2021年11月7日
今回の日記は先月行った夜間調査の様子から。
例年10月に入るとヤマシギの個体数を把握するため夜な夜な調査に繰り出していますが、今年に限っては時間の確保が難しく10月中に出ることができたのは一夜限りでした。
唯一調査に出ることができたのは例年ピーク日を迎える10月中旬。
何ヵ所か調査を行うなかでも主要としている場所へ赴いてみたものの何故か1羽も確認することができず
これは想定外。
見つからない時間が長くなるにつれ慎重さを欠いた瞬間に飛ばしてしまうということはよくある話で、ゆっくりと林道を進むと変則的に飛び回る鳥を目にしました。
「ヨタカだ」
明らかにヤマシギとは飛び方が異なり瞬時にヨタカと判りましたが、藪の陰となったポールに止まったようで私の位置からは姿を見ることが出来ません。
慎重に角度を変えてポールを確認してみたところ、やはりヨタカはポールの上に止まっていました。
2年前の10月14日、同じポールに止まるヨタカを目にしていましたがこの日の日付は10月13日。
2年前に見た個体と同個体と考えて間違いないでしょう。
この場所は鬱蒼としている林道のなかでも比較的開けた環境で、餌となる蛾を捕り易いのか飛び回ってはポールに止まるという行動を繰り返し見せてくれました。
月明かりで視界を確保できる状態だったことから試しにライトを消し、反応を見てみましたが特に行動の変化は見られず。
警戒するような雰囲気も感じられなかったので試しに近寄ってみることに。
「一体何処まで寄れるものなのか・・・」
じわりじわりと距離を詰めてみましたが、手を伸ばすと届いてしまいそうな距離まで寄ることができました。
この時は光源を切り替えハンディライトから自家用車のライトへ。
ぼんやりと照らされたヨタカでしたが距離が近いこともあって呼吸による胸の収縮が分かるほど。
滅多に無い機会ですから至近距離を活かしてスマホでも撮影。
同じ位置から一眼レフでも撮影しようと思いましたが当然のことながら距離が近過ぎてピントが合いません。
その為ピントが合う位置まで後退しての撮影です。
渡りの途中で腹を空かせているのか蛾の捕食に忙しいようで、そっとその場を離れ本来目的としていたヤマシギの調査に戻りました。
しかし幾ら探してみてもヤマシギが見当たらず調査場所を移動してみることに。
別ポイントに行ってみるとこの日1羽目のヤマシギをやっとの思いで見つけることができました。
今年は例年よりも渡りが早かったのか、それともこれからなのかと思いながらも暫し様子を観察。
林道に座り込み採餌する姿を眺めていましたが、いつ見てもこの鳥のアンバランスさには笑いが込み上げてきます。
左右に行ったり来たりしながら採餌を続けるヤマシギはどんどんこちらに近寄って来るため私が後退する羽目に。
個体差・季節・地域による違いもあるとは思いますがヤマシギの警戒心は他の鳥に比べると際立って緩いと感じます。
ミミズを数匹捕食したところで休憩に入った様子。
あくまでも個体数を把握するための調査になるので長居することなく別ポイントへ移動。
しかし幾ら探し回ってもヤマシギはなかなか見つからず、この日は調査終了間際にもう1羽を確認しただけに留まりました。
今年は春の渡りの時期から他の鳥類に関しても渡りのタイミングが例年と異なる種が多く、ヤマシギについても同様の事例として当てはまるのかもしれません。
今年だけがイレギュラーな形で時期が異なっているのか、今後もこのような状態が続くのかは分からないので継続的に調査・観察をする必要がありそうです。
この日は思いがけずヨタカを見ることができましたが、秋季の動向としては正確なデータを得ることができなかったため来季は調査日をしっかりと確保しデータ取りができればと思います。
本日の観察日記はここまで。