2021年2月21日
今回の日記はオジロワシの観察記。
前回の日記では氷上のオオワシについて観察の様子を綴りましたが、1週間経って同じ場所に行ってみるとオジロワシが何かを捕食している場面に遭遇しました。
遠巻きに見ても獲物は魚ではなさそう・・・
少し距離があったことに加えて光線の条件が今一つであったことから場所を変えて観察してみることに。
田んぼで見る時とは違い氷上であったことと獲物を捕食中だった為か、秋田ではなかなか近寄ることができないオジロワシを比較的近い位置から見ることができました。
羽と足の色の特徴から獲物はマガンのようです。
既に大部分が食べられた後のようで原型を留めておりません。
この日は変わりやすい天候で観察中は何度も物凄い地吹雪に見舞われました。
そんな悪天候でも黙々とマガンを食べるオジロワシ。
目敏いカラスやトビがおこぼれを狙って群がり、入れ替わり立ち替わりでマガンを突っついていました。
鬱陶しい様子でオジロワシは大きな翼で払い除けたり、大きな挙動を見せることで獲物を独り占めするような行動を見せます。
観察を続けると羽の付け根についた肉まで丁寧に食べる様子も見られました。
綺麗に食べてもらってこそ犠牲になったマガンにとっては最高の弔いになるのかもしれませんが、鳥が鳥を襲うという行動は未だに平常心を保って見ることができません。
猛禽類を観察するうえでこういった場面に遭遇するのは必然ですが、私は都合の良い考え方をする面があり命の尊厳についても都合良く解釈を変えてしまいがちです。
例えば同じ命であっても昆虫や魚を捕食する場面は何の抵抗も無く見ることが出来ますが、哺乳類や鳥類が獲物となった場合だけ弱い方の立場で物事を考えてしまいます。
全くもって都合の良い考え方ではありますが猛禽類は生きる為の行動に過ぎなく自然の営み。
それを考えると人間は食べる為に家畜を育て、自分の手を汚すことなく食材として口にする訳ですから本当に浅ましい生き物だと思います。
人間は生まれもって業を背負った罪深い生き物なのでしょう。
話が大きく逸れてしまったので仕切り直しの意味で少しだけ撮影した動画を。
例の如く手持ち撮影のため映像がグラグラ動きます。
マガンを捕食するオジロワシは頻りに上空を気にする仕草を見せていました。
「何だろう?」と思って見上げてみたところこちらに向かって下降してくるオジロワシ幼鳥の姿が。
再びファインダーを覗くとマガンを捕食していたオジロワシがいつの間にか獲物を譲るように少し移動していました。
良いシーンなのでここぞとばかりに連写。
この瞬間は撮影に夢中でしたが獲物を譲るような行動には驚きを隠しきれません。
幼鳥は着地するとすかさず獲物に飛び付き、自分の物だと言わんばかりに引っ張り回し始めました。
これぞ鷲掴み。
この行動を亜成鳥は傍目に見ていましたが、どのような心境だったのでしょう。
幼鳥は獲物に食らいついたかと思いきや、周囲に群がるカラスやトビを嫌って直ぐに距離を置いてしまいました。
すかさず亜成鳥が獲物を奪い返しにかかります。
獲物を奪い取った亜成鳥はカラスやトビに集られながらも黙々と食べていましたが、控えめにおこぼれを食べるトビとは違い図々しくご馳走に肖ろうとするカラスに対しては大きな翼でカラスを振り払うような行動が何度も見られました。
鬱陶しい様子がひしひしと伝わってきます。
お祭り騒ぎとも言えるこの場所の後ろにはオオワシの亜成鳥が1羽、物欲しそうな様子でオジロワシを見ていました。
そんな様子を何処からか見ていたのかこの辺りを根城としているいつもの彼が飛来。
「俺の縄張りで一体何の騒ぎだ?」といった雰囲気で下降して来ました。
着氷するや否や亜成鳥に向かって歩き出し翼を広げて威嚇しています。
どんどん近寄って来る彼にたじろぐ亜成鳥。
更に威圧する彼。
距離を取らざるを得なかった亜成鳥。
彼が飛来したことでオジロワシは一端この場を退き、トビが願ったり叶ったりと言わんばかりに獲物に食らいついていました。
いつもの彼が亜成鳥を追い立てた後、これといった動きを見せなかった為かオジロワシが再び飛来。
ワシの下降シーンはシンプルにカッコ良いと感じます。
獲物を鷲掴みするとグイグイ引っ張り回し独占欲の強さが垣間見られました。
狭い範囲でこの時は5羽のワシが集まっており、今季ワシを観察するなかでベストとも言える日だったと思います。
ガン・カモの北帰行も本格化し秋田で越冬していたワシたちも間もなく故郷を目指して移動を始めることでしょう。
まだ見掛ける機会はあると思いますが旅の無事を願って見送りたいと思います。
本日の観察日記はここまで。