのは冠羽がかなり伸長していたヘラサギ。
活発に採餌をする様子が見られましたが時間的に空港へ向かわなければならなかったこともあり宮崎県での観察はここまで。
帰りの飛行機は満席に近い予約が入っているとの通知を受けて早めに空港へ向かいましたが、使用する機材の到着が遅れたことで出発も大幅に遅れ、羽田空港へ着いたのは定刻より30分遅れの18時。
遅延が発生したことにより秋田行きの便に乗り換える時間は15分。
地上係員と共にターミナルを全速力で駆ける羽目となり最後はドタバタ劇が待っていました。
今回の旅は短い時間の中で様々な出来事があり悔やまれる場面もありましたが充実した内容だったと思います。
良い環境が多く、美味しい物もいっぱいの宮崎県。
再訪できる日を楽しみにして2022年 野鳥観察の旅 in 宮崎県はこれにておしまいです。