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2025年 野鳥観察の旅 in 台湾 (1月) ②

 

 

前回のあらすじ。

 

 

新春に企画した初めての台湾旅行。

日程初日は移動に時間を費やしましたが、台湾で待ち受けていたのは言語の壁。

 

レンタカーを調達するにも思うようにいかず乗り出しまで相当な時間を無駄にしてしまいました。

 

更に私を疲弊させたのは現地の交通事情。

慣れない右側通行に複雑な道路、加えて猛スピードですり抜けてくる大量のスクーター。

 

道は間違えても事故だけは起こさないようにと細心の注意を払って運転しなければなりませんでした。

 

 

駐車場の問題もあり宿泊先へ着いた頃には疲労困憊の状態に。

 

 

2025年1月2日

 

 

今回の旅でお目当てとしていたのは主にヤマムスメ・サンケイ・ミカドキジの3種。

 

その他にも固有種の多い台湾では観察したいと思わされる種が数多く生息しており、手始めに街中でも見られるというヤマムスメを探す計画を立てていました。

 

しかし現地の天候は生憎の空模様。

当初の計画では台北植物園でヤマムスメを探し、その後は台中へ移動する予定でしたが急遽予定を変更。

 

この時期がベストシーズンと言われる台中での観察をメインに考えていたため、台北植物園での探鳥を後回しとすることに。

 

台中まで一気に南下すると決めたまでは良かったものの、早朝から台北市街地はスクーターがいっぱい。

 

 

この交通戦争に勝たなければ台中へ行くことができません。

 

市街地では前日に続いて手に汗握る運転を余儀なくされましたが無事に高速道路へ乗ることができ一安心。

 

しかし安心したのも束の間、市街地と同様に高速道路でも所々渋滞が発生しており田舎暮らしの私にとって都会の運転は気の抜けない状態が続きました。

 

 

運転中、何気なくガソリンメーターに目を移すと残燃料が半分…

この時に思い出したのはレンタカー借り入れ時の店員の言葉。

 

『还车时请将汽油减半』

 

日本語に直すと「返却時にはガソリンを半分にして」となりますが、借り入れ時に満タンでなかったことが判明。

 

これが台湾ルールなのか店独自のルールなのか分かりませんが、台湾でレンタカーを借りる際には注意した方がよいでしょう。

 

 

約2時間ほど高速道路を南下し台中へ入ってからは一般道へ降りてガソリンを補給。

 

台中は台北ほど道路が複雑でなかったこともあり運転をしながら鳥を探す余裕も生まれ、道すがら見られたのは沢山のジャワハッカ。

 

加えてオウチュウもあちこちで見られるようになり車を止めてはスナップ撮影の繰り返し。

 

 

キジバトに紛れてカノコバトも見られるようになり、日本と異なる鳥相に面白さを感じました。

 

 

今回の旅行がより良いものになればと先人が記したブログを読み漁りましたが、台中の山には赤い実がなり沢山の小鳥が集まるとか。

 

地理的に右も左も分からない私にとって雲を掴むような話でしたが、赤い実のなる木を探して山道を進むと道幅が狭くなり対向車とすれ違うのも困難な状態に。

 

それでも台湾人が運転する車は猛スピードで追い越し、スクーターはクラクションを鳴らしながらの煽り運転が当たり前。

 

台湾人はハンドルを握ると豹変するという前情報を得ていましたが「これがそうか」となるほど納得。

 

 

聞き慣れない鳴き声を耳しては安全を確保できる場所へ車を止めて探鳥し、こちらは藪の中を動いていたミナミメジロ。

 

 

パッと見た目に日本で見られるメジロと区別がつきません。

但し鳴き声だけは明らかな違いを感じ取ることができました。

 

不意に視界に入った緑色の大きな鳥は台湾の固有種タイワンゴシキドリ。

 

 

こちらは見たいと思っていただけに初見時はやや興奮。

 

更に柑橘類の木を縫うようにして移動していたミミジロチメドリ。

 

 

初見のオンパレードに興奮状態が続いたものの猛スピードで往来する車が気になり観察に集中できず…

 

後ろ髪を引かれる思いで渋々車を走らせると見えてきたのは雲海を望む素晴らしい景色。

 

 

もう少し進むと赤い実のなる木があるはず。

あと一踏ん張りと気を引き締めハンドルを握ると想定よりも手前の地点に台湾人バードウォッチャーがずらり…

 

カメラの先にあったのは赤い実のなる木。

 

入念に下調べをしたとは言え、誰に教わることもなく海外で目的の場所へ辿り着けた自分を褒めたい。

 

右に倣えとばかりに車を停め直ぐに観察を兼ねて撮影を始めました。

こちらはタイワンシジュウカラ。

 

 

旅立ちまで多忙な生活を送っていたこともあり、正直なところ全ての種名を覚える余裕がなく現地では「黄色い頭の尖ったやつ」と命名。

 

無事に辿り着けたことを喜びつつも不思議だったのは実のなる木の高さ。

 

