2022年11月14日
本日更新する日記は先月30日の観察分から。
秋も一段と深まり冬鳥たちもそこかしこで見られるようになりましたが、この秋はガンの渡りに首を傾げる日が続いていました。
例年であれば10月中旬ともなると秋田市上空をV字になって南下する姿が見られるようになり、渡りが本格化すると一日に四桁の数をカウントすることも珍しくありません。
しかし今季に限っては単発的。
その一方でハクチョウは夜通し鳴き声が聞こえることも多く例年通り渡っている様子が伺えました。
ガンの繁殖地で何かあったのか、それとも渡りが遅れているだけなのか...
この様な思いから例年数多くのガンが観察される水辺を訪ねてみることに。
観察場所を目前にして視界に入ったのは水辺を飛び交うガンの群れ。
しかし周辺の田んぼに姿は見られません。
やはりガンの数が少ないと感じられ(10月30日時点)水辺に残る個体群を見てみようと双眼鏡を覗いてみたところ...
何と驚き。
ソリハシセイタカシギを確認。
遂に地元で確認する日が訪れ感無量。
近年、南西諸島や九州では定期的に見られるようになり、本州においても各地で記録されていることから秋田県でも近い将来見られると思っていました。
但し確認場所については想定外。
私の予想ではコウノトリを目撃した(先週の記事)水辺に入るだろうと考えていたので、この点についてはハズレと言えます。
観察を始めて間もなくソリハシセイタカシギは浅瀬から移動すると泳いでこちら側へ。
意外にもこの鳥、泳ぐことができます。
初めて観察したのは与那国島でしたが、泳ぐような姿を見たものの実際は足が着いているだろうと思っていました。
※与那国島で撮影
しかし佐賀県で観察した際には有明海を沖の方まで泳ぐ姿を目にしています。
※佐賀県で撮影
泳いで移動を始めたソリハシセイタカシギは最寄りの浅瀬へ。
近距離と思える場所までは来てもらえませんでしたが、少しでも距離が縮まったのは運が良かったと思いたいところ。
その様子を眺め、撮影をしていると背後から聞き慣れない鳴き声が。
振り返ってみると...
別個体のソリハシセイタカシギが飛来。
浅瀬へ降り立ち初認の個体と合流したことから記録の一枚として画像に残します。
実際は一枚どころか何十枚と撮っている訳ですが...
機材を変え、立ち位置を変えたりと様々な形で撮影していると2羽共寝る姿勢に。
時々起きるタイミングがあり、その瞬間を狙って撮影。
この日は晴れたり曇ったりを繰り返し、時間の経過と共に変わる陽の向きによって雰囲気も異なり撮影できた画像全て違ったものとなりました。
水面に浮かぶガン・カモ類の羽が雪のように映る写真もまた良し。
石垣島で観察した個体は採餌を続ける時間が長かったのに比べ、こちらの2羽は寝ている時間がほとんど。
シギチを観察していると活発に餌を採る個体が見られる一方で、長い時間休息を取る個体が見られます。
こうした違いは何故なのか...
時期的に紅葉が見られた為、縦構図で無理矢理紅葉を取り込んだ写真です。
パネルにするとそれなりに見えるかもしれませんがWeb上で見るにはちょっと辛いサイズ。
観察を始めて2時間半ほど経過した頃だったでしょうか。
やっと2羽共休息を終えたようでした。
腰を下ろしていた個体に気になる点が。
背から腰にかけての上面が淡い茶褐色をしている事が分かり、サイズも小さいように見受けられます。
調べてわかったのは幼鳥の特徴と判明。
単純に考えると親子関係を思わせますが実際のところは分かりません。
ここで伸びの格好を見せました。
お互いに伸びをすることで行動の活発化を予想させます。
何か話し合うような雰囲気。
間もなく飛び立つのではと思いカメラを構えていると..
予想通り飛び立った2羽はあっという間に遠退き水辺の対岸側へ。
このまま水辺を離れ抜けてしまうのではとも思いましたが、対岸側で羽を休めていたヒシクイとマガンの群れに合流。
こちらへ移動して間もなく採餌を始めたようでしたが、あまりにも遠くその様子を観察することは出来ません。
少々残念ではありましたが、地元で観察できた事を考えると充分といった気持ちもありました。
距離が遠退いたことで今後の観察について思案していたところオオタカが飛来。
「これは危険」
襲われてしまうのではと行く末を見守っていましたが、マガンの群れに合流したことが功を奏したのかオオタカは旋回するだけに留まり水辺から離れて行きました。
程なくして今季初認のオジロワシを確認。
少しずつ冬の役者が揃いつつあるようです。
ソリハシセイタカシギの観察記はここまでとなりますが、回り回ってきた話によるとソリハシセイタカシギは数日前から確認されていたとの事でした。
当初は3羽確認されていたようですが1羽の所在は分からなくなってしまったのだとか。
こちらの水辺にはよくハヤブサが現れることから襲われてしまった可能性も否めません。
私が観察できた翌々日に残った2羽はこの場所を離れ旅立ったようです。
無事に目的地へ辿り着くことを願い、地元で再び観察出来る日を心待ちにして本日の観察日記はここまでにしたいと思います。