2021年12月26日
今年最後に更新する日記は蔵出しのクマタカ観察記。
青空が広がった某日、暫く観察をしていなかったクマタカの様子を見るため久しぶりに山へ行ってみました。
勿論行って必ず会える訳ではありませんから観察できるか否かはクマタカの気分次第。
定点に到着し数時間待ってみたものの一向に姿を現さずこの日は会えずに終わるのかと思った頃、クマタカの鳴き声が聞こえ耳を澄ましてみると2羽が鳴き交わしているようにも聞こえました。
それから間もなく眼下から湧き出てくるようにクマタカが登場。
こちらの場所では珍しい登場パターンに逆光気味でしたが慌ててカメラを構え連写しました。
死角へと飛んだクマタカを追って開けた場所まで移動してみましたが時既に遅し。
完全に見失ってしまいました。
周囲を見渡してみても姿を確認することはできず、呆けた気持ちで何気なく頭上に視線を移すと止まり木と化した鉄塔に当たり前かの如く止まっていたクマタカ。
暫くその様子を眺めていましたが時々羽繕いをするくらいでこれといった動きはありません。
長い時で1時間以上同じ場所に留まることもあり、飛び出しの瞬間を撮影するには根気勝負となってしまいます。
まして私の場合手持ち撮影が基本のためカメラを構えるにも限度があり、体力の続く限り頑張ってみたものの・・・
腕を下ろす瞬間を見計らっていたかのように飛び立ち、まるで嘲笑われている気分。
三脚を使いこなせない私にとってよくあるパターン。
通常鉄塔を離れたクマタカは戻って来るまで多少なりとも時間を要しますが、この時は周囲を一周しただけで再び鉄塔へ。
手摺を目掛けて着地の瞬間。
手摺に止まったクマタカは頻繁に鳴き声を発し眼下を見下ろしていましたが、眼下からは微かに別個体の鳴き声が聞こえたため手摺に止まったクマタカと鳴き交わしていたのかもしれません。
目を凝らして周囲を見渡してみたところ豆粒ほどに見えるクマタカが飛翔していることに気が付きました。
その際に撮影した画像を限界まで拡大。
画像を見て読み取れたのは虹彩の色が成鳥とは異なり若い個体であることが判明。
おそらく手摺に止まっている個体の血を受け継いだ者でしょう。
若い個体は森の中へと姿を消したため、手摺に止まる個体を観察していると急に落ち着きが無くなりそわそわとした様子が見られました。
間もなく飛び立つことが予想できたので今度こそ撮り損ねないようにとしっかりとカメラを構えます。
手摺から飛び立ったクマタカは何か狙いを定めるように突如急降下。
私の視界からは一瞬で消えて無くなりましたが、数十秒経過したところで遠巻きに姿を確認することができました。
眼下を飛翔する姿を見ていると何かを持っているように見えたため撮影した画像を拡大して検証。
今一つはっきりしませんが大きさと色合いから見てドバトを捕獲したようです。
獲物を抱えて飛翔するクマタカは森の中へ消えてしまいその後の動向については不明でしたが、狩りを終えた後とあって暫く姿を現すことはないだろうと予想しました。
しかし私の予想とは裏腹に頭上を悠々と飛翔するクマタカの姿が。
「一体何処から出てきた???」
クマタカは周囲を旋回するように飛翔すると徐々に遠退いていきましたが、上昇気流を捉えてある程度高度を稼ぐと翼を逆三角形に広げ羽ばたくことなく一直線にこちら側へ。
これこそ鉄塔へ止まる際によく見る飛翔シーン。
尾羽の角度を変えることで進行方向の微調整をしながら一気に迫ってきました。
着地する瞬間を撮影しようと進路を予測してカメラを構えていたものの、この時は鉄塔内部へは止まらず避雷針を支えるアングルに着地。
なかなか思ったようにはいきません。
鉄塔へ戻って来たクマタカを眺め思うことが1つ。
獲物を捕獲してから然程時間は経っていませんでしたが食べ終えるにはあまりにも時間が早過ぎます。
鉄塔へ戻るまでの間一体何があったのか・・・
これは私の憶測に過ぎませんが、若い個体が鳴き声を発していたのは親鳥に対する給餌の要求だったのではないかと考えました。
この考えを確信に変えたのが不意に飛び立ったこちらのシーン。
写真だけを見ると単に飛び出しの瞬間を撮影したように見えますが、この時ドバトが付近を通過しました。
しかし追い付かないと判断したのか、直ぐに飛翔する方向を変えると再び上昇気流に乗ってソアリング。
若い個体に給餌を済ませたところで、今度は自分の腹を満たそうと狩りを始めたようです。
高度を稼ぐとこちら側に一直線。
毎度のことながらイメージするような写真を撮ることはできませんが、この日は狩りの為の飛翔が多く一連の行動を何度も見せてもらうことができました。
間近で勇姿を見せてくれるクマタカには本当に感謝しかありません。
今年最後の観察記はここまでとなりますが、30日は今年一年を画像で振り返る総集編を更新したいと思います。
本日の観察日記はこれにておしまい。