2022年2月13日
前回の続き。
日程3日目はこの旅のメインイベント、羅臼町の観光船に乗って流氷と海鷲の観察を行いました。
膨大な撮影枚数によって後から困ることにならないよう一球入魂の精神でシャッターを押そうと考えましたが、良い場面が多いだけに撮影枚数は嵩む一方。
これが嬉しい悲鳴ということなのでしょうか。
羅臼町での観察を終えた後は野付半島に移動してエゾシカ、キタキツネ、ユキホオジロを観察。
日没まで観察したところでこの日の宿泊先である中標津町へ移動しました。
日程4日目はいよいよ最終日。
期間中の悪天候を考慮してこの日は予備日としていましたが、幸いにもお天気に恵まれ順調に計画を進めることができていました。
残された時間をどの様に過ごすか思案した結果、バードウォッチャーだけではなく一般の観光客にも人気の『鶴居・伊藤サンクチュアリ』へ行ってみることに。
参考までに中標津空港から鶴居村までの所要時間はおよそ一時間半。
単に観光地を巡るだけではもったいないと感じ、先ずはタンチョウの塒立ちを観察することのできる音羽橋を目指しました。
夜明け前に宿を出発し鶴居村に近付いてくるとあちこちにタンチョウの姿が。
こちらの2羽は甲高い鳴き声を発しており、その様子を見ていたところ目にできたのはタンチョウの吐息。
画像に写っていると思いましたが後で見返してみたところ吐息は写っておらず残念。
この時の気温は-13℃の冷え込みだったことから吐息を見ることができたのでしょう。
もっと冷え込んだ日にはハッキリと見られるのかもしれません。
音羽橋に着くとバードウォッチャーが沢山。
歩道と車道が分離しており安全に塒立ちを観察できるようです。
また橋の両サイドには駐車場があり簡易トイレも3基設置されていました。
タンチョウに対してだけではなく観察する者に対しても鶴居村の優しさを感じます。
音羽橋から見るタンチョウの塒はこの様な感じ。
時々雪の降る天候でしたが、冷え込みの強い晴れた朝には気嵐の立つなかタンチョウの塒立ちを見ることができるそうです。
幻想的な風景で見る塒立ちはきっと美しいことでしょう。
塒立ちの瞬間を今か今かと待っていると7時54分に2羽が塒を離れました。
真っ直ぐ橋の方へ飛んできます。
「正面過ぎるな」と思いながらも今更ポジションを変える訳にもいかずその場で撮影。
タンチョウは頭を掠めるようにして飛去しました。
初めて見るタンチョウの塒立ちということもあり不確かな情報ですが、全ての個体が一斉に飛び立つことはないようです。
そのため次の塒立ちに備え少し場所を変えて待ってみることに。
7時56分、2度目の塒立ち。
この時は単独での塒立ちでした。
この後はなかなか塒を離れる様子が見られず8時半を過ぎたところで『鶴居・伊藤サンクチュアリ』へ。
ナビで確認してみたところ営業時間は午前9時からと表示されましたが初めて訪れる場所とあって早めの行動が安心。
音羽橋からの所要時間はおよそ10分で目的地へ到着すると既に車がいっぱい。
速やかに駐車し給餌場へ急ぐとカメラマンや観光客でごった返していました。
給餌場を覗き込んでみると思ったほどタンチョウはおらず何処で観察するとよいのかウロウロ。
右往左往しているうちに何処からともなくタンチョウが次々に飛来。
曇天でなければとても良い写真になってたはずですが欲張りは言えません。
この時期は急速に発達する低気圧の影響で北日本は大荒れの天候になることもよくあることなので..
9時になると係の方が給餌場に現れ餌を撒き始めました。
黄色い粒状の餌でトウモロコシの実を乾燥させたものでしょうか。
この時に撮影した写真が今回の旅行で最優秀。
しっかりと構図を考え、連写ではなく一発撮りの画像です。
躍動感のある腕の振りを捉え絶妙に散らばる餌の加減が最高と自画自賛。
何度見てもニヤニヤしてしまう..
給餌のタイミングを知っているのか続々とタンチョウが飛来し賑やかな様子に様変わり。
ダンスをしたり鳴き声を発したりと様々な場面を見ることができました。
動画で記録した際にちょうど鳴き声を発した個体が居たのでこちらの動画では鳴き声を聞くことができます。
先月観察を行った鹿児島県の出水市で見られるナベヅルやマナヅルよりも声量は大きく甲高い鳴き声です。
私は群れの撮影が苦手。
どの個体を見たらよいのか分からなくなってしまうので、この時はダンスをする個体を狙って撮影しました。
グルグルと回るようにして駆けたり、跳び跳ねたりと色んな行動を見せてくれます。
曾て大潟村に住み着いていたタンチョウも同じような行動を見せてくれましたが、独りぼっちでダンスをする姿に物悲しさを感じたこともありました。
仲間が居てくれたらとも思いましたが、秋田を離れてからもう10年以上経過します。
抜け落ちた羽のDNAから北海道から渡来した個体ではなく大陸の血統であることが判明したそうですが、北海道へ移動してからの行方は分かりません。
もしかすると仲間と共に北海道で暮らしているのかもしれませんが、秋田で見たタンチョウと重ねるようにしてダンスする姿を眺めていました。
後ろ髪を引かれる思いでしたが空港へ移動しなければならない時刻が迫っておりタンチョウの観察はここまで。
13時35分、中標津空港発の便に乗る為にはレンタカーの返却も考慮して一時間前の12時半に着きたいところ。
時間を逆算する形で道中の所要時間を計算した結果、少しだけ時間に余裕があったことから別ルートを選択。
遠回りを選択した理由はエゾフクロウの観察でした。
虚の中にペアで入っていたらと淡い期待を持って立ち寄ってみると..
残念ながらこの日も1羽。
それでも最後の最後まで観察を楽しむことができ充実感でいっぱいの旅だったと言えます。
壮大なロケーションで様々な生き物を見ることができ、美味しい海の幸も沢山頂きました。
後日知ったことですが今季の流氷はここ数年で一番条件が良かったそうです。
その様なタイミングで流氷を見ることができたのはとても幸運だったことでしょう。
旅を終えたばかりですが道東ではまだ見たいと思う鳥や生き物が沢山居ます。
また季節を変えて再訪する計画もあるので、その日を心待ちにして今回の旅行記はここまでにしたいと思います。
2022年 野鳥観察の旅 in 道東はこれにておしまい。