前回の続き。
日程4日目は溜め池での定点観察から始まり、午後は観察場所を転々としながら探鳥を行いました。
夕方、ミフウズラを探している際にはご主人がキンパラを発見。
ご主人のファインプレーによって私も初めての観察になりましたが、こうした良い出会いに恵まれた一方で探鳥の結果は今一つ。
この不足分をどの様に補ったら良いものか...
翌日は少しでも良い観察ができるようにと改めて探鳥ルートを見直しましたが、これが吉と出るか凶と出るかこの時点では想像もつきませんでした。
2022年7月24日
日程5日目は宮古島での観察旅行もいよいよ最終日。
今回の旅行では予め観察が期待できる種をピックアップしていましたが、これまでの記録を振り返ってみるとリュウキュウヨシゴイ・チュウダイズアカアオバト・シロハラクイナの3種だけは未見のまま。
3種のうちチュウダイズアカアオバトについては日程2日目の早朝、電線に止まっている姿を目撃していたことから同じルートを辿って探鳥を始めてみることに。
間もなく目撃地点へ差し掛かろうといったところ、脇道に出ていた鳥が気になり念の為に車をUターン。
これが吉と出ました。
脇道へ出ていたのは未見のリストへあがっていたシロハラクイナ。
こちらはお客さん撮影の画像です。
私は個体数の多い石垣島を中心に何度も観察してきましたが、お客さんは観察経験が無かったことからどうしても見てもらいたいと思っていました。
お客さんが観察しやすいように車を止めて間もなく、シロハラクイナは大きくジャンプするように付近の低木へ移動。
枝を伝い歩くと植栽の奥へ姿を消してしまいましたが「やっと見せることができた」と言い知れぬ達成感がありました。
平時であれば再び姿を見せるまで粘り強く待機しますが最終日とあって時間に限りがあります。
やや警戒したような素振りからも暫く出て来ないものと判断し早々に場所を移動。
元のルートに戻って間もなく、今度は電線に止まるチュウダイズアカアオバトを発見。
しかし発見場所は幹線道路沿いであったことから直ぐに停車することができず、離れた位置からお客さんに当該個体の居場所を確認して頂きました。
お客さんには先立って観察してもらい、私は往来する車を見張りながらちょっとだけ撮影。
だるまさんが転んだ方式で徐々に距離を詰めていきましたが、人の気配に動じることのない個体だと判り最終的には真下から見上げるように観察。
ちょうど近くにリュウキュウキジバトが止まったことから、大きさを比較したりとじっくり観察することができました。
立て続けに未見のリストを埋めることができ土壇場で状況が好転したように思います。
チュウダイズアカアオバトの観察を終え、気持ちに余裕ができたところでミフウズラの観察へ。
2日目に探鳥を行った時と同様にサトウキビ畑をゆっくり巡回していると出会い頭にミフウズラと遭遇。
距離が近かったこともあり下手に動くと警戒させてしまう恐れから、この時はお客さん優先で観察して頂きました。
掲載するのはお客さん撮影の画像です。
角度的に私は撮影できませんでしたが最終日も好条件で見せることができて本当に良かった...
サトウキビ畑の奥へ隠れたタイミングで別個体を探していたところシロハラクイナを発見。
こちらの個体は警戒する素振りを見せなかったことからゆっくりと観察。
早朝からトントン拍子に物事が運び、更なる出会いに期待しましたが流石に失速。
なかなか良い形の出会いに恵まれないまま時刻は午前9時になろうとしていました。
ミフウズラの観察は9時までと決めていたことからタイムリミットまであと僅かでしたが、空振りに終わらなかっただけでもヨシと考えサトウキビ畑を後にしようとしたところ...
「今のは一体... 気になるな」
一瞬視界に入った鳥が気になり車を後退。
脇道へ出ていたのはキンバト。
明るい場所で観察できるチャンス到来と喜びましたが、タイミングが悪くサトウキビ畑の中へ姿を消してしまいました。
しかしこの時の行動は警戒したものではなくあくまでもタイミングの問題と考え直ぐに出てくるものと判断。
間もなく読み通りにキンバトが現れすかさず撮影。
キンバトはペアで採餌をしていることが判明し、どの様に観察したら良いのか思案していたところ雄の個体が付近のブロック塀に飛び移りました。
後を追うようにして雌の個体もブロック塀に飛び移ったことにより、雌雄揃った形での撮影に成功。
左側の個体は雌、右側の個体が雄。
自分の観察記録を振り返ってみても雌を見ることができたのは初めてとあって、この時の出会いは非常に嬉しいものでした。
ペアのキンバトを観察できたところで大きく場所を移しベニアジサシの観察へ。
いつも午後からの観察でしたが光線の状態がやや厳しいと感じ、条件良く観察したい考え浜辺に行ってみると...
確認できたのは浜辺を一人でうろつくマッチョの男性。
これは想定外。
ふと沖を見ると狩りをしている群れの姿が。
いつも浜辺でくつろいでいる訳もなく、腹が減ると魚を獲るのも当然のことでしょう。
こればかり仕方なしと群れが戻ってくるまで木陰で休憩。
綺麗な海を眺めながら食べるおにぎりは格別でした。
勿論木陰であっても暑さは厳しいものでしたが、最終日にして「あぁ俺は今、宮古島に居るんだな」と暑ささえ心地好く思えた気がします。
非日常の感覚に浸っていると『ギャーギャー』と騒がしいインドハッカの鳴き声。
直ぐ様観察モードに切り替わるスイッチの速さ。
やはりインドハッカはこの辺を根城として行動しているようです。
暫くすると沖に居た群れがポツポツと戻り始め浜辺ではいつもの光景が見られるようになりました。
あくまでも個人的な意見ですが、この浜辺で見るベニアジサシは宮古島でバードウォッチングするにあたり一番のロケーションであると思います。
白い砂浜に映える紅色の嘴と足、そして綺麗な海。
言葉の遣い方を間違っているかもしれませんが“非の打ち所がない”と言ったらよいでしょうか。
この浜辺では群れが一斉に飛び立つシーンを眺めて観察を終了。
話の流れとして旅行記もここで終わるとキリが良いように思いますが、時刻を確認してみると少し時間に余裕がありました。
時間の許す限り目一杯この旅行を楽しみたいと考え、最後は伊良部島のコロニーでエリグロアジサシを間近で観察。
ひっきりなしに飛び交うエリグロアジサシ、そして賑やかな鳴き声。
最後の最後まで楽しみ尽くした今回の旅行もここまで。
振り返ってみると旅行期間中は雨に降られることもなく連日の快晴。
お天気にも恵まれ一番気掛かりだった台風の心配もありませんでした。
バードウォッチングと言っても目的やスタイルは様々ですが、ご夫妻の趣向は少々異なり『バリバリに解像した写真を撮りたい』というご主人と『風景の一部として鳥を観察したい』という奥さん。
そんな二人の期待に応えてくれる宮古島は最高の場所でした。
後にご主人から『120%楽しかった』という言葉を頂きましたが、この言葉に全て表れていると思います。
まだまだ書き記したいことは沢山ありますが、プライベートな話題も多く取り留めのない文章になってしまうことから今回の旅行記はこの辺で...
最後に掲載するのは私イチオシの美しい浜辺。
この写真を眺めると暑さと共にアジサシたちの声が鮮明に蘇ります。
2022年 野鳥観察の旅 in 宮古島はこれにておしまい。