2022年7月9日(午前)
前回の続き。
初めて訪れた宮古島。
実際に足を運ぶまでは景色の良い島という印象だけが強く、鳥相について全く未知の島でした。
秋田から乗り継ぎで宮古島入りをするのは一日掛かりの作業となるため、島へ到着して散策できたのは夕方頃。
しかし一番の目的としていたミフウズラにいきなり遭遇することができ、宮古島のポテンシャルの高さを感じさせられました。
日没間際までは大野山林で観察を行い初日から宮古島の野鳥を満喫。
画像は水浴びにやって来たオオクイナ。
日程2日目は早朝からサトウキビ畑に繰り出しミフウズラの観察へ。
観察と言っても初めて訪れた島とあって右も左も分かりません。
まして知り合いがいる訳でもないので全くの手探り状態です。
ただ一つ事前に知ることができたのは島の大部分がサトウキビ畑であるということ。
そのため勘だけを頼りに車を走らせていると宅地の直ぐそばでミフウズラのペアを見つけることが出来ました。
雌雄揃った状態で見ることが出来たらと思っていただけにこの時の感激は一入。
喉から胸にかけて黒っぽい前垂れのような柄をしている個体が雌。
手持ちの図鑑では雌雄共に14cmという記載がありますが、僅かに雌の方が大きく感じました。
2羽は離れることなく行動を共にしていましたが、私の居る位置からは徐々に遠退いてしまい住宅の直ぐ脇ということもあってこちらのペアの観察はここまで。
サトウキビ畑の広がる場所へ移動し本格的に探鳥を始めると収穫を終えた畑ではツバメチドリを10羽ほど見ることが出来ました。
こちらは幼鳥。
地元も含め各地でツバメチドリの観察経験はありますが幼鳥を見たのは初めて。
収穫後の畑でミフウズラを探すつもりであちこち見て回ったものの、私の探し方が悪いのか見つけることができるのはツバメチドリのみ。
あちこちで繁殖しているのか幼鳥も含め相当数見ることができました。
しかし肝心要のミフウズラに関しては目撃が相次ぐだけで観察には至りません。
目にするのはこの様な場面の連続。
畑の広がるエリアを徘徊していると此処彼処で道路を横断しているミフウズラを目にします。
ほとんどのケースが2羽揃って出て来るのでペアと考えるのが妥当だと思いますが、季節柄なのでしょうか。
大胆に出て来る割にちょっと車を動かすと一目散にサトウキビ畑の中へ隠れてしまうため、何処かにのんびりした個体が居ないものかとウロウロしていると・・・
想定外のキンバトを発見。
薄暗い林の中でしか見られないと思っていただけに自分の目を疑いました。
写真では伝わりませんが陽に照らされたキンバトは金属光沢が美しく思わず見惚れているとトコトコと歩きどんどんこちら側へ。
この時キンバトの後をスズメが付いて歩き、まるでチビっ子を引率する先生の様で笑いを誘いました。
縁石の切れ目が見えるとキンバトは歩みを止めて一休憩。
更にこちら側へ近寄って来ることを期待しましたが私の期待を他所にキンバトは飛去。
少々欲が出てしまいましたが思いがけずキンバトを見ることができ気分が高揚していたところにミフウズラが登場。
暫く車を止めていたことでミフウズラが安心して出て来たようです。
ミフウズラは地面を突っつくように採餌をしていましたが一体何を食べているのか。
採餌の様子を見ていると特にこちらを気にすることなく道路の横断を始め、何故この様にして目立った行動を取るのか不思議に思えました。
警戒心が強い一面を見せたかと思いきや大胆な行動を見せたりと性格の掴み難い鳥だと感じます。
こちらは別個体のペア。
寄り添うようにして歩く姿が微笑ましい。
ミフウズラは一妻多夫で繁殖し、雄が抱卵・育雛を行うそうです。
そんな生態を踏まえて観察してみるとペアで見られる時にはどちらかと言うと雌の後を雄が付いて行動しているように見受けられました。
楽しい観察も8時半を過ぎた頃にはパタッと出が悪くなったのでミフウズラの観察はここまで。
この後は観光を兼ねて探鳥をしてみることに。
先ず始めに向かったのは伊良部大橋。
宮古島からは南から来間島、伊良部島、池間島へ橋で渡ることができ、伊良部島からは更に先の下地島にも行く事が出来るようです。
宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋は全長3450mと長く、通行料金を徴収しない橋としては日本最長なのだとか。
ナビに従い伊良部大橋へ向かってみると・・・
なるほど、これは凄い。
レンタカーを借りる際、こちらの橋では観光客の事故が多発していると聞かされました。
余所見をしたくなるのも納得の絶景。
橋から見る景色は格別でカメラを固定した状態で伊良部島を目指してみました。
橋の左右どちら側かの景色を写すことができれば絶景を録画出来たのですが、正面に固定してしまったため肉眼での見た目と違って美しい海を写すことができず。
それでも起伏の大きな場所では僅かながら綺麗な海を見ることが出来ます。
映像には写っていませんでしたが橋を渡っていると橋の周辺を沢山のエリグロアジサシが飛び交っていました。
良い条件で見ることが出来ないものかと車を走らせていると岩礁にエリグロアジサシがいっぱい。
しかも異常なまでに近い。
奄美・南西諸島で繁殖するエリグロアジサシを観察出来たのは私にとって石垣島での旅行以来。
しかし石垣島で観察した際には距離が遠く近くで見ることが出来なかっただけにこの距離には驚かされました。
車を止めて様子を見てみるとコロニーになっているようで、抱卵中のためか暑そうに口を開きながらも岩場を離れることはありません。
その様子を動画でも記録してみました。
エリグロアジサシたちの鳴き声で賑やかな様子を見ることが出来ます。
不意にこちら側に飛んできた個体の姿が見えなくなり、不思議に思い上から覗き込んでみると目の前にエリグロアジサシが。
人を恐れるような素振りは全くありません。
ペアが入れ替わる様子が何度も見られ、岩場を離れた個体は足を海水に浸す様子も見られました。
体を浸すような水浴びとは違い足を浸すだけでしたがこの行動も水浴びなのでしょうか。
その行動を撮影しようとカメラを向けることで副産物として沢山の飛翔シーンを残すことができました。
贅沢ではありますが距離が近過ぎて撮影できた画像はフレームアウトした物を量産。
掲載する画像はまぐれで当たった写真です。
水浴びの様な行動をした後には日陰に入って休む個体が多く、交代で抱卵している様子が伺えました。
なかには陽の当たる場所で休む個体も見られましたが、カンカン照りの岩場に比べると水辺に近い方が幾分暑さを凌げるのでしょう。
しかしどの個体を見ても本当に暑そう。
口を開き暑そうにしている姿が印象に残りました。
しかしながら人の気配が多く繁殖に影響は出ないものかと気掛かりでしたが、この光景がエリグロアジサシにとっては当たり前となっているようです。
この環境がいつまでも変わることのないよう願わずにいられません。
環境の写真を撮影するため周辺の個体を其々観察してみると思わぬものを目にしました。
親鳥の腹の下から出てきたのは2羽の雛。
この確認をきっかけに他の個体をじっくり観察してみるとどの個体も雛を抱えおり抱卵中ではなかったことが判明。
直射日光から雛を守るため親鳥たちは交代で雛の日傘となっている事が分かりました。
思いがけず雛も見ることが出来ましたが炎天下での観察は体に堪えます。
伊良部島でエリグロアジサシを観察する場合は午前中が順光になるようですが、晴れた日にはコントラストがキツくなるだけではなく岩場の照り返しもあるので曇りの日がベストであると感じました。
こちらで一頻り観察した後は伊良部大橋近くの岩礁帯へ。
美しい海を背景にエリグロアジサシを撮影してみようと思い、ここからは純粋に撮影だけを楽しむことに。
しかし肉眼で見るようには上手く撮影することがてまきません。
試行錯誤を繰り返し色んな設定で撮影してみたものの、どう頑張っても思い描くような写真を撮影することは出来ませんでした。
撮影した画像と肉眼との見た目のギャップに落胆の色を隠せませんでしたが、足元の砂の質に感激。
物凄くキメが細かく今まで見たこともないような砂で何とも表現のし難い質感でした。
伊良部島でエリグロアジサシをたっぷり観察した後は再び宮古島へ。
午後は観光名所となっている東平安名岬を目指しました。
そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。