 

こちらの場所は目線の高さで見ることができましたが、私の下調べで赤い実は見上げる形であったはず…

 

しかし想定していたよりも好条件であることに間違いありません。

 

 

実のなる木にはひっきりなしに小鳥たちが飛来するため何から見たら良いのか分からないほど。

 

こちらは「白くて可愛い尖ったやつ」のカンムリチメドリ。

 

 

観察中は時々霧に悩まされたものの思ったほど寒さはなく標高1500mでも気温は14℃ほど。

 

前日の台北市街地は20/15℃だったでしょうか。

入念に防寒準備を整えてきましたが、厚着をしなくても寒さに震えるということはありませんでした。

 

 

カンムリチメドリは今回の台湾旅行においてNo.1の可愛らしさ。

ムラサキシキブを啄む姿もまた可愛らしい。

 

 

こちらは道中にも見かけていたミミジロチメドリ。

 

 

ミミジロチメドリはタイワンシジュウカラやカンムリチメドリより体長が大きいため他の小鳥を蹴散らすように飛来。

 

実の食べ方も啄むというよりもぎ取って丸飲みといった様子。

 

 

小鳥たちの飛来には波があり10分間隔で飛来していたでしょうか。

 

静かになったと思っても待ち惚けということはなく、1羽飛来すると次々に飛来したため暇と感じる時間はありませんでした。

 

こちらは色鮮やかなチャバラオオルリ。

 

 

この日の観察中、実のなる木への飛来率が最も高かったのはチャバラオオルリ。

先発隊として飛来したのもチャバラオオルリだったという印象が残っています。

 

 

こちらは雌の個体。

 

 

2時間ほど観察してみると実のなる木へ飛来する小鳥たちは全て出揃ったのか鳥相に変化が見られず。

そこで周辺を散策してみたところ…

 

目にしたのは「赤いやつ」のベニサンショウクイ。

 

 

緑豊かな環境で見るベニサンショウクイはインパクトが強く、目新しさも手伝って嬉々としながらシャッターを押していました。

 

失敗だったのは観察よりも撮影が優先になってしまい生態については何も分からず…

 

 

そもそも発見時にサンショウクイという認識がなく私の印象に残ったのは赤い鳥ということのみ。

 

 

ベニサンショウクイを見失い実のなる木へ戻ろうとしたところ山肌から小石が落石。

生き物の気配を感じ見上げてみると目にしたのは茶色いキジ科の鳥でした。

 

撮影を試みるもAFが全く役に立たず。

 

 

直ぐにMFで撮影しましたが、こちらの鳥は今回の旅でお目当てとしていたミカドキジ。

但し雌の個体です。

 

 

まるで私の気持ちを弄ぶかのようなミカドキジはピント合わせをしてもご覧の有り様。

 

 

まごまごしているうちにミカドキジは山の奥へ…

 

千載一遇のチャンスを逃し落胆の色を隠せません。

肩を落としながら実のなる木へ戻るとタイワンゴシキドリが飛来。

 

 

タイワンゴシキドリについて調べてみたところ巣穴を掘る行動上の特徴からキツツキ科に分類されているようですが、2009年にゴシキドリの亜種という地位から台湾の固有種として認められ「Taiwan Barbet(タイワンゴシキドリ)」という名前が与えられたそうです。

 

 

暫く定点観察を続けましたが、気になっていたのは元々想定していた観察地点。

 

前述した通りこちらは想定よりも手前の場所。

そこで元々想定していた地点はどのような状況にあるのか様子を伺ってみようと一度こちらの観察場所を離れることに。

 

 

ゆっくりと車を走らせると体長の小さいな鳥が藪の中を動く様子が目に止まり急停車。

こちらの「メジロっぽいやつ」はメジロチメドリ。

 

 

メジロチメドリは素早く動き回り、動作としてはメジロよりも俊敏に感じました。

 

 

群れで行動しており、この点についてはメジロと同じようです。

 

 

メジロチメドリの観察中、付近に止まったのはタイワンオナガ。

 

 

このタイワンオナガはあちこちで目にしていましたが、条件良く見ることができたのはこの時が初めて。

 

 

間もなく想定した場所へ辿り着くと頭上より遥か高い位置に茂る赤い実のなる木を発見。

 

私が下調べした場所に間違いないでしょう。

しかしこちらには鳥が飛来する様子が見られず、もしかすると時期的に鳥の集まる場所が変わるのかもしれません。

 

そのように考えると好条件で観察できるかは運次第。

私たちは運が良かったと再び元居た場所へ戻るとサルが移動する姿を目撃しました。

 

そちらへ歩み寄るとサルがあちこちに。

 

 

初めて目にしたタイワンザルですがニホンザルと近縁で尾が長く太いことが特徴のようです。

サルの観察はほどほどに実のなる木へ戻り16時頃まで小鳥たちの観察を続けました。

 

