2024年12月13日
本日更新の日記は観察旅行記。
今回の旅行を以て終了となるはずだったANAの修行フライト。
今年は度重なる予定変更の影響から先月の時点で規定ポイントに到達し、来季もANAダイヤモンドステータスを維持することができました。
ダイヤモンド継続二年目以降はマイル積算率が更に上昇するため乗る度にウハウハ。
まんまとANAの策略に乗せられる私はカモが葱を背負って来たどころの話ではありません。
自ら鍋に浸かるカモからは嘸かし良い出汁が取れていることでしょう。
冒頭、旅行記と全く関係ないの無い話題になりましたが、既に修行を終えた私はこれ以上フライトを重ねる必要が無く今回の旅行はキャンセルも考えました。
しかしながら年間スケジュールとして前々からチケットを確保していたこともあり早割の予約にはキャンセル料が発生してしまいます。
こうした事情もあって当初の予定通り秋田を離れることにしましたが今回の目的地は…石垣島。
『お前3週間前にも行っただろ』と仰る方もいらっしゃることでしょう。
一般的な考え方とかけ離れていますがステータスの獲得また維持のためにはこれが常識です。
ターミナルを一歩も出ることなく空港から空港へと行ったり来たりする修行僧に比べると私はまだぬるい方。
私の場合、修行と言いながらも各地で観察や観光を楽しみ、郷土料理に舌鼓を打つという側面を持っているため本当の修行僧とは言えないかもしれません。
実に三週間ぶりの石垣島。
三年ではなく三週間ぶりということもあり流石に大きな変化は見られず、今回の旅行記は前回とほぼ同じ内容になりました。
定刻より少し遅れて15時10分、小雨の降る石垣空港へ到着。
始めに観察したのはカンムリワシの幼鳥。
こちらは羽田からの移動中、私の渡島に合わせ島の友人が情報を寄せてくれたもの。
話によるとハヤブサのペアに攻撃され怯えていたそうです。
情報のあった地点から少し離れた場所へ移動していましたが、この時にハヤブサの姿は無く雨に濡れた羽を乾かし落ち着いている様子でした。
暫く様子を伺ったものの動き出す気配が見られなかったこともあり、未だ滞在中だというナンヨウショウビンを見に行ってみることに。
現地へ到着し周辺の様子を確認してみると満潮時刻と重なったためか、幾ら探してもナンヨウショウビンを見つけることはできませんでした。
悪天候も相俟って辺りはあっという間に暗くなってしまい初日の観察は早々に終了。
2024年12月14日
この日は予報になかった雨が降り午前7時になっても外は真っ暗。
7時半を過ぎた頃にうっすらと明るくなり始め、雨の降るなかナンヨウショウビンを探してみると運良く発見。
警戒心の強い相手とあって近くからの撮影は藪の隙間から盗撮することが精一杯。
できることであれば近くからじっくり観察してみたいのですがそれは叶いそうにもありません。
ナンヨウショウビンの探鳥地点を離れた後は市街地の公園へ。
こちらでは前回カラムクドリの群れを観察できていましたが、今回はミドリカラスモドキの群れに入れ替わっていました。
気になったのはミドリカラスモドキの総数。
前回20羽ほどだった群れは30羽ほどに増えており一体何処からやって来たのか。
電線に止まる個体を眺めていると高圧的に罵る個体を目撃。
まるで仲裁するように隣の個体が足首を噛むと…
余程痛かったのか飛び去りました。
公園内には前回見られたシマアカモズも。
しかしあれだけ居たはずのカラムクドリが全く見られなくなっており何処へ移動してしまったのでしょう。
市街地を転々としながら探鳥を続けていると電線に止まる4羽のカラムクドリを発見。
間もなく付近の木へ移動し採餌を始めましたが、こちらの個体は警戒心が強く一定の距離を取られてしまいました。
カラムクドリと混群を成すギンムクドリは1羽も見られず、今季は渡来数が少ないのかもしれません。
再びナンヨウショウビンの様子を見に行ってみると遠くへ移動することなくほぼ同じ場所で採餌していたようです。
ナンヨウショウビンを見た後は前回ヘラサギとソリハシセイタカシギが見られた田んぼへ。
今回はヘラサギの姿が無くなっていたもののソリハシセイタカシギが3羽に増えていました。
タゲリが入っていた田んぼには水が張られており前回とは違った雰囲気の写真に。
付近の田んぼにコハクチョウが滞在しているとの情報を島の友人より頂き、そちらも併せて観察。
これまでに石垣島ではヒシクイ・マガン・ハイイロガン・カリガネなど、北の地域で越冬するはずの種を観察してきましたが、適温ではないはずの石垣島へ遠路遥々渡る理由は何なのか。
観察を始めて間もなく2羽とも睡眠の姿勢を取ってしまったため早々にこの場を後にしましたが、考えてみると水の張った田んぼを風景としてハクチョウを見たのは初めてだったような…
ハクチョウの観察を終えて時刻を確認すると正午だったこともあり、昼食は八重山そばをチョイス。
初めての店舗で食した八重山そばは自家製麺。
いつもの店舗は丸麺でこってりした特徴的な味付けですが、今回の店舗は沖縄そばと同じく平麺。
スープは豚骨とカツオで出汁を取ったあっさりとした風味でした。
昼食を終えて再びナンヨウショウビンを見に行ってみましたが残念ながらお留守の様子。
しかしこれといった目的が無かったこともあり暫し出待ちをしていると200mほど離れた場所にナンヨウショウビンを確認することができました。
画像を拡大。
こちら側へ飛来することを願い様子を見ていましたが、願いも虚しくナンヨウショウビンはあらぬ方向へ。
待機することも一つの手段でしたが、ここは潔く諦め場所を離れることに。
島内を転々としながら探鳥していたところ島の先輩よりカンムリワシ幼鳥の情報を寄せて頂き現地へ直行。
先輩の情報と寸分違わぬ場所に止まっていたカンムリワシ幼鳥。
確認して間もなく気になったのは血に染まった胸元。
鮮血を浴びるほど積極的な狩りをする猛禽ではないため怪我によるものだろうかと注意深く観察しましたがそれらしき様子も見られません。
不可思議に思い観察を続けたところ脱糞。
間もなく飛び立つことが予想できたためカメラを構えると…
狙いを定めるように地面へ降り立ちました。
地面に降りたカンムリワシは何かを捕食しているようでしたが、伸長した下草の陰となり獲物の正体を伺い知ることができません。
しかし捕らえた獲物は食べ難いのか随分と難儀しているように見えました。
捕食の様子を注視していると時々見えたのは内臓のような物体。
それらの画像を拡大してみます。
暫く観察を続け、思い出したのは2022年11月25日の観察。
当時石垣島で目にしたのは放牧された石垣牛が屋外で自然分娩する姿。
産まれたばかりの仔牛が初乳を飲み、母牛が胎盤を食べるというものでしたが、今回カンムリワシの幼鳥を目にしたのは石垣牛の放牧地。
カンムリワシの幼鳥が食べているのは石垣牛の胎盤でなかろうか…
そのように考えると血に染まった胸元は胎盤によるものと合点がいきます。
何度かに分けて食べているという仮説を基に観察を続けると、獲物を噛み切ることができず胸元を引き摺るような場面を頻繁に見ることができました。
時にはゴムを引っ張るように噛み切ろうとする姿も。
千切ることができず無理矢理飲み込んでいたため嘔吐しそうにもなっていましたが、捕食の時間は20分くらいだったでしょうか。
下草に隠れ獲物が残っているのか定かではありませんでしたが、食事を終えたカンムリワシ幼鳥は飛び立っても付近を離れようとしませんでした。
一部始終を観察し車を移動すると牛舎には産まれて間もない仔牛の姿。
確証は持てませんが、カンムリワシの幼鳥が捕食していたものは石垣牛の胎盤である可能性が高いと思います。
観察を終えて間もなく再び島の先輩よりカンムリワシ幼鳥の情報が。
現地へ直行してみるとこちらはまだあどけなさの残る優しい表情をした個体でした。
その後も島内を転々としてみたものの、これといった鳥果を得られず…
頃合いを見計らいナンヨウショウビンを探してみましたが、やはり満潮時刻は出が悪くなるのか姿を確認することなくこの日の観察を終えました。
2024年12月15日
今年の観察旅行はこの日が最終日。
残された時間をどのように過ごそうか思案していたところ秋田県は強い寒気に覆われ荒れ模様になるとのプッシュ通知が…
このところ秋田空港は遅延や欠航が相次いでおり下手をすると羽田で足止めを食らってしまいます。
最悪の事態を回避するため急遽チケットを取り直し午前の便で石垣島を離れることに。
観察に充てられる時間は残り僅か。
それならばとナンヨウショウビンに的を絞り朝一番で捜索へ。
現地へ到着して間もなく遠巻きながら姿を確認。
画像は拡大していますが、遠巻きながらも一瞬のうちに昆虫を捕まえる場面を見ることができました。
その後、接近を試みるも見事に裏をかかれ最大のチャンスを逃して意気消沈。
どうすることが最良の選択肢となるのか考えていたところ耳にしたのはコムシクイの地鳴き。
鳴き声を頼りに動向を探ると忙しなく動き回るコムシクイを発見。
メボソ上種は鳴き声による判断が一般的ですが、八重山諸島ではコムシクイが越冬しているためこの時期に見られるメボソ上種はコムシクイと判断してもよいかもしれません。
ちょこまかと動き回りピント合わせには難儀させられましたが、今更ながら地鳴きを録音するべきだったと少々後悔。
タイムリミットが迫りナンヨウショウビンを拝めるチャンスはほんの僅か。
迷鳥ということもありこの先いつ見られるかも分かりません。
悔いを残さないようにと思い当たる場所を探して回ると…
最後の最後に鮮やかな青色を目に焼き付けることができました。
こうして幕を閉じた2024年の観察旅行。
今年一年の観察旅行を振り返ると沢山の出会いに恵まれながらも地域問わず聞こえてくるのは『鳥が少ない』という声。
近年は著しい変化も見られるようになっただけに、せめても「居る場所には居る」という現状維持が切なる願いです。
長くなりましたが今年も旅先では地元の方々のご厚意により貴重な経験を積むことができました。
改めて感謝申し上げます。
2024年 野鳥観察の旅 in 石垣島 (12月) はこれにておしまい。