2021年12月30日
今年も駆け足で季節が巡り、あっという間に大晦日を迎えようとしています。
この一年を振り返ってみると記憶に残るのは度重なる災害。
災害列島とも揶揄される日本ですが、私の住む秋田県は年始早々災害級の大雪に見舞われ日常の生活がままならない状態に陥りました。
追い討ちをかけるようにして爆弾低気圧が通過したことで大規模停電が発生。
凍てつく寒さのなか長時間停電が続いたことにより秋田市内の家屋はボイラーの故障が続発。
多分に漏れず我が家のボイラーも故障してしまい長期間冷水生活を余儀なくされました。
個人的には持病の腰痛が悪化することも多く、勤務中には骨折することもあり災難続きの一年だったと感じます。
そして何と言っても日常の生活から縁を切ることができなかったのがコロナ問題。
昨年の総集編ではコロナの収束を願い、今年はワクチン接種が進むことで一気に収束することを期待していましたが現実は甘くありませんでした。
今年一年は業務多忙の状態が続き観察に割ける時間は例年に比べるとかなり少なくなってしまいましたが、観察の内容としては質の良いものが多かったように思います。
観察眼を鍛え何処か一つでもステップアップできればと心掛けていたことが結果として表れたのかもしれません。
年の瀬に際し恒例となりましたが今年一年を月毎に画像で振り返り、思い出の一枚と共に当日の様子を改めてご紹介したいと思います。
1月【 コオリガモ 】
海沿いで探鳥をしていた際、波間を漂う白い鳥を目にしました。
真っ先に思い浮かんだのはミコアイサの♂でしたが、過去の経験上ミコアイサが沖合いに浮かんでいる姿を見たことがありません。
何か違和感を感じ確認してみたところコオリガモの♂と判明し、思いがけない出会いに歓喜したことを今でもはっきり覚えています。
2月【 トモエガモ 】
万単位のオナガガモの群れにトモエガモが嘗てないほど混ざっていました。
秋田で見られるカモ類は警戒心が極端に強い為じっくりと観察できる種は限られています。
トモエガモに関しては証拠写真がやっとという印象ですが、この時は運良くじっくりと見ることができました。
3月【 マヒワ 】
昨季の冬鳥は当たり年と言われるような鳥が多く、マヒワもそのうちの一種でした。
鳥類の羽色は写真として忠実に再現することが難しく、気性条件や撮影場所に大きく左右されてしまいます。
古来から存在する鶸色という色彩を忠実に再現しようと試行錯誤を繰り返し、ようやく撮れたのがこの一枚。
4月【 ヤマシギ 】
日頃疲れや業務多忙も相俟って夜の観察に時間を割くことができたのはヤマシギのみ。
昨年の秋以降、渡り鳥の渡来や飛去の時期にずれが生じておりヤマシギも渡来のピーク日がずれていたことを思い出します。
地球規模で発生している気候変動の影響が鳥類の渡りに変化をもたらしているのかもしれません。
5月【 クマゲラ 】
悲願の県内確認。
嘗てドラミングの音を聞いたというのが唯一の手懸りでしたが、それから数年経った今年の5月、奇跡とも言える出会いに恵まれました。
鳴き声を耳にし右往左往していたところ、クマゲラが私の直ぐそばに飛来。
枝先で羽繕いを始め、その様子を無我夢中で撮影しましたが記憶が飛ぶほど興奮状態でした。
嬉しさ剰ってTwitterでは即時画像を公開してしまいましたが、繁殖期という観点からホームページでの公開を控えていたのでこのタイミングでの公開となりました。
6月【 ミゾゴイ 】
知人バードウォッチャーより情報を頂き、やっとの思いで見ることができました。
もはや憧れの鳥と云っても過言ではなく、正直なところ県内での観察は難しいだろうと思っていただけに情報を頂いた際は話の整理がつくまで時間が掛かったことを思い出します。
迷行してきたムラサギサギを除いて、県内で観察を期待するサギ科の鳥はサンカノゴイのみとなりました。
そちらに関してはいつになることやら。
7月【 クロツラヘラサギ 】
クロハラアジサシが渡来する頃だと思い、心当たりのある場所を転々と移動していたところ棚から牡丹餅といった具合いで観察することが出来ました。
観察中には元々探していたクロハラアジサシが飛来し、クロツラヘラサギと同じ流木に止まるという場面もあり滴る汗を拭いながら観察したことを思い出します。
8月【 チュウジシギ 】
8月は丸々1ヶ月間ジシギの観察に時間を費やしました。
非タシギに関しては識別の要となる外側尾羽を捉えようと一日中ファインダーを覗いていたことを思い出します。
延べで数えると相当数のジシギを観察できたものの、ハリオシギだけは観察に至らずそちらに関しては来年の課題となりました。
9月【 シマセンニュウ 】
8月下旬から姿を確認できていたものの、なかなか撮らせてもらうことができないまま9月に突入。
運頼みとも言える状態でしたが何とか撮影させてもらうことができました。
まるでネズミでも見ているような生態で観察と言うには程遠く、やはり渡りの途中の個体に関しては難しい問題なのかもしれません。
10月【 ヨタカ 】
秋の渡りの時期を迎え例年ヤマシギが渡来するピーク日を狙って調査に出たところ林道を飛び回るヨタカに遭遇。
道路脇のポールに止まったところを撮影しましたが、2年前にも同じポールに止まるヨタカを見ていことから同じ個体と考えて間違いないでしょう。
触れるくらいの位置まで寄ることができ呼吸による胸の収縮を見ることができたのは貴重な経験となりました。
11月【 ヘラサギ 】
アメリカコハクチョウを探している際に偶然見つけることができました。
久しぶりの県内での記録に嬉々として観察を始めましたが、間もなく飛び立ち姿を見失ってしまう失態。
その後の消息も掴めずもう見ることは無いだろうと思った矢先、別の場所で再び確認することができました。
今年はクロツラヘラサギとヘラサギを見つけることができ、縁があったように思います。
12月【 ツメナガホオジロ 】
不調続きだった秋の渡りのシーズン。
地元では珍鳥とされる種は一切見ることがなくシーズンを終えていました。
本格的な冬を迎えてからは珍鳥探しをすることはありませんが、この時に限っては運が良かったとしか思えません。
ツメナガホオジロの観察記については年明けに更新予定です。
足早に一年を振り返ってみましたが月によっては”この一枚“として甲乙付けがたい種もあり、悩むことができるほどの良い観察ができた証であると思います。
また業務多忙が日記の更新にも表れており、更新日と1ヶ月程のタイムラグが発生するのは当たり前になってしまいました。
嘗ては即日更新をすることが多くリアルタイムでの情報発信を心掛けていましたが情報化社会の現在、それは生き物たちにとって不利益な面が多いかもしれません。
その様な観点から時間の余裕に関係なく、今後も情報の公開は適宜時間をずらして発信していきたいと思います。
何はともあれこうして無事に年末を迎えることができ、来年に期待したいのはコロナの収束。
何事も気兼ねなく生活できる嘗ての日常を一日も早く取り戻せることを願ってやみません。
今年一年、当ホームページをご訪問頂き誠にありがとうございました。
残すところあと僅かとなりましたが、来る年も皆様方にとって幸多き年となることをお祈り申し上げます。
良いお年をお迎えください。