2017年8月15日 31/21℃ 晴れ
今日はアオバトの観察。
昨日は鳥海山で観察を行いましたが山頂付近まで登ってみたものの見事に空振り。
今朝起きてみると思ったよりも登山の疲れを引き摺っておらず、今日は早朝から海岸へ足を運んでみることにしました。
海岸へ到着すると今日のお目当てとなるアオバトの姿を確認。
大小幾つかの群れに分かれているようですが総数にすると80羽程度。
何処に構え観察しようかと海岸線に沿って車を移動すると前方にハヤブサらしき鳥の姿が目に入りました。
私の位置からは逆光のためシルエットでしたが間違いないでしょう。
このまま進むとハヤブサの真横を通過することになりますが、警戒して飛ぶことがなければ撮影してみようと低速で移動すると全く我関せずといった様子。
順光の位置になったところで撮影を試みます。
辺りを飛んでいるアオバトに意識が取られているようで普段からは考えられない間合いです。
一方でアオバトはハヤブサの存在に気付いているようで辺りを周回するだけでなかなか浜辺に降りてきません。
しばらく両者の様子を見ていましたがアオバトが水面でホバリングするような形で海水に尾羽を浸し始めました。
通称「尾っ浸け」と呼ばれるこの行動は未だ何の為にやるのか解明されていないようです。
海水を飲むため海辺に飛来するアオバトですが温泉の湯を飲むこともあるそうで、いずれもミネラル補給のためと言われていますがはっきりとした理由は分かりません。
なかなか浜辺に降りてこないアオバトに業を煮やしたのか不意にハヤブサが飛び立ちました。
ハヤブサの急襲を予測していたのかアオバトの群れは一斉に分散することで危機を回避。
狩に失敗したハヤブサは再び同じ位置に戻ってきました。
虎視眈々と獲物を狙うハヤブサを横目に車を少し移動。
前方にアオバト、後方にハヤブサといった中間の位置につけ今度はアオバトを中心に観察を行います。
ハヤブサの急襲以降辺りを飛ぶことはせず海岸沿いの松の木で様子を伺うアオバトたち。
しかしアオバトにとって海水を飲むことは命を懸けるほど大事なことで、ハヤブサが近くで見ていることを知りつつも先発隊が浜辺に降りてきました。
どういった形で役割分担があるのか判りませんが一斉に群れが降りて来ることはなく、必ず1~2羽が先発隊として降り安全が確認できると群が続々と降りてきます。
美しいこの鳥をのんびりとした気持ちで観察する予定だったのが、番長のように居座るハヤブサのお陰で随分とこの瞬間を待たされました。
さぁこれから!といった瞬間、後方から低空飛行してきた黒い影。
「逃げろー!!!」
心の中で叫んだ瞬間、逃げ遅れたアオバトにハヤブサが一蹴。
アオバトの羽は他の鳥に比べると抜けやすい構造になっており、猛禽に襲われても羽をばら蒔きながら逃げることができますが今回は深傷を追った様子。
一方でアオバトを蹴り飛ばしたハヤブサは急上昇をしながらも目線はしっかりと獲物を見ています。
一瞬の出来事でカメラワークが間に合わなかったのでブレていますがこちらは画像を拡大。
身体を反転させ再び急降下したところでアオバトに留めを刺しました。
「殺られてしまった・・・」
ファインダー越しに見ていることで冷静さを保つことができましたが、もしそうでなければ走ってでも助けようとしたと思います。
しかしハヤブサにとっては特別なことをした訳ではなく普段通りのことをしたまで。
走っていったところでアオバトの命が助かる保証もありませんし、それをしたところで次にまた犠牲者が出ます。
厳しい自然界では人知れずこういったことが毎日繰り返されていますし、犠牲となったアオバトは綺麗に食べてもらうことが最高の弔いになるでしょう。
車を真横の位置まで移動しハヤブサの捕食の様子を見ることにしました。
ちょうどこの時に浜辺へ行楽でやって来た方がハヤブサのいる方に歩き始めてしまい、獲物を持って飛んでしまうと思いましたが意外にもハヤブサに飛ぶ様子はなし。
私も浜辺に降り間近での観察を試みました。
余程腹が減っていたのかハヤブサは夢中になって獲物に喰らいついています。
あっと言う間にアオバトの形は無くなっていきました。
少し離れた場所では殺られた仲間を横目に果敢にも浜辺に降りようとするアオバトたちの姿。
改めて感じる自然界の厳しさ。
どんな生き物も皆一生懸命生きています。
本日の観察日記はここまで。