2021年7月11日
前回の続き。
日程3日は午前に船上からアジサシ類を観察し午後からは池間島で湿地性の鳥を観察。
この旅のイベントとして位置付けていた船上からの観察は課題を残す結果となりましたが、数多くのマミジロアジサシとクロアジサシを間近で見ることができました。
日程4日目はいよいよ最終日。
この日までに今回の旅でお目当てとしていたミフウズラ・マミジロアジサシ・クロアジサシを無事に見ることができていたので気持ちにはだいぶ余裕を持って最終日を迎えることができました。
残された時間をどの様に過ごすか、出来るだけやり残しが無いようにと思案した結果、未開の地であった来間島と下地島へ行ってみることに。
来間島へは伊良部島・池間島と同様に橋を渡って車で行くことができます。
池間島はバードウォッチャーにとって湿地性の野鳥を観察するため外せない場所になっているようですが、来間島に関しては下調べをしてもこれといった観察記録が見当たりません。
仮に鳥が見れなかったとしても綺麗な景色を拝むことが出来るだろうと考え来間大橋に差し掛かったところ、早速写真に残したいと思わされるような景色を目にしました。
波打ち際は透明度が高く、場所によって緑や青に見える海はいつまでも眺めていられます。
来間大橋を渡る途中でもエリグロアジサシの飛び交う姿が見られ、こうした光景が日常にあることをとても羨ましく思えました。
当てもなく来間島を訪れて目にしたのは竜宮城を模した展望台。
どの様な景色を見ることができるのかと階段を上ってみると・・・
加工済みの写真を見てるような絶景。
建物の中は海風が心地好く目にも体にも優しい一時でした。
こちらの展望台の入り口にはマンゴーの直売所があり、カットした物も販売していたので物は試しとアップルマンゴーを一つ購入。
冷えているうちにと早速頬張ると驚きの美味さ。
実は旅行の数日前、自宅でもマンゴーを食べていたのですが比べ物にならないくらいの美味しさでした。
活字では表現し難いものの、現地で食べたマンゴーは舌触りが滑らかでとにかく濃厚。
売店の方の話によるとアップルマンゴーの旬はもう少しで終わるのだとか。
観光客の大半は宮古島に来ると一年中食べられると思っているとのことで、旬の時期以外で食べられる物は保存された物になるそうです。
アップルマンゴーの旬は6月~7月下旬まで。
キーツマンゴーの旬は8月の1ヶ月間とのこと。
美味しいマンゴーを頂いたところで島を一周。
小さな島とあって直ぐに一周できてしまいます。
島の雰囲気は以前足を運んでいた伊計島によく似ており、ミフウズラが居るのではないかと探してみたところ・・・
やはりこちらにも生息しているようです。
驚いたのが観察のし易さ。
宮古島も場所によっては観察のし易い地域があるのかもしれませんが、あちこち車を走らせて探すよりも来間島の方が圧倒的に観察し易いと感じました。
こちらは道路に出て来た雌の個体。
画像からは伝わりませんが、喉を何度も動かしているように見えたので「何をしているのだろう?」と思って見ていたところ、微かに『ブーッ ブーッ』という鳴き声を聞くことができました。
間もなく雄が茂みから出てきたので雄を呼んでいたのかもしれません。
宮古島ではサトウキビ畑が生活道路になっているところも多く、時間帯によって交通量も多くなっていましたが来間島ではその様なことが無い為のんびりした個体も多いようです。
実際問題、面積に対しての個体数が多いようにも感じられ探鳥を続けていると親子と思われる個体も目にしました。
一妻多夫のミフウズラは雄が子育てをするという習性について図鑑にも記載がありますが、自分の目で見ることができたのは大きな収穫です。
発見当初から距離が近く最初は警戒する様子が見られたものの、暫くすると警戒心が解けたのか更に近付いてくる場面もありました。
お父さんの後を付いて歩く幼鳥はサイズこそ成鳥に近くなっていますが、近くで見るとまだあどけなさが残ります。
追い掛けるようなことはせず、自然のままの姿を撮影させてもらいました。
ミフウズラを観察していて否応なしに目にするのはツバメチドリ。
宮古島でもあちこちで目にしていましたが、この時の観察は一番条件が良かったので満を持してご紹介。
来間島でも繁殖しているのか幼鳥も含めてかなりの個体数を確認できました。
直射日光が厳しくどの個体も暑そうにしていたものの、こちらでは餌が採り放題。
バッタを捕まえた瞬間です。
捕まえたバッタを何度も咥え直し、弱らせたところで一気に丸呑みする様子を見ることができました。
サトウキビ畑にはバッタが多かったので餌に困ることはなさそうです。
こちらはツバメチドリたちに大人気の農家さんを捉えた画像。
地元ではトラクターの後を追って土の中から出てくる虫やミミズを捕食するサギ類やカモメ類を目にしますが、それと同じようにトラクターの後を追うツバメチドリの群れを見ることができました。
