2024年10月11日
本日更新の日記は観察旅行記。
今年も残すところあと3ヶ月となりANAダイヤモンドステータス維持のフライトも佳境へ入りました。
今回はヒグマの観察をお目当てに道東の旅を計画しましたが、タイミング悪く台風19号が日本の東を北上。
日本への直接的な影響はないと言われていたものの天気図を見みると温帯低気圧に変わった後に再発達する見込み…
道東では午前・午後と船のハシゴをする予定でしたが影響を受ける可能性は大。
私の見立て通りであれば波風が強まり船の欠航は避けられそうにもありません。
何はともあれフライトをこなさないといけないこともあり、空振り覚悟で道東を目指しました。
今回の旅も羽田空港経由して中標津空港へ。
千歳経由に比べ到着が一時間遅いこともあり観察地の羅臼町へ着く頃には日が暮れようとしていました。
この日は特にすることもなかったため某宿でシマフクロウを見学。
※内容についてはこれまでに何度も記載しているため過去の旅行記を参照。
24時頃まで見学しましたが、こちらは宿泊先近くで見られた餌付けではない個体。
就寝したのは日付けを跨いで午前2時過ぎ。
翌日の観察を考えているとなかなか寝付けないまま朝を迎えることに…
2024年10月12日
快晴のお天気に恵まれた日程二日目。
外の様子を見てみると木々は多少揺れていたものの思ったよりも風は穏やか。
俄にクルーズ船の出航を期待させました。
しかし朝食を摂っていると船舶会社から連絡があり『高波のため欠航』との連絡が。
おそらく午後のヒグマ観光船も絶望的でしょう。
それならばと足を運んだのは知床峠。
時期的に素晴らしい紅葉が見られると思っていたのですが何故か今一つ…
ギンザンマシコも見られず早々に場所を移動しようとハンドルを握ったところ駐車場でタヒバリが見られました。
場所が場所だけに当初はビンズイかと思いましたが渡りの個体が立ち寄っていたのでしょう。
覚悟してたとは言え計画が狂い路頭に迷う私。
そのような折、道東在住の知人が有難い情報を寄せてくれました。
陸地からヒグマが見られるとのことで送って頂いたマップを頼りに足を運んでみると…
崖下を流れる川にヒグマの姿が。
河口近くに視線を移すとカラフトマスがあちこちで跳ねています。
こちらでは遡上するカラフトマスを狙ったヒグマが見られ活発に動く様子を観察することができました。
観察を始めてから一時間が経過した頃、ヒグマは山へ戻っていったため別ポイントへ移動。
新たな出会いを期待して待ちましたが一向に姿を現さず…
こちらは電波の届かない場所であったこともあり船舶会社へ連絡を取るため一旦観察場所を離れることに。
問い合わせの結果、午後からヒグマ観光船は出航するとのこと。
ホエールウォッチングのクルーズ船が欠航したにも関わらず何故出航できるのか…
首を傾げながらも午後からの乗船に備え昼食にはエゾシカのローストをチョイス。
写真で見るよりも量は少なめでJARO案件。
1700円というなかなかのお値段でしたが、エゾシカの肉は全く臭みを感じずローストビーフを食べているようでした。
13時から小型ボードに乗り知床半島の岬を目指しましたが、北上するにつれどんどん波が高くなり観察どころの話ではありません。
周囲に白波が目立つようになると突然停船。
『波が高いので引き返します』
そりゃそうでしょう。
素人目にも危険と感じる状況に船は慎重に進み港へと戻りました。
状況が状況だっただけに船会社からは半額の返金がありましたが失った時間はプライスレス。
何故潔く欠航と言わなかったのでしょう。
結果的にこの日は午前中に見たヒグマが貴重なものとなり宿へ戻る頃には日が傾いていました。
翌日の観察について思案していたところ知人より連絡が入り『明日、ヒグマとシマリスを観察しますが一緒にどうです?』と有難いお誘いが。
二つ返事で同行をお願いしたものの悩ましいのは宿泊先で提供される朝食。
この時間を待っては出だしが遅くなってしまいます。
悩んだ結果、宿泊先には朝食キャンセルの旨を伝えましたがこの判断が運命の分かれ道となるとは露知らず…
