2022年10月17日
本日更新する日記はタシギの観察記。
8月以降懲りずに続けているジシギの観察も2ヶ月以上が経過しました。
バードウォッチングには其々のスタイルがあるように好みの種も人其々。
私が野鳥観察を始めた当時は猛禽類を好んで観察していましたが、時間の経過と共に好みも変わり現在はサギとジシギを好んで観察しています。
特に近年はジシギを観察する時間が長くなり中毒性すら感じることも。
そのため似たような記事を更新することが多くなり、当ホームページへ訪問してくださる方からは『他の鳥を見せろ』と言われてしまいそうですがどうかご勘弁を...
今回記事に取り上げるのはこちらの個体。
9月23日に観察した個体ですが、農道脇の草むらに隠れて居るところを発見し車内から観察を行いました。
車を停車させて間もなくは身を伏せるようにしてこちらの様子を伺っています。
これは警戒心の表れによるもの。
普段ひっそりと暮らしているだけに自分の存在に気付かれたとなれば当然のことでしょう。
ジシギの存在に気付かなければそのまま素通りしてしまうか飛ばしてしまうかのどちらかになりますが、余程注意深く見て回らない限り草むらに隠れている個体に気付くことは出来ません。
暫くすると身をお越し改めてこちらの様子を伺っているようでした。
こうした場合、その場に留まるか駆け足で距離を取るかは個体の性格によって異なり観察に結び付くかは運次第。
一期一会の出会いとして写真を撮って満足できる方はこれで良いかもしれませんが、私が求めるのは“行動”の観察にあります。
警戒心が解けるまで微動だにせず様子を伺っていると『トントン...トントン...』といった具合いに長い嘴で地面を突っつき始めました。
どうやら観察することを許してもらえたようです。
動き始めて間もなくは控え目な雰囲気でしたが、ものの数十秒も経つと動きは大胆になり激しく首を上下。
当たりを確信すると嘴を深く挿し込み地中に潜むミミズを引っ張り上げますが、今回こちらの個体を発見した場所は草が伸びきっており撮影には難儀させられました。
肝心な場面に限って草陰になることが多く、一番美味しいシーンを見ることが出来ません。
補食シーンも然ることながら身体がすっぽりと隠れてしまうこともあり、せっかくの発見にも悶々とさせられました。
そんな私の気持ちを汲み取ってくれたのか、ミミズを捕まえたタシギはわざわざこちら側へ移動し獲物を披露。
勿論この時の行動は単なる偶然でしょう。
私が都合の良いよう勝手に解釈しているだけ。
正直なところ何故このような行動に出たのか分かりません。
捕らえられたミミズは激しく身を捩らせるため上手く飲み込むことが出来ず手こずっている様子。
咥え直したり地面に置いて突っついたりを繰り返し、ようやくといった様子で飲み込んでいました。
補食後は腹を落ち着かせる為か身動きを取りません。
暫くすると思い出したように地面をトントン。
こうした動きこそ私にとって魅力的な要素の一つ。
夢物語になりますがジシギと暮らすことができたら枕元に寝かせて、寝起きにはトントンと突っついてもらい起こしてもらう...
時には肩に乗せて散歩をしたりと(ビルマの竪琴風に)、そんなくだらないことを妄想しながら観察してしまうのです。
暫く観察を続けると首を捻り嘴を背中に隠してしまいました。
これは睡眠の時に見せる格好。
本格的な休息に入るようです。
いつ活動を再開するのか見当もつかないことから他の個体を探してみることにしました。
幸いにもこの日は雨上がりの休日であったことから稲刈り作業は行われておらず農家さんの姿は無し。
大手を振って観察できると思い時間を掛けて丁寧に探してみたものの、私の期待とは裏腹に良い条件での発見には至らず...
やはりこの日も一番のネックとなったのは伸びきった草にありました。
居ることは分かっていますが観察に結び付かない個体をわざわざ飛ばす必要はありません。
そのため農道を後退する羽目になるケースが多く、唯一観察できそうなのはこちらの個体のみでした。
ちょうど田んぼの真ん中辺りに居るところを発見しましたが、こちらの個体は近寄って来るような気配は全く無し。
仕方なく最初に発見した個体を再び観察することに...
現地へ戻ると未だ睡眠中でしたが1時間ほど待った頃、目を覚まし再び活動を始める気配。
寝起き早々に採餌を始めたタシギは次々にミミズを補食。
毎度のことながらよくもこんなにあっさりとミミズを探し当てるものだと感心させられます。
嘴の先端部がセンサーの役割を果たしているのか、はたまた突っつく振動で地中に潜む生き物を誘き出しているのか...
鳥と会話できるのなら「どうやって見つけてんの?」と聞いてみたい。
採餌の様子を眺めていると不意に伸びのポーズ。
私としては珍しく背を向ける姿勢で好条件での撮影です。
これが非タシギであったらと思いましたが、それにしても羽の一枚一枚がとても美しい。
反対側も同様にストレッチ。
この複雑な模様も私にとって魅力的な要素の一つ。
美しい・面白い・可愛いの三拍子に加えて探し出す楽しさも相俟ってジシギの観察は飽きることがありません。
私は行って当たり前に見られる鳥よりも探して観察する方が好きであることからジシギの観察は性に合っているのだと思います。
伸びを終えたタシギはあくびをしていました。
何匹もミミズを食べたことで腹が満たされたのかタシギは身を伏せる形で休憩に入りました。
様々な場面を見せてくれたタシギに感謝。
タシギの観察記はここまでとなりますが、ここからはおまけ的にシギチの写真を掲載。
田んぼばかり回っていたことにより海岸での観察をほとんどしなかった今シーズン。
ほんの僅かな時間でしたが3種類のシギチを見ることが出来ました。
先ずはキアシシギ。
単独で波消しブロックの上で羽を休めていた場面です。
海岸で一番多く見られたのはメダイチドリ。
多いといっても20羽ほど。
年々シギチの個体数は減る一方です。
ゴミに紛れるようにして羽を休めるメダイチドリの群れの中には1羽だけオオメダイチドリが混ざっていました。
南の地域ほどよく見られるようですが本県においてはなかなか見ることができません。
メダイチドリの群れの中にはトウネンも3羽混ざっていましたが、そのうちの1羽が片足で跳ねるように行動していました。
よく見てみると片足を欠損していることが判明。
毎年この様な個体を目にしますが原因は釣り糸に絡まるなど人間由来によるものなのか、それとも不慮の事故によるものなのか...
不自由な身体になっても懸命に餌を採る姿を見ていると、せめて仲間からはぐれないようにと思わずにいられません。
この先も過酷な旅は続くと思いますが無事に目的地へ辿り着くことを願って本日の観察日記はここまでとします。
~お知らせ~
この度、知人である田野井博之氏がオガサワラヒメミズナギドリの調査・研究の為クラウドファンディングに挑戦しております。
多くの方より支援が寄せられ開始2日目にして目標金額に到達しましたが、ネクストゴールとてし調査日の延長・学会参加のため更なる支援をお願いしたいとのことでした。
活動の内容等、詳細につきましては下の画像をクリックして【プロジェクト】の項目をご覧下さい。
期限は12月8日までとなっておりますのでご支援のほど宜しくお願い申し上げます。