前回の続き。
日程3日目はキュランダの宿泊先周辺から観察を始めましたが、ここでお目当てとしていたのはヒクイドリ。
努力の甲斐も虚しくヒクイドリを見つけることはできませんでしたが数多くの鳥を観察して宿を後にしました。
午後から足を運んだキャターナ・ウェットランズでも沢山の出会いに恵まれトサカレンカクを中心にじっくりと観察。
観察を終えて駐車場へ戻るとこれまで出会えずにいたワライカワセミが車の直ぐそばに止まっており、この出会いは本当に嬉しいものでした。
ワライカワセミの観察後、本格的なドライブを経て辿り着いたのはキングフィッシャー・パーク・バードウォッチャーズ・ロッジ。
バードウォッチャーの夫婦が経営するバードウォッチャーのための宿です。
笑顔で出迎えてくれた奥さんと挨拶を交わし、宿泊の手続きを済ませるため建物の中へ入ると垂涎物の写真がずらり。
私が特に注目したのはパプアガマグチヨタカの写真でした。
「この鳥、見られるんですか?」と尋ねたところ『見られるわよ!』とマップを開き観察ポイントを説明してくださる奥さん。
渡航前に図鑑を眺め「これが見られたらいいなぁ」と思っていただけに天にも昇る思いでした。
2023年8月12日
日程4日目。
この日も雨天からのスタート。
今時期は乾季のオーストラリアですが渡航してから何故か毎朝雨に祟られます。
この日も朝から鳥の声が賑やかで天候の回復を「今か 今か」と待っていると急速に天候が回復。
宿に設置される餌台には入れ替わり立ち代わり小鳥たちが姿を見せており、この日は部屋の前から観察を始めました。
餌台にやって来る小鳥たちを其々観察しましたが、一番頻度良く見られたのはアオツラミツスイだったでしょうか。
ヒヨドリよりも少し大きめのサイズで存在感は抜群。
ペアで姿を見せることも多く、他の小鳥を蹴散らすような場面も見られました。
餌台にやって来る小鳥たちとは別に気になったのは敷地外から聞こえてくる賑やかな鳴き声。
鳴き声に誘われ宿の敷地を出てみたところ1本の巨木に沢山の鳥たちが群れていました。
双眼鏡で確認すると群れの大半はケアンズの市街地でも目にしたオナガテリカラスモドキと判明。
ここで気になったのは巨木に絡む不自然な枯れ草や枝の塊。
塊の所々に穴が空いており、穴を出入りするオナガテリカラスモドキの姿が...
こうした行動から枯れ草の塊はオナガテリカラスモドキが造り上げたコロニーであることが分かりましたが、今までの観察を振り返ってみてもこのような形状の巣を見た経験はありません。
おそらく日本ではお目にかかれない代物でしょう。
陽射しのもとで見るオナガテリカラスモドキの羽衣は美しく、角度によって七色に光輝くことも。
暫くすると大きな鳥が頭上を通過し巨木の中へ。
一体何が飛来したのかと立ち位置を変えてみたところ巣にすっぽりと収まるシロガシラトビの姿が見られました。
1本の木に猛禽と小鳥の群れが営巣していることに驚きを隠しきれません。
更にこちらの巨木にはコセイガイインコの姿もあり、モリショウビンも見ることができました。
この一帯にはモリショウビンが多く生息しており、絵面や構図を考えての撮影も容易であったことからお気に入りの一枚を掲載。
渡航して以降、様々な環境でカワセミ科の鳥を観察・撮影しましたがモリショウビンの羽衣は特に美しいと感じさせられました。
僅か短時間のうちに想像以上の鳥果があり、宿の周辺から離れられない状況でしたがここでの観察に一区切り。
前日情報を頂いていたパプアガマグチヨタカが気になり説明のあった場所へ移動してみることに。
しかし場所を聞き間違えたのか探し方が悪いのかお目当ての鳥は見つからず...
