2021年1月29日
前回の続き。
寝正月になるはずが一転してフル稼働となった年末年始。
大晦日にケアシノスリを観察できたことに端を発し、元日はホシムクドリを見ることができました。
私の冬季休暇は5日までと少し長めで、元日以降はケアシノスリやホシムクドリを観察する合間に様々な野鳥を観察できたことから今回は詰め合わせの形で観察の様子を綴りたいと思います。
朝の早い時間帯に出会えたのはコクマルガラス。
ミヤマガラスと共に柿の木に群がる場面に遭遇しましたが、かなり距離を保っていたにも関わらず付近の樹木や電線に待避してしまいました。
毎度のことながら警戒心の強さに思ったような観察は出来ませんが、見上げる角度になると然程警戒心を感じません。
ミヤマガラスの警戒心については観察日記で幾度となく記載していますが、コクマルガラスの警戒心はどの様なものなのでしょう。
ミヤマガラスの群れに混ざる鳥とあって、コクマルガラス単体での観察経験が無く本来持つ警戒心について詳しく分かりません。
一つだけ云えることは見上げる形であれば比較的近い距離でも警戒されずに観察できるということ。
コクマルガラスを見た後は猛禽類が続きます。
先ずはハヤブサ科の鳥を2種。
電柱止まりのハヤブサ。
枯れ木止まりのコチョウゲンボウ。
ハヤブサとチョウゲンボウは特に動くこともなく止まっている時間が長かったのに比べ、コチョウゲンボウは忙しなく動き回り小鳥たちの群れに突っ込んでいく様子が見られました。
流石に吹雪きのなかで望遠レンズを振り回す訳にもいかず雪の止み間を待っていると翼下面がやけに白く見える鳥が飛来。
待ちに待ったケアシノスリかと思いきや、まさかのコミミズク。
こいつはおったまげ。
数年前までは自宅近くでも度々目にしていましたが、狙って観察することが難しくコミミズクと云えば大潟村での観察がほとんどでした。
そのため今回の出会いは全くの想定外。
急激に高度を下げると私の目の前を通過。
この辺りで狩りを始めるのかと思いきや葦原の上も一直線に通過すると更に高度を下げて水面ギリギリを低空飛行。
「水面を流れる氷の上に乗ってくれ」という私の願いも届かず川岸の流木へパーチ。
画像を拡大してみると辺りをキョロキョロと見渡している様子が分かりました。
流木に止まること約10分、目ざといカラスが現れ場所を追われるように飛び立ったコミミズク。
辺りをフワフワと飛んでいましたが、かなり高い位置を飛んでいます。
渡り鳥であることを実感させられる場面。
留鳥として見られるフクロウがここまで高い位置を飛んでいるのは見たことがありません。
コミミズクとの距離はどんどん遠くなり、吹雪いてきたことも相俟って姿を見失ってしまいました。
一体何処に行ったのか見当もつきませんでしたが、飛んで行った方向に移動して闇雲に探していると雌のハイイロチュウヒが出現。
大潟村で見る個体に比べ人の存在を気にしない個体のようです。
目の前を何度も行ったり来たりしてくれるサービスの良さ。
しかしまたしても猛烈な吹雪きで撮影は困難を極めました。
被写体が動き回るのでホシムクドリを撮影していた時に比べ撮影難易度が高くほとんどの画像がボツ。
辛うじて何枚かの画像はピントが合っていましたが、あまりの悪天候にハイイロチュウヒも見失ってしまいました。
付近にはオオタカの姿も見られましたが見事に枝被り。
ここで再び猛烈な吹雪となり目まぐるしく天候が変化します。
雪の降り方が落ち着いたところで再び探鳥を始めるとハイタカを発見。
こちらは雌の個体でしたがオオタカの雌を観察した直後だったこともあり随分と小さく感じました。
こちらもコチョウゲンボウと同様に小鳥を追い回していたようです。
しかしコチョウゲンボウに比べると飛翔速度が遅く、こちらは飛びモノのシーンも撮影。
悪天候が続き写真の出来栄えとしては今一つですが、それにしても自宅周辺は猛禽が多い。
次に掲載するのはオジロワシのペア。
こちらは連日姿を見ることができました。
毎年渡来しているペアで間違いないでしょう。
以前は河口付近で見られていましたが、河川整備で多くの樹木が伐採されたことにより場所を移動してきたようです。
遠巻きに観察を続けているとサイズの大きな雌が不意に飛び立ちこちら側へ。
目の前を通過していくと一面雪に覆われた田んぼへ向かって一直線。
大潟村では当たり前の光景ですが、自宅近くに渡来する個体が田んぼに降りる場面を見るのは初めてです。
私にとって貴重なシーンであり、背景を絡めて写真に収めようと雪中行軍。
雪まみれになりながら撮影した貴重な一枚。
後日同じペアを観察していると2羽が揃って止まり木を離れ、突然急上昇と急降下を繰り返し始めました。
どうやら共同で狩りを始めたようです。
葦原の陰となり何を狙っていたのか見て取ることは出来ませんでしたが、自宅近くでこの様な場面を見ることが出来たのは望外の喜び。
ペアは連携する形で獲物を追い詰めているようにも見えました。
2羽共葦原の陰に降りたようでしたが、暫くすると雄の個体が移動を開始。
川の中州に降りる瞬間です。
このオジロワシの他、連日の様に様々な猛禽類を観察することが出来ましたが猛禽類が多いということは生態系が豊かな証拠であると言えるでしょう。
現在は今月上旬に降り積もった雪の影響でこちらのフィールドに立ち入ることは出来なくなってしまいましたが、厳しい環境下でも逞しく生きていると思います。
今回の締め括りは再び姿を見せてくれたコミミズク。
粘った甲斐あって撮影することができましたが、残念ながらこの時も通過していく姿を目撃しただけ。
観察というには程遠い状態だったので雪解けが進みハクチョウたちが北帰行で戻ってくる頃、改めて機会を設け「近所のコミミズク」をしっかりと観察したいと思います。
長くなってしまいましたが『年末年始は近所で野鳥観察』はこれにておしまいです。