2022年10月31日
本日更新する日記は今月10日の観察分から。
石垣島から戻り一夜明けた翌日、旅の疲れが押し寄せていたものの頭にあったのは地元での観察。
地元の観察に穴を開けたくないという思いから多少無理をしてでも外へ出ようと考えましたが、この時期の秋田県は端境期に当たるため空振りに終わる可能性も否めません。
自室から外の様子を眺めてみると断続的に雨が降る生憎の空模様。
休息を取るべきか空振り覚悟で観察へ出るべきか...
悩んだ結果、空振りに終わったとしても地元の状況を知るべきだと考え観察へ出ることに決めました。
強弱を繰り返す雨の降るなか各地を巡回してみましたが予想通り空振りの連続。
更に風も強まり荒れた空模様へ変化しつつありました。
帰宅も考え始めた14時頃、今季一度も足を運んでいなかった休耕田が気になりそちらへ足を運んでみると...
大雨の影響でひたひたに水の張った休耕田にシギが2羽。
片方の個体は遠巻きながらもセイタカシギと判りましたが気になるのはもう1羽のシギ。
双眼鏡で確認してみると赤い足が目に飛び込み、石垣島で見たアカアシシギを思わせました。
しかし胸の模様がアカアシシギと異ななった為ツルシギと同定。
ツルシギも秋田では年々見る機会が減っている種の一つです。
問題は一体どのように観察するべきか。
セイタカシギとツルシギは農道から直ぐ脇で寝ており、下手に車を動かすと飛ばしてしまうかもしれません。
当時の状況をスマホで撮影した画像がこちら。
願わくば休息を終えた2羽が適度な距離まで離れてくれることを期待し、暫くはこのままの状態を保ち待機してみることに。
20分ほど経った頃でしょうか、セイタカシギが頭を起こしました。
続け様にストレッチで伸びの格好。
いよいよ活動を始めるのかと思いきや再び休息の姿勢に戻るセイタカシギ。
ツルシギに至っては動く気配が見られません。
他に行く当てもなかったことから長期戦覚悟で待っていたところ...
『ピピッ』
いつの間にか寝落ちしていました。
鳴き声で目が覚め、慌てて周囲を見渡すと飛翔する2羽が目に入り遠ざかる一方。
肉眼でギリギリ見える範囲を急下降する様子が見られたことから、目測を誤らないように移動。
しかし何処に降りたのかさっぱり分からず...
稲刈り直後の田んぼ、二番穂が伸びた田んぼなど周辺を探してみましたが残念ながら発見には至りませんでした。
「せめてツルシギが起きた姿だけでも見たかたったな」と帰宅の途につこうとしたところ、付近を流れる農業用水路にツルシギを発見。
ツルシギにしては水深が深く泳いでいるようにも見えます。
ツルシギは浅瀬へ辿り着くと葦を縫うようにして移動を始めました。
時々葦の根元を突っつくようにして採餌をしていましたが、こんな時に限って雨が強まり観察どころの話ではありません。
正直なところただシャッターを押していただけ。
カメラはタオルで覆い難を逃れましたが車内はずぶ濡れ。
今更ながら「あんなに頑張る必要あったのか」とも思いますが、この時は久しぶりに地元で見るツルシギに夢中になっていたのでしょう。
ツルシギはセイタカシギの後を追うように右往左往。
深みに填まりながらも移動を続け、懸命に歩いているといった印象を受けました。
その一方で私は観察を続けるか断念するか気持ちの鬩ぎ合い。
交通量の多い通りに停車しての観察であったため通行の支障になっていただけではなく、視界が悪くなるほどの降雨ということもあり事故のきっかけを作る可能性も否めませんでした。
せっかくのチャンスも流石にこの状況は不味いと考え観察を断念。
泣く泣くその場を離れることに...
結果としては残念なものとなりましたが、悪天候であっても外へ出ることにより良い出会いに恵まれたことは確かです。
嘗ては夏羽に換羽した真っ黒な姿を見ることができていたツルシギ。
ここ数年その様な姿を見れずにいますが、来季こそ夏羽のツルシギが見れることを期待し本日の観察日記はここまでにしたいと思います。