そう簡単に諦められるものではなく周辺の木々を細かくチェックしましたが、残念ながらパプアガマグチヨタカを見つけることはできませんでした。
お目当ての鳥が見つからない反面、小鳥の観察は絶好調。
こちらは全く警戒心を感じなかったメンガタカササキビタキ。
容姿とは異なり小型ツグミ類を思わせる行動を見せ、手持ちの図鑑で調べてみたところ藪を好む鳥のようです。
次に掲載するのはハイムネメジロ。
和名通り灰色を帯びていましたが、私が注目したのはアイリング。
本州で見られる亜種メジロに比べるとアイリングが太いように思います。
複数羽が同時に見られたフヨウチョウは赤い嘴と眉斑・上尾筒が目立ち、暗がりの中を動いていてもAF機能がよく反応してくれました。
食欲旺盛といった様子でこちらも全く警戒心を感じさせず。
掲載した小鳥以外にも沢山の出会いに恵まれましたが、やはり気になるのはパプアガマグチヨタカ。
私の聞き間違いも否めなかったことから一度宿へ戻り再度情報の確認をしてみることに。
宿の敷地へ差し掛かり、旅の思い出にと周辺の景観を記念撮影。
Parkと名称にありますが公園ではなくあくまでも宿の敷地。
宿泊客以外のバードウォッチャーが敷地へ入る為には入場料が徴収されるようです。
看板に描かれるのはケアンズを訪れるバードウォッチャーであれば誰もが見たいと思うシラオラケットカワセミ。
しかしシラオラケットカワセミは雨季に見られる鳥であるため乾季の今時期は見ることができません。
前日到着した時にはすっかり暗くなっていたため、受付の建物も記念に撮影しました。
建物を撮影していると友人がシマコキンの群れを発見。
餌台へやって来る常連なのでしょうか。
目の前に人が居ても気にする素振りは見られません。
シマコキンを観察していると丁度ご主人が通りがかり事の経緯を説明。
どうやら私の立ち位置が悪かったことが判明し、ご主人は丁寧に説明をしてくださいました。
説明の終盤にはパプアガマグチヨタカの物真似まで披露して頂き流石にこれには爆笑。
逸る気持ちを抑え現地へ急行すると説明通りの場所であっさりと見つかったパプアガマグチヨタカ。
ご主人の物真似にそっくりな格好をしていました。
この個体とは別にもう1羽のパプアガマグチヨタカを確認できましたが、そちらは枝葉の陰となり少し離れた場所に。
離れた2羽を一つのフレームに収めることは難しく、どうすることが最善の策となるのか考えたところ脳裏を過ったのは太陽の角度。
この時パプアガマグチヨタカは太陽を背にするように止まっていましたが、午後には直射日光を浴びるはず。
フクロウ類を観察する際、陽射しを嫌うように場所を移動する姿が往々にして見られます。
パプアガマグチヨタカも同様の行動を取るのではないかと考え、午後から再び観察することとしてここでの観察は一旦終了。
付近には店らしい店が無い地域であったことから買い出しを兼ねて最寄りの町へ移動してみることに。
新たな探鳥地として向かったのはキングフィッシャー・パーク・バードウオッチャーズ・ロッジから南へ位置するマウント・モロイという小さな町。
所要時間は約10分とあって短いドライブですが、その道中にアオバネワライカワセミを発見。
電線に止まる姿を見ているだけでしたが、滑稽だったのは人間とも思える後ろ姿。
画像を拡大。
この様な髪型をした人、たまに見かけます。
見ていて思わず吹き出しそうになる出会いでした。
あっという間にマウント・モロイの町へ到着しましたが、手持ちの図鑑によるとこちらの地域ではオオニワシドリが見られるそうです。
オオニワシドリの観察を推す文言もあり、特徴としては後頭にピンク色の羽が見られるとのこと。
ピンク色を意識して探鳥を始めましたが、なかなかそれらしき鳥は見つからず...
