2021年10月10日
今回の日記はタカの渡りの観察記。
9月は越冬地を目指すタカが移動する時期とあって、バードウォッチャーが最も長く空を眺める期間と言えるのではないでしょうか。
かくいう私も南下するタカを眺め思いを馳せたいところでしたが、業務多忙につき休日は尽く潰れてしまいました。
加えてタカの渡りは日毎に様相が異なり、天気や風向きでルートも変わったりと休日が限られる身にとって“当たり”と思える日に立ち会うことはなかなかできません。
今季は丸一日空を眺めるという日はありませんでしたが、私が目にした渡りの様子を綴りたいと思います。
一回目のワクチン接種予定日だった9月15日、接種を終えてから向かったのが秋田市の定点観察場所。
実は私がこの場所を訪れるのは初めて。
野鳥の会秋田県支部の会員の皆さんが集まり、日々の記録を集計している場所です。
支部の方に過去の傾向や目印となる場所の呼び名などをレクチャーして頂いたところで早速観察を開始。
観察を始めて間もなくツミが至近距離を通過する場面があり期待が高まりましたが、飛んでくるタカはいずれも「高い・遠い」の連続でした。
「視力検査でもしているか?」と思わされるような時間が続き、確認の漏れが相当数あったことでしょう。
時期的にはハチクマが多く渡るはずだったものの目にするタカはツミやハイタカがほとんど。
小型のタカ故に「高い・遠い」状態ではゴマ粒ほどに見えるだけで今一つ盛り上がりに欠けてしまいます。
消化不良のまま観察が終わってしまうことを覚悟していたところ、ようやくといった形でハチクマが姿がちらほら・・・
ゴマ粒の観察が続いていたところにハチクマが姿を見せたことで周囲からは歓声が上がっていました。
本来こうした姿を幾つも見られるはずですが、単に私のタイミングが悪いだけではなく今季は秋田県を通過するハチクマのルートが異なっていたようです。
この時は6羽のハチクマが次々に定点を通過し南下していく彼らを見送りました。
今季、観察日だけではなく勤務中に移動している際にも一番よく目にしたのがノスリ。
ノスリと言えばハチクマ・サシバ・チゴハヤブサ・ツミ・ハイタカの渡りが一段落したところで10月に入ってから渡りを見るのが通例ですが、今年は何故かノスリの渡りが早く、例年とは異なる渡りを各地で観測されていたようです。
別地点で観察していた際にもノスリが圧倒的に多く、低空で飛んでくる場面にも遭遇しました。
ノスリを確認して双眼鏡を覗いてみると、肉眼では見えなかったツミを確認できることが多く、ノスリにちょっかいを出しながら渡っていることが多くあったように思います。
小型のタカは標高の高い場所へ行くと至近距離で見られることもあり、秋田では普段目にする機会の少ないツミをしっかりと観察することができたのは何よりの収穫。
首都圏では都市公園などで繁殖しているようですが、私は渡りの季節以外にツミを見た経験がありません。
渡りの季節に姿を見られる以上、各地で繁殖をしていることは間違いありませんが、おそらく森林の人目につかないような場所で繁殖しているのでしょう。
ハイタカに関しては越冬地を目指し南下する個体もいる一方で、秋田県以北から渡ってきた個体が越冬するケースも見られます。
そのため秋田県では夏鳥として見られる個体、留鳥の個体、冬鳥として見られる個体が混在しているようです。
いずれの地点においても“当たり”と思えるような場面に遭遇することができず今季はこれまでかと思っていたところ桁違いの鷹柱を確認。
長崎県で見たアカハラダカの渡りを彷彿させる光景に心が踊りましたが・・・
よく見てみると全てハリオアマツバメ。
この時現れたのは200羽ほどの群れだったでしょうか。
糠喜びもいいところでした・・・
結果として今季は良い場面を見ることができないままシーズンを終えましたが来季は観察を重ね是非とも“当たり”を引きたいと思っています。
先ずは彼らが無事に目的地へ辿り着くことを願い、本日の日記はここまで。