2024年10月13日
予報とは異なり曇天の空で迎えた最終日。
就寝中に雨が降っていたのかアスファルトは濡れ水溜りができていました。
慌ただしく準備を整え観察場所へ向かうと既に知人の姿がありヒグマが出ているとのこと。
砂浜を彷徨くヒグマを沢山のカラスが取り囲んでいます。
画像を拡大するとカラフトマスの死骸を漁っていることが判明。
間もなく上流側に別個体のヒグマが出ていることが分かりそちらへ急行してみると…
まるでネイチャー番組を見ているような光景が目の前に。
巨大なヒグマがカラフトマスを探し少しずつ上流側へと移動していました。
何度か深みにダイブを見せるもののカラフトマスの捕獲はならず。
時には駆け足でもカラフトマスを狙っていましたが狩りは尽く失敗。
狩りが下手な個体なのでしょうか。
そのわりには随分と太っているようにも思えます。
今年はどんぐりが豊作とのことで木の実を沢山食べて肥えたのか、それともこの日はたまたま狩りの調子が悪かったのか。
この個体を観察していたのは30分ほど。
その間にカラフトマスを獲ることは一度もできず遂に諦めたようです。
周囲の様子を見渡すような素振りを見せると一目散に山へと戻っていきました。
興奮冷めやらぬ頃、下流側に親子のヒグマが現れたと知り駆け足で移動してみると…
ヒグマ温泉。
後ろ足だけで直立しているため見た目には露天風呂に浸かっているかのよう。
この場面には流石に笑ってしまいましたが、こちらの個体はとても狩りが上手な個体でした。
勢いよく走るとまるで飛びかかるかのような格好でカラフトマスを捕獲。
捕獲したカラフトマスを持ち運ぶと河岸へ置くような行動が見られ、直ぐに食べることはありません。
この時の姿は北海道でよく見る木彫りの置物を彷彿とさせます。
獲物を放置すると立て続けにカラフトマスを捕獲。
次々とカラフトマスを捕獲するものの時には川へ捨てることもありました。
一方、子グマはカラフトマスの死骸を器用に持つような仕草を見せることも。
もしかすると母グマは子グマに狩りの練習をさせるためカラフトマスを食べずに捨てていたのかもしれません。
子グマは好奇心旺盛といった様子で岩場を登ったり降りたりを繰り返していました。
観察を始めてから30分ほど経過すると親子グマも山へ戻っていきましたが、もし宿泊先で朝食を摂っていたならこうしてヒグマを見ることはなかったでしょう。
知人からは『本州から2〜3日来て、こんな観察をできるなんて有り得ない』と言われ、地元の方にとっても滅多にない場面に私は遭遇したようです。
今回の旅もまた最後の最後に運を呼び込み想像以上の観察をすることができました。
ヒグマの観察を終えた後は大きく場所を移動してシマリスの観察へ。
とある公園へ着き知人が先週観察したという場所を覗いてみると残念ながらシマリスはお留守の様子。
そこで手分けをして探していたところ駆け足で移動するシマリスを発見。
こっそりと後をつけると何かをモグモグしている可愛らしい姿を見せてくれました。
直ぐに姿を見失ってしまいましたが、暫くすると頬をパンパンに膨らませたシマリスが登場。
行く先を見守ると斜面にある小さな穴の中へ入る姿を目撃。
10分ほど経過すると食べ物を隠してきたのか頬は元通りに。
こうした一連の行動から冬眠に向けて貯食していることが分かり、行動パターンを割り出すと様々な場面を見ることができました。
こちらは毛繕いする様子。
時には樹上で毛繕いすることも。
何度も足元を駆けていきますが動きが速くカメラワークが追い付きません。
素早く動くシマリスに翻弄されつつも時間の許す限り観察を楽しめましたが、今回の旅行は知人に救われた旅となりました。
観察の大部分が最終日に集中し、情報や誘いを頂けなければ空振りの旅に終わっていたことでしょう。
正に紙一重の内容でしたが結果だけを見ると大成功の旅になりました。
今はただ知人に感謝の気持ちでいっぱいです。
次に道東へ足を運ぶのは来年2月の流氷シーズン。
多くは望みませんが次の機会も楽しい時間を過ごせますように…
2024年 ヒグマ観察の旅 in 道東はこれにておしまいです。