しかし鳥そのものの数が多く、これまで観察済みだった種を含めて沢山の出会いに恵まれました。
そのなかでも印象に残ったのはホロホロチョウ。
「変な鳥が居る」
確かこのような言葉を発した記憶があります。
図鑑によると元々家禽として飼われていたものが野生化し数を増やしているのだとか。
何処の国においてもこうした鳥が存在するようです。
次に掲載するのはパプアオオサンショウクイ。
こちらはカソワリーハウス周辺でも目にしていましたが、当時は逆光がキツくまともに観察することができませんでした。
和名にある通り日本で見られるサンショウクイよりも遥かに大きいため、実物を目にするとサンショウクイとは思えません。
お目当てのオオニワシドリが見つからないまま時刻はお昼時を迎え、ここで休憩を挟むことに。
何軒かカフェやレストランを見て回った結果、この日のランチは競馬に興じるお爺さんが印象的だったこちらのお店に決定。
午後の活力になるよう何を食べるか迷いましたが...
結局、ハンバーガー。
後日談になりますが渡航してから毎日のようにハンバーガーを食し、各々に特徴もありましたがここで食べたハンバーガーは香ばしく一番と思える美味しさでした。
満腹になったところで午後の探鳥を始めると強烈なインパクトを放つ鳥を発見。
その名もクレナイミツスイ。
この原色の赤色は日本で見るギンザンマシコに近い色合いです。
色が色だけに遠くに居ても目立っていましたが何故かピンボケ写真を量産。
午後からも多くの出会いに恵まれ、特に嬉しかったのはカノコスズメの発見。
パプアガマグチヨタカと同様に、こちらも渡航前から見たいと思っていた鳥だけに視界に入った瞬間は飛び跳ねるほど嬉しいものでした。
絵面に拘って撮影したのはキバラタイヨウチョウ。
飛んでいる虫をフライングキャッチするハチクイも多く見られ、飛翔シーンの撮影にもチャレンジしました。
肝心要のオオニワシドリは見つからず、手持ちの図鑑を開き改めて調べてみたところマウント・モロイに着いて最初に撮影した鳥がオオニワシドリと判明。
当時は何の種であるか分からずに観察していましたが、ピンク色というキーワードが同定の妨げとなっていたようです。
様々な文献を調べてみたところ後頭に見られるピンク色の羽は興奮した時に見られるとのことで繁殖期にしか見ることができないのかもしれません。
また和名にある“庭師”という名称からも想像できるように、巣の入り口には貝殻などを並べ装飾した巣を造るのだとか。
探鳥がてら巣を探してみましたがそれらしき代物は見つけることができなかったものの、お目当ての鳥を無事に見ることができ目的を達成したところで3時のおやつタイムです。
気になるパプアガマグチヨタカの様子を見る前に夕食の買い出しも済ませましたが、メキシコからの移民が経営するこちらのお店に入り待つこと30分...
一体何の調理に時間が掛かっているのかと待っていたところ陽気な常連が踊り出し、あれやこれやと語りかけてきました。
国民性なのか酔っ払っていただけなのか。
16時頃、再びパプアガマグチヨタカの様子を見にいってみると予想が的中。
午前は離れていた2羽が寄り添うように並んでおり、直射日光を浴びて眩しそうにしていました。
この時ほんの一瞬でしたが真っ赤な目が見えることも。
時間の経過と共に何等かの変化が見られないかと考え、周辺で観察を楽しみながら陽の傾きを待ってみることに。
この時に見られたハイイロオウギビタキは目の前を行ったり来たり。
まるで撮影会の如く私たちを楽しませてくれました。
17時頃になると直射日光を浴びることはなくなり、この時に撮影できた画像が一番良かったように思います。
しかしこれといった動きは見られず、日没を待っているとキアシヒタキが頻繁に姿を見せてくれました。
カソワリーハウスで観察した際にも記事に取り上げましたが、丸いフォルムのキアシヒタキはシマエナガのようにマスコットキャラクターにすると人気種になりそうな気がするのは私だけでしょうか。
18時を過ぎた頃、パプアガマグチヨタカにようやく動きが見られました。
まだ目を見開くようなことはなかったものの、うっすらと目を開きこちらを見ているかのよう。
日没まではあと30分ほどありましたが、この日の観察はここまで。
盛り沢山の一日は最後にパプアガマグチヨタカの正面顔を見て終了としました。
翌日は観察日として実質最終日。
この日も様々な出会いに恵まれましたが、そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。