2017年4月2日 10/1℃ 晴れ時々曇り
新年度を迎え最初の観察は『春の珍鳥まつり』と銘打って渡り鳥の観察です。
例によって普段なかなかお目に掛かることのできない鳥を探すのですが、こちらは本当に運要素が強いため下手すると一度もカメラを構えることなく帰る羽目になってしまいます。
過去に実績のあった場所を中心に見て回りますが、今日は見事にハズレました。
結果、まつりにもならず。
しかしながら道中、今年初確認のツバメの姿を見ることができました。
もう時期あちこちで姿が見られるようになると思いますが、故郷を目指し戻ってくるのは当たり前のことではなく幾多の困難を乗り越えてきた精鋭部隊。
ハクチョウのように群れでは渡らず体重をギリギリに保ち単独で渡ってきます。
先ずはお疲れ様と言いたいです。
話しは戻って珍鳥を見つけ出すことができなかったため早々に場所を移動し、ある鳥の調査に入りました。
こちらの場所は風車の設置に伴い大きく環境の変化がありました。
ここは様々な鳥が営巣するとても良い場所だったのですが、現在は沢山の木が伐採され鋪装道路が整備された状態。
実は上の画像に今回調査対象となる鳥の巣が写っています。
角度を変えて撮影したものに矢印を付けました。
魚食の猛禽類、ミサゴの巣。
こちらに営巣し繁殖するペアを以前から観察していたのですが、日記に取り上げることはせず温かく見守っていました。
しかし今回公開に踏み切ったのは現実を多くの人に知ってもらいたいから。
風車と風車の間に挟まれるような形で毎年営巣していた木は辛うじて残ったものの周囲からは丸見えの状態。
果たして今年もこの場所で繁殖するのか、仮に繁殖してもバードストライクの危険性は一体どの程度かという思いからこちらの場所へ足を運びましたが、巣の近くで2羽のミサゴの姿を確認しました。
間違いなく例年繁殖しているペアでしょう。
風車が設置されたのにも関わらずこの場所で今年も繁殖するのだろうか。
幾ら道路から丸見えといった状態でも警戒心の強い猛禽類は下手なことをすると巣を放棄しかねません。
本来であればこの段階で巣にカメラを向けたくありませんが、今回は繁殖に影響がないよう藪の中でネットを被り様子を見ることにしました。
ほんの数分でミサゴが飛来。
足には運んできた巣材が確認できます。
巣の中に入り周囲を警戒しながら巣材を積み重ねているようです。
このように巣材の運搬が何度か行われ、しばらく様子を見ているともう1羽のミサゴが飛来。
しかし足には巣材が確認できません。
何だろうと思った瞬間、巣に入っていたミサゴの上にダイレクトに着地。
交尾の瞬間です。
ミサゴの交尾は激しいものでメスの背中でオスが何度も足踏みをして行われます。
今日は巣材の運搬を挟み2度の交尾を確認できました。
これで今年も繁殖は間違いないでしょう。
しかしながら手放しで喜んでいられない現実があります。
バードストライク。
最初に話した通り、巣は風車に挟まれた状態。
勢いよく回るブレードに叩き落とされ命を失う鳥類がいるという話を耳にした方も多いと思います。
でもそれを否定するように「巧く交わして飛んでいる」というような話で企業側が誤魔化している場合もあり、設置を許可する自治体は「生態系や環境に影響が出ないよう配慮する」と云い加えます。
しかし現実は違います。
風車の真下に行ってみるとブレードに叩き落とされたトビの死体が散乱していました。
無残に引き裂かれたトビの翼。
これが現実です。
本当であれば楽しい形で鳥の話題だったり間抜けな珍道中の様子を伝えたいのですが今回ばかりはそうもいきません。
この悲しい現実は東日本大震災が発生して以降、まるで追い風でも吹いたかのように乱立する風車がもたらしたものです。
確かに電気は私たちの生活に欠かすことはできません。
しかし作る努力より使わない努力が必要なんだと思います。
日本には高度な技術を持った企業や開発者が沢山いるので、省エネの分野にもっと力を注いでくれたらな・・・
こんな場所で繁殖を目指すミサゴのペア、雛が孵り餌の要求量が多くなるとその分バードストライクの危険度も増すでしょう。
無事に巣立ちを迎えても上手く飛べない幼鳥の前に風車が立ちはだかります。
本当に心配なことばかりですが無事に繁殖できるようこの先もミサゴのペアを見守っていきたいと思います。
今日の日記はここまで。