地元では絶対に見ることのできない光景です。
ミフウズラやツバメチドリの観察を堪能し来間島を離れようとしたところ、道路を横切る小さな鳥を目にしました。
駆け足で道路を横断した小さな鳥は畑のネットに行く手を遮られまごまごしている様子。
よく見てみたところミフウズラの雛であることが判明。
ネットの隙間を見つけ畑の中に入って行く姿を見届けることができたので、きっとお父さんと合流できたことでしょう。
来間島を離れて次に目指したのは下地島。
宮古島から見ると下地島は伊良部島の奥に位置しています。
下地島も全く未知の島であったことから道路標識に示される下地島空港を目指してみることにしました。
その道中に出会したのがシロハラクイナ。
道路を横断しようとしていたのか画像の個体を追うようにもう1羽も茂みから顔を出しており、その姿を撮影しようと思ったところ通り掛かった車を警戒して2羽とも茂みの中へ隠れてしまいました。
しかし明らかに道路を渡りたそうにしていたので、また出て来るだろうと容易に想像がつきます。
それから間もなく・・・
2羽ともそそくさと道路を横断していきました。
宮古諸島ではシロハラクイナを見かける機会が少なく、個体数としては石垣島の方が圧倒的に多いと感じます。
それでも事故死した個体を道路から寄せなければならない残念な時間もありました。
今回の旅ではシロハラクイナの他にリュウキュウコノハズク・リュウキュウキジバト・ミフウズラのロードキルを確認。
余談となりますが宮古島を初めて訪れた私が特に気になったのは島の交通事情。
島には交差点であっても一時停止の標識が無いところも多く、標識のある場所であっても「おじぃ」や「おばぁ」が停止することなく平気で突っ込んで来ます。
旅先で事故は絶対に起こしたくありませんが、宮古島ではもらい事故にも要注意。
電線止まりのチュウダイズアカアオバトを撮影したところで下地島空港へ。
こちらに就航する航空会社はLCCが多く「羽田からLCCで下地島入りをしたら安く旅行できるかも」と安易な気持ちで調べてみたところ成田発の便がほとんどでした。
田舎者には敷居が高い・・・。
空港周辺で探鳥をしてみたところこのような場所へ辿り着きました。
こちらの岩礁群でもエリグロアジサシが繁殖しており、タイミングによってはファイナルアプローチしてくる航空機とエリグロアジサシを一緒に撮ることができそうです。
伊良部島で見た個体と同様に岩礁を離れないエリグロアジサシを目にしましたが、こちらで繁殖している個体はいずれも抱卵中のようでした。
時計を確認してみたところ残された時間もあと僅か。
旅の最後は気になっていたこちらの場所へ。
宮古島から伊良部大橋を渡ると高台に鳥の形を模した展望台らしき物が目に飛び込んできます。
伊良部島ではサシバの展望台があるということを下調べで知っていましたが、どう考えてもサシバには見えません。
そこで【サシバの展望台】ともう一度現地で調べてみたところこの様な画像が表示されました。
宮古島観光協会Webサイトより
明らかに見た目が異なり、サシバの展望台は是非見てみたいと足を運んでみたところ・・・
サシバが見当たりません。
渡ってしまったのでしょうか。
改めて調べてみたところサシバの模型は老朽化が進み、安全を考えて解体されてしまったそうです。
せっかくなので土台から望む海を撮影。
こちらから見る海もまるで加工済みと思えるような色をしていました。
再度ナビを設定し直して鳥を模した展望台へ行ってみると伊良部大橋から続く宮古島を一望することができ、旅の終わりを飾るにはもってこいの景色。
あっという間の4日間はこの景色を眺めておしまい。
念願のミフウズラは見かけただけの個体も含めると期間中に100羽以上見ることができた他、アジサシ類も相当数見ることができました。
特にミフウズラに関しては想定以上の観察をすることができ心残りはありません。
ギリギリまで旅を楽しんだ私は慌ただしく身支度を整え、レンタカーの返却前にガソリンスタンドへ。
セルフでの給油であったため請求額を眺めながら給油をしていると驚愕のお値段。
改めて単価を確認してみたところリッターあたり175円の離島価格。
恐るべし宮古島。
最後の最後まで驚かされましたが、宮古島は本当に良い島でした。
宮古空港を離陸して間もなくは後ろ髪を引かれる思いで機内から見える景色を撮影。
あっという間に曇の上へ抜けてしまいましたが、沢山の思い出を抱えて宮古島を後にしました。
期間中は心配していた台風の影響もなく、お天気にも恵まれ鳥も景色も存分に楽しむことが出来た旅でした。
この時期の南西諸島はリスクが伴い博打性が高く台風次第ではとんでもないことになってしまいますが、また機会を作って足を運んでみたいと思います。
2021年 野鳥観察の旅 in 宮古島はこれにておしまい。