この日の宿泊先はとんでもない山奥に位置しており、道中に不安もあったことから暗くなる前に観察を終了。

 

再び気を引き締め運転していると道端に出ているサンケイを発見。

 

 

しかし発見場所が悪かった…

道端狭く往来の激しい道路では車内からの観察は不可。

 

不本意でしたが車を降りる他なく証拠写真を残すことが精一杯。

 

 

案の定、車が通り警戒したサンケイは藪の中へ。

 

 

目にした時間は2分ほどでしたが、タイミング次第では見ることができなかったでしょう。

 

 

これもまた運が良かったと考え宿泊先へ向かいましたが、想定以上に酷い道のりでした。

車1台分の狭い山道を延々と進み「この先に宿があるのか」と疑うほど。

 

しかし下調べでは❝バードウォッチャー御用達の宿❞という書き込みがあったため、宿周辺ではきっと素晴らしい観察ができるはず…

 

そう自分に言い聞かせ山道を進むこと数十分。

宿と思わしき建物が見えてきました。

 

 

中へ入ってみると中華料理店を思わせる佇まい。

 

しかし壁には所狭しと飾られた野鳥写真がずらり。

これは期待が持てます。

 

 

「你好」

 

私が声をかけると奥からお母さんと娘さんと思わしき女性が二人登場。

 

『欢迎你,我一直在等你』

 

次々に中国語でまくしたててくる宿のお母さん。

 

「ちょっと何言ってるか分からない」

 

友人は英語、私はにわか中国語で応戦するも全く埒が明かず…

チェックインはさておき、私たちが知りたかったのは宿周辺の観察情報。

頼みの綱のGoogle翻訳も役に立たずちんぷんかんぷん。

 

仕方なしに情報は諦め宿周辺を散策してみることに。

驚いたことに宿周辺は…

 

 

鳥が全く見当たらない。

どうやら私は宿の選定を誤ったようです。

 

一体何のために何十分も危険な山道を運転してきたのか。

今更宿を変える訳にもいかず部屋へ入ると目にしたのは窓越しに見える雲海。

 

 

景色はまぁまぁのようです。

 

部屋の造りは非常にノスタルジック。

下調べにあった通り暖房設備は無く、浴室に湯船はありませんでした。

 

 

色々とカルチャーショックの多い台湾ですが、ここで台湾旅行を考えてる方のために知っておきたいこと8選。

 

・暖房設備が無い

寒い期間が短い台湾では暖房という概念がなく地方の宿泊施設に暖房設備はありません。

 

・アメニティが無い

2025年1月1日より環境保全の取り組みで無料のアメニティが廃止され、宿泊先には何も用意も無くなりました。

 

・トイレットペーパーを流せない

都市部では改善されつつあるようですが、台湾は水圧が弱く配管が細いため使用したトイレットペーパーは便器横のゴミ箱に捨てなければいけません。

 

・水道水が飲めない

鉄の胃腸でない限り水道水を飲むと一発でお腹を壊します。

そのため氷にも要注意、常に飲料水を持ち歩きましょう。

 

・お茶に砂糖がぶち込んである

セブンイレブンやファミリーマートなど日本でもお馴染みのコンビニが多い台湾ですが、例え緑茶であっても無糖と表記してない限り砂糖がぶち込まれています。

 

・MRTでは飲食禁止

今回の旅ではMRT(地下鉄)を利用しませんでしたが、飴やガムを口にするだけでも罰金を取られるので要注意。

 

・バスが止まってくれない

MRTと同様に今回の旅ではバスを利用しませんでしたが、複数の路線が同じバス停を使用するため自分の乗りたいバスが近付いてきたら手を上げる必要があります。

スマホをに夢中になっているとバスは素通りしてしまいます。

 

・コンセントは日本と同じ

形状は日本と同じで台湾の電圧は110Vと日本と大きな変わりはありません。

余程シビアな家電製品でない限り変圧器を使用しなくてもそのまま使えます。

 

 

余談はここまでとして18時からお楽しみの夕食タイム。

テーブルに並べられたのは食べ切れないほどの台湾料理でした。

 

 

「う〜ん…」

 

どれも日本にない味付け。

お肉にはシナモンのような味付けがあったり八角が香ったりと正直なところ口に合うものとそうでないものが両極端。

 

食の好みは人其々ですが私は八角の風味が苦手であることが判明しました。

 

台湾ビールを飲みつつ友人と語らっていると居合わせた台湾人宿泊客がカラオケを歌い始める珍事が発生。

 

 

今度は貴方の番だとマイクを向けられ何故か台湾に来てカラオケを歌う羽目に…

 

日台歌合戦が始まると台湾の山奥には日本語と中国語の『昴』が響き渡り、終わりの見えないカラオケに私たちは逃げるように退散。

 

その後も台湾人の一人カラオケは延々と続き眠れぬ夜を過ごすことに

なりました。

 

 

翌日も実のなる木を中心に観察を行いましたが新たな出会いが盛り沢